8「悪魔のビデオデッキ」

★前回登場の我が妻タヌコから電話。

『映画館でみなくってヨカッタァ!』(我輩、衝撃)。
『な、なんで?お、おもろ〜なかったン?』(我輩、?)。
『涙、なみだ、涙!あんな泣けるのん、恥ずかしくって映画館でようみらんワ!』(我輩、!)。

そう、これは劇場で見逃してしまった期待の韓国映画「ブラザーフッド」のビデオを巡っての会話。
おすぎも試写会の感想でいっていた。
『涙、涙、涙でスクリーンがみえない!』と。
う〜む、やっぱりスゴイのか。
名作「シュリ」のカン・ジェギュ監督の最新作にして、スピルバーグの名作「プライベート・ライアン」の、映画史に残るあのリアルな戦闘シーンをも越えるか、といわれていたこの戦争映画、泣けるともなればより期待できるではないか!

そして我輩も、みる。

映画は、現代の韓国の、朝鮮戦争時の遺骨発掘現場のシーンからはじまり、そして回想シーンへ。
不幸を予兆させる貧乏ながらも幸せな一家の生活が描かれる戦争前夜(そうそう、よく使われる手法だとわかりながらもついついその幸せ感に頬がゆるみ)、そして彼らをいやおうなく巻き込んでゆく過酷極まりない民族戦争へと物語は進んで・・・二時間経過。

ウン?これ、何時間あんの?
まだ終わりそうもないってことは、いよいよ号泣するシーン?
・・・ウン?戦争、終わったやん?映画も終わるやん?

ウ〜ム、タヌコ、おまえが悪い。おすぎも悪い・・・。
そこまで言うから「号泣」期待するやん。
泣けるンとちゃうで、「号泣」やで!
いつ号泣?いつ号泣?と我輩「号泣」期待しすぎていたのだった・・・。

★後日談。
前回でちょっと触れたタヌコの要望で買ったVHS+DVDプレーヤーにまつわる話を以下・・・。

当初からタヌコ、そのプレーヤー『ビデオ見終わったあと、出てけぇへんねん』
『そんなはずないやろ、新品やど!』と我輩操作するとすんなり排出。
そんなことが二度、三度あり、ある日もまた『出てけぇへんけど・・・』
『ちがうボタン押したんやろ!』と、これが出てこぬ。
上蓋をはずしからまったテープ取りはずそうとするとあにはからんや、テープからまってもいず。おまけにその間、再生、ストップを勝手に繰り返しはじめ、取り出そうにも取り出せぬ。
『なんやコレ、不良品やんけ!タヌコ、保証書は!?』

ムカムカしつつ、出勤前に購入店へ。

『テープ、出てけぇへんで』
『二週間ほどお預かりして・・・』
『とりあえずテープ取り出して欲しいンや』
『サービスマンが常駐してないもんで』
『デ、デンキ屋やろ、そ、そんなこともでけへんの!?』
『申し訳ございません』
『返さなあかんねんで、レンタルビデオやねんでコレ!二週間分の延長料金どないすんねん!』
『え〜っ!』と店員、なんとかしてみようと思ったか、カウンターに置かれたデッキの電源コードをコンセントにつなぐと、ガシャ。テープが出てきた。
我輩『・・・よかったやんけ』

『では、お客さま、修理でお預かりいたしますので保証書はお持ちですか?』
『コレや』
『お客さま、これは日立のテレビのそれですが・・・』
今度はこっちが、『えっ!』

タヌコ、お前を殺したい・・・。

★その出てきたビデオテープは、前回紹介した韓国ドラマの「秋の童話vol.2」。
すでに全6巻みてるはずのタヌコ、みるべき新作もなくまた借りてきたらしく、『この画像の悪いのん、あたしが繰り返しみたからやねんで』と、自慢にもならぬのに自慢げに言っていたそのビデオ、店のテレビでその夜放映し続け、暇になった夜更け来店の墨丸会員707号に「vol.1」のあらすじ解説しつつ「vol.2」をみてもらう。

う〜ん、泣いとる、泣いとる(「vol.1」もみとらんのに)、満足、満足、余は満足じゃ。調子に乗って、『これも、みる?』と、「ブラザーフッド」のテープをデッキにガシャ。

・・・この作品、二時間以上もあるのを忘れてた。
タヌコから電話あったのも忘れてた。
『わたしの宝もんのテープ、どこやったン?』と。

『キャッ!ワ!』と会員707号、戦闘シーンで悲鳴上げている最中に『はい、ストップ。もう家に持って帰ります』ともいえず、我輩いつしかウトウト・・・。途中で『音量、下げて・・・』とつぶやいたのは覚えていて・・・。

『お、終わったよ・・・』と声かけられたのはもう朝方。
『・・・どうやった?』
『こ、こ、こんな可哀想な・・・』と707号、絶句。
それも音下げてと頼んだあとは音声なしでみつづけて(いたらしい)の、707号の絶句であった。
う〜む、やっぱりスゴイんだ、「ブラザーフッド」。
はよ持って帰ってまた見ろか・・・。評価4/5。

■「今夜の名言!」

『つらいんだね?バスと女は去ったら追うもんじゃないよ』

韓国映画「春の日は過ぎゆく」より。
きまぐれな女に恋して翻弄される孫の青年にかけた、痴呆症の祖母のセリフ。我輩もお客さんにこんな言葉を口にする年代になってしまった・・・。
いやいや、痴呆でじゃなくってそういう恋を幾たびも経験してきてという意味で。この映画は、3/5。

■「今夜の迷言!」

♂『胸のサイズは、Aカップ?』
♀『アルファサイズ』
♂『えッ!おっぱい、あるわカップ?』
以上。

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