81「気になる作家」

07年11月11日(日)

★ふたたび「ミナミ」行

午後、住吉の墨丸hona店設立に向け不動産屋との打合わせ。
夕刻、墨丸会員せいざぶろうクン同伴で平野の店舗施工業者との打合わせ。
夜、博多から大阪本社に出張中の友人エム氏とミナミで打合わせ?

はたまた今までの店同様、素人のわたくしめ手書きの店舗設計図8枚(※)もとに会員169号の施工業者Kクンと夕刻打合わせ。

※15年前の1号店「横丁店」は9坪。2号店の「大通り店」は15坪。3号店の「呪われた町店」は14坪。そして今回の「hona店」(店名由来は次の機会に)は13坪ぐらいか・・・。
15坪から14坪のスペースに既存の家具備品収納するのにひと苦労したというのに、今回さらにスペース減少。それだけに事細かな指示書なしではの結果、素人設計図8枚にもなったのであります。
プロに設計してもらえれば(資金あればの話で)ホント使い勝手のいい店になるんだろうなぁといっつも思うンですけれども、もうそんな時はこないだろう・・・。

で、思い出した。
先日、「顔相をみる」という中年男性のお客サンが「うむ、いま貧乏だろ?」「ハイ」「が、将来は金持ちになる」と言ってくれたけれど(若い頃、易者にもその他占いでも「大器晩成なり」。ずっと期待してました)、いっつやねん!もうこの年やで!

話がそれましたが、設計図みたKクン「この工事には最低3週間はかかるワ〜」。
で、12月1日オープン予定が簡単に崩壊。なんで1日予定やったんやろ?いまとなっては藪の中・・・。12月10日から15日の間が引越日となりそうです。ということは千代田店、12月初めまで営業継続です。

幸い、我孫子の親切な不動産屋「センチュリー21ホームパートナー」の方々のおかげで(お一人は旧墨丸長居店のお客サンでした)11月分家賃は無料に(かつ家賃敷金礼金格安に)していただき(反面、千代田店の12月分家賃は契約上要となりましたが工事期間延びたおかげで、ま、いいか。せいざぶろうクンがどちらかの店長すれば万々歳なんですけどね)、住吉区内ではオススメの不動産屋でした。

夜、そのせいざぶろうクンは大国町でのコンパに参加。
わたしとエム氏にも「おいでや〜」でしたが、20代の女子相手なんてなぁと、わたしはエム氏と待ち合わせのミナミのジュンク堂へ。

ジュンク堂では小林よしのり「全体主義の島 沖縄」の前作読みたく「パトリなきナショナリズム」(東條英機は女子供の使う22口径の拳銃で自殺未遂を計った男、と以前ぼろくそにこのページに書いたけれど、彼の著書「A級戦犯」によると32口径らしい)、WILL増刊「南京(嘘)大虐殺」、「人気マジシャンのタネぜんぶバラします」を購入。

墨丸会員ゆみっぺの、味園ビルのバー「酩酊クラブ」は日曜休みゆえ、今夜は法善寺の囲炉裏と寿司「水魚之喜」(すいぎょのよろこび。千日前1−7−11上方ビル一階。06-6213-4652)へ。
目の前の炭火で熱した溶岩板で魚や肉を焼き上げてくれるお店です。
酒飲みのわたしにとってうれしいのはこれも目の前で地酒を燗する方法。
酒燗器に温度計が差し込んであり、常温から徐々に温まってゆく段階それぞれの風味を楽しめます。さらに、いわゆる熱燗に至るまでそれぞれの温かさに粋な名称が十段階ほどつけられていて、35度がもちろん人肌燗(その他名称メモしとくんだった)。で、エム氏に「これや、これや、最近人肌に接してねぇから酒は人肌でいこう!」なぁんて。

このあと先夜千代田店に来店の我孫子の居酒屋「そら豆」のママさん曰くの話になり、「そら豆近所のスナックのママはべっぴんらしいなぁ」というとエム氏「そこいこ!」。で、タクシーでわざわざ住吉区まで。

・・・女のいう「べっぴん」は当てにならんという経験、ころり忘れてました。年は70歳ほどか。この方以外にたぶん少しは若き女性いるんだろうという期待もむなしく終わり、ミナミへの帰りは重い足取りで地下鉄で・・・。
   
今夜の宿泊は前回同様日本橋ワシントンホテル。
ホテル裏手のカウンター6〜7席の焼肉店で夜食。
店の名は覚えてませんが、ここの焼肉は美味。オススメです。

11月16日(金)

★恩田陸の小説、初めて読みました。

先日、せいざぶろうクンが「あれ、おもしろいわ〜」と言ってたのが恩田サンの「上と下」という作品。わたし未読の蔵書の一冊です。その後、ブックオフで傑作韓国映画「猟奇的な彼女」の中古DVDディレクターズカット版(劇場版より14分長い!)をビデオ版持ってるにもかかわらず購入した際に見つけたのが、せいざぶろうクン発言で印象に残ってたその作家、恩田サンの「月の裏側」(幻冬社文庫)。

いや〜、おもしろかったです。
登場人物たちも個性豊かで一気に読みきりました。
本日午前中はhona店の水道開栓日で現場立会い。業者が来るまで車の中で読みふけり、午後は親戚の葬式参列で(遠縁ゆえ)読経中も「あのつづきはどうなんねやろ〜?」が頭ンなか占めてました。

静かな水郷の町が舞台。
その堀に面した家々の老女が相次いで失踪。
しかし数日後、何事もなかったかのように、いつのまにか家に戻っている。
ただ、行方不明の間の記憶を喪失してい、彼女達に一体なにがあったのか?と主人公たちが調べてゆくうち、彼らが「人間ではない」ことが分かりはじめ・・・。

文中、随所で引用されている「盗まれた街」という本は、米国のジャック・フィニィ、54年の傑作本。
この作品は、アメリカ西海岸ののどかな町が舞台。
ある日を境に主人公をとりまく町の住人たちが、そして愛する人たちまでもが、なぜかよそよそしくなっていく。精神科医らに相談すると気のせいだといわれるが、その彼さえどこかおかしい。原因を探りはじめた主人公はいつしか町中の人間に監視されていることに気づき・・・という超サスペンスフルな展開は息苦しくなるほど。フィニィの作品はどれもこれも評価5/5(必読本!)といってもいいくらいですが、この作品がベストです。

「月の裏側」は、この名作「盗まれた街」をベースにした作品。
妻が、兄弟が、周りの人々すべてがいつしか「人間ではない」なにかに変身してしまっている恐怖を描いた、いわゆる「人間もどき」モノです。
ただ「盗まれた街」と比較するとその恐怖感は希薄ですし、ラストシーンはそれまでの展開との整合性に欠けるンじゃ?というマイナス面が気になり、評価は4/5どまりでしたが、最近ではめずらしく気になる作家です。

ながらく絶版になっていた菊村到の「硫黄島」が角川文庫から出されてました。
57年度の芥川賞作品です。で、今回ようやく読むことができました。
ただ、やはり一般大衆、凡人のわたしとしては同期の直木賞作品「ルソンの谷間」(江崎誠致)のラスト、敗残兵士の主人公が谷に転落し、木々の枝に引っかかったその死体が誰に見取られることもなく次第に朽ち果ててゆき、最後にはその骨と皮が下の谷川にのみこまれ流されてゆくという無常さのほうが印象に残りました。3/5。

11月18日(日)

★薄井ゆうじの小説、初めて読みました。

いや〜、これまたおもしろかったです。
最近、「寝る前ビデオ」の習慣から「寝る前読書」にかわり、今夜なんて「あ〜、本ってホントおもしろい!」とつくづく思いました。
映画より本のほうが高評価が多いンですもん。風呂のなかでもトイレでも読み続けられますしね。かつての読書習慣が甦りつつあります。

今夜の「くじらの降る森」(講談社文庫)は、買った時点では背表紙のあらすじを読んでるわけですが、時間がたつと「この本、なんで買ったんやろ?」と、もうすっかり「あらすじ」忘れてるわけです。で、こんな時は再度あらすじ読むことなく、予備知識なしでページをめくり始めます。新鮮です。

最初の数ページで「あかんな、この本」と駄作か否かがほぼ分かるンですが(ほぼ、ですよ。念のため)、この作品も「う〜ん、なんでこんなん買ったンやろ?」と背表紙あらすじあらためてみる誘惑にかられました。
が、主人公が父の遺した古い別荘の郵便受け(鳥の巣と化していたそれ)の中から一通の古い手紙を発見した場面からもう引き込まれました。

で、購入のきっかけになった背表紙の文言をここに紹介しておきます。以・・

「初めてお手紙さしあげます。個人的なことで、お話したいことがございます」。始まりは、亡父に宛てた差出人不明の手紙だった。「毎週土曜日の午後六時ごろ、レストランでお待ちしております」。彼女の目印は、テーブルの上の黄色いくじら・・・。心を癒してくれる現代の神話。気鋭が描く感動長編、文庫化第一弾。

これだけでわたしはもうゾクゾクしたわけです。
最近ではめずらしく気になった作家がこれで二人になりました。4/5。

★「今夜の名言!」

「名言」ではありませんが「やっぱり・・・」の、日刊ゲンダイ11/13付記事より(要旨)。

表題「自殺死亡率は2.5倍の開き。オトコとオンナ どこが違うか」

自殺対策白書によると、人口10万人当たりの自殺者数は、この10年間、男性が35人前後で推移に対し、女性は10人台前半にとどまっている。
逃げ場がなくなったとき、男が「死」を選ぶのに対し、女は「生」を選ぶこの差について心理学者は、出産する性と産めない性の違いという説のほかにストレス発散方法の違いをあげている。いわく「男は問題をひとりで抱え、”墓場まで持っていく”を実践しようとし、女は、何かと第三者に相談するタイプが多く、心の負担をうまく軽くする」。男はジタバタするより死ぬ方が潔いという美学にもとらわれている、とか。

経験上「死」については女性とは話できません。ま、ずぶといか否かの差でもあるンでしょうなぁ・・・。 以上。

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