★０７年９月３日（月）
お客サンに借りていたＤＶＤで映画「ユナイテッド９３」をみました。
９．１１テロ事件で唯一目標に到達できなかったハイジャック機墜落までの一部始終を描いた作品です。
う〜ん、臨場感たっぷりでした。
俳優を使わず、管制官や軍人役を事件当時現場にいた当人たちに再現してもらったということをあとで知りましたが、そのせいもあるんでしょうねぇ。
朝の発着ラッシュで離陸が遅れテロを完遂できなかったことなども今回初めて知りました。ラスト、乗客たちが操縦室になだれこみ操縦桿を奪取しようとするシーンがあるのですが、そこまでたどり着いたのかということまでは調査でも不明ということです。
でもテロリストが必死に神に祈り（皮肉にも乗客たちは別の神に祈り）つつ民間人を殺戮する姿はどうしても理解できず、彼らの顔つきみているだけでわが田舎の方言「にくどいなぁ」（憎ったらしい）という言葉を何十年ぶりかで思い出してもいました。・・・あっ、人種差別につながりそ〜ですね。
でもねぇ、テロリスト側からの視点で描いた同様の映画をみせられると、これまた「臨場感たっぷりでした」というような感想に終わりそうで、浅薄な自分にイヤにもなる映画でした。ただテロリストがハチマキをしている姿には日本人として終始違和感をおぼえましたが・・・。評価４/５。
９月５日（水）
「ユナイデッド９３」とともにお借りしていた、今年公開されたというアクション映画「ラッキーナンバー７」をみました。
平凡極まりない題名ということもあり全然期待していなかった作品が「思いがけなく！」という好例のような、単なるアクションでなく知的サスペンスといったらいいすぎかもしれませんが伏線につぐ伏線で、み終わって特典映像にも見入ってしまいました。１０年かけて練り上げられた脚本らしいです。
「マトリックス」のウオシャウスキー監督の初期作品「バウンド」、コーエン監督の「バーバー」、そして先月でしたか、たまたまみた「マザーナイト」なども「期待してなかったのに！」だったのを思い出してもいました。
「マザー」はあまり知られていないと思いますが、モノクロの冒頭場面でイスラエルのナチ戦犯収容所に年老いた男が収監されるところから始まり、彼の回想で物語が（カラーで）展開していきます。
男（アクションスターのニック・ノルティで、役柄的にミス・キャストとも思い込んでしまいました。みているうちに違和感薄れましたが）は元ドイツ在住の米国人劇作家。
第２次大戦にアメリカが参戦する直前、米国諜報員からスパイの勧誘をうけ、とくに明確な思想をもってもいないにもかかわらず男はいわれるまま米国向けプロパガンダ放送を利用し暗号を送りつづけながらもナチの有名人となります。
が、敗戦。戦犯でありながらスパイゆえ国家の認めぬ隠れた英雄という彼の数奇な運命がここからさらに翻弄され・・・という悲劇です。
途中、「うそっ〜！」と驚いてしまうような出来事とともに「この展開はどうもなぁ」という難点もありますが、印象に残る作品。ロマンス好きな方にもおすすめです。
話がそれましたが、「ラッキー」での凄腕の殺し屋がブルース・ウイルス（脇役ですが、この人駄作も多いンでそのせいで期待薄だったのかも）、対立するギャングのボスたちを演じるのがオスカー俳優の二人という、考えれば豪華配役。そのボスたちに殺人の請負や借金の返済を迫られる運のない青年が主人公の物語です。
特典映像で、いくつかのカットされたコミカルな場面に対し監督いわく「シリアスさをそぐ」という意見になるほどと納得できる本編に仕上がっています。別バージョンのエンディングもなかなかのものですよ。４/５。
９月８日（土）
６０年代、高校の親友Мクンと放課後自転車に二人乗りしながら、町の映画館住吉座、常盤座（共に洋画専門館）、あと付録で邦画専門館二軒を巡りながら、上映中の、そして次週上映の映画ポスターを見にまわっては映画を選んでいた時代にくらべ、寝転びながら好きなときに映画をみれるという時代が来ようとは思ってもみませんでした。
ですから当時、記憶に刻み込もうと同じ映画を何度もみたり原作本やポスターを集めたりの映画生活でしたが、いま思えばあの時代のほうがはるかにシアワセだったような・・・。
先日もお客サンと話してたンですが、かつてうちの映画好きの息子に「名作や！」と黒澤明の「七人の侍」をビデオでみせると、「白黒やん！」と違和感大らしく冒頭でみるのを拒否されてしまったこともありました。
が、わたくしはいまでもモノクロ作品をみると「映画だ！」と思ってしまう昨今でもあります。
★「今夜の名言！」
「マザーナイト」で、ニック・ノルティとアラン・アーキンの会話より。
「あんたを見た時、仲間の一人だと思ったよ」
「仲間？」
「魂の抜け殻さ。世界最大の組織だが入るまで気づかない。生きる意味を失った者が会員になれる。それが絆となり会員達をひとつに結び付けているが、決して互いに交流し合うことはできない」
アラン・アーキンは高校時代にみたヘップバーン主演の傑作スリラー「暗くなるまで待って」での非情な殺し屋役で初めて知り、その直後みた「愛すれど心さびしく」では一転して孤独な聾唖者を演じており印象に残った名優です。では、また。