40「夢とミナミの夜」

07年3月14日(水)

★勉強嫌いの我輩が授業下でのいまだ覚えている数少ないことに荘子の漢文「胡蝶」がある。

その全文もう漢文では書き記せないけれど(その頃も書けなかったけど・・・)、男が蝶になった夢をみるのだ。
目覚めて、はたして自分が蝶の夢をみたのか、蝶がいま人間の夢をみているのか・・・というやつである。
これはもう極上のファンタジーである。
ファンタジーととらえてしまうところがもう勉強嫌いなンである。

その頃から現実逃避癖があったのか(あったンだが)、たとえば眠りにつくと異様に眠り続ける。
10時間以上なんてザラ。
授業も仕事もほったらかして眠り続ける。
この年になっても、だ。
この年になってもイヤなことが多すぎるのだ。
ベン・ケーシー医師は悲惨な患者が多すぎるといってその連続テレビドラマではゼッタイ笑わなかったというのと、ま、似かよってはいないが・・・。

期末試験時の土曜半ドン後、ひと眠りして試験勉強をと思いきや、目覚めたのが月曜早朝。
窓の外、なんでみんな学生カバン持って歩いてンねん?という笑えぬ事態に遭遇してしまったこともある。
「サインコサインなんになる〜♪」を刷り込まれた無意識的逃避だったんだろうけど、その眠りという安直な逃亡の果てには「赤点」という馴れ親しんだ地獄が待っていたのはいうまでもない。

夢はだからよくみる。
極端に言えば、夢の世界で別の人生をいきているようなものだ(一日の大半寝てるンだから極端でもない、か)。
理想的な恋も初キスも初体験も幸せな結婚生活も不倫も、事前に夢の中で経験してしまい、いざ現実では「な〜んだ・・・」
現実での恋などは理想的であるはずがない。

反面、その頃愛読していた「SFマガジン」に、被験者を何日も眠らせない実験話が掲載されていて、その話では被験者たちは発狂してしまうンだけれどもその直前に経験するという幻覚というのを味わってみたく、夏休みを利用して不眠続行に挑戦したこともある(何日だったかはもう忘れた)。
が、これはただただ眠いだけで終わってしまった。
いや、ただただではない。
インスタントコーヒーがぶ飲みとタバコのしけもく吹かしすぎてのゲホゲホ状態でもあった・・・。

昨夜も印象に残る夢をみた。
子供を生む夢である。
我輩が子供を生むという夢である。
我輩というからにはもちろん男がである。
生まれた子は男女の双子。
いわば新人類ゆえ、ひとりの名は「新人」(あらと)、女の子は「類」(るい)と名づけて目が覚めた・・・。
注:女性変身願望があるンではないぞ・・・な?

★久方ぶりにミナミにでる。

会員36号M嬢と658号F嬢との飲み会である。
久方ぶりの墨丸女性軍団との飲み会である。
野蛮な男はいない。ゆえに天国である。
我が世の春である。
映画「暴力脱獄」のポール・ニューマンは脱獄後、美女達はべらかせ飲んでる写真を刑務所仲間に送りつけうらやましがらせたが、合成写真だったというオチだった。
我輩のはホントである(カメラを持っていけばよかった・・・)。

前日M嬢からメールあり。
「高島屋のVUITTONの前で七時に」と。
ちょうど居合わせた会員742号龍太クンに「なんや、このブイユアイ・・・って?」
「ヴィトンちゃいます?」。
う〜む・・・。

そしての当日も。
15年前のサラリーマン時代、ミナミを毎夜闊歩していた頃とは完全に様変わりしたのは知ってはいたがこの日、マルイがすでに完成していたのを初めて知った。
マルイなんて30年近く前、新宿2丁目の行きつけのスナック「智」のカウンターで、伊勢丹、マルイのデパート嬢達と談笑して以来の耳にする単語であった。
もちろん当時行きつけの飲み屋なんてのは消滅か、東心斎橋とかなんとか無粋な通り名に変わったおかげで見つけることももはやできぬ。
で、行き当たりばったりで千日前の「隠れや」へ。

ここはその名の通り隠れ家的な店。店内が、である。
洞窟迷路状通路は腰をかがめて通るような造作。
通されたカウンターへも身をかがめての出入り口。
我輩も彼女も頭をぶっけること各1回。
火事になったらこわいやろなぁ。
煙りにまかれるよりも頭ぶつけての脳震盪でバタバタいくやろなぁ。

カウンター下の、足元照らすブルーライトが粋で我が店でもと思いきやM嬢「すみちゃんとこはあのままがええのん!」(そ〜かなぁ、してしまいそ〜やなぁ)。ライトのせいではないけれど、足元極端に寒しの店でもあった。

つづいて住吉店時代のお客イトーくん経営のバー「トレック」へ。
もうすぐ1周年だそうな。
トレッキー達が集まる店である。
残念ながら我輩はそうではない。
映画「スタートレック」映し出される店内でイトーくんは相変わらず元気はつらつ。
残念ながら我輩「スタートレック」の熱烈ファンでもない。・・・おんなじこといってるな。

まだ終電には時間もあり、今夜は会ってからず〜っとお互い喋りっ放し。まるで女同士である。まだ喋り足らんとビールバーへ・・・。
注:「喋り」といっても我輩、女ではない。・・・。

おかげで電車乗り過ごしてしまった。
たどり着いた千代田はいつにもまして暗かった・・・。

つづく、か?

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