92「極北の恐怖!」

08年3月14日(金)

★「アイ・アム・レジェンド」(リチャード・マシスン。ハヤカワ文庫)読了。

昨年末のロードショウ(未見。黒人俳優ウィル・スミス演ずる男がアメリカでたった一人生き残る物語)の映画原作本です。

購入いきさつについては前回記しましたが、直前に読み終えた「ルインズ」の濃密さのあとでは、ちょっと・・・。
原作が54年刊という半世紀も前の作品かつ68年のロメロ監督「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」以降数々のゾンビ映画で食傷気味なところに同様のストーリーで。が、本書あとがきには「なぁるほど」。

そのあとがきによると、そのゾンビ映画第1作「ナイト・オブ・・・」のネタ本が本書、というのが映画界の定説とか。「古臭さ〜!」といってバカにしてはいけませんねぇ。巡り巡ってこの原作、いまや「歴史的に重要な作品」に位置づけられてるそうであります。

昨年の最新版ふくめ本書の正当な映画化作品は3本あるそうで、64年「地球最後の男」、71年「地球最後の男 オメガマン」がそう。
1作目は日本未公開とのことですが、71年版は大物男優チャールトン・ヘストン主演で当時みました。ヘストンがなぜ原作とかけ離れたこんな駄作に?と悲しくなるほどのダサい邦題(オメガマンなんてなぁ)かつ低級アクション映画でした。

本書はハヤカワSFシリーズ「吸血鬼」の題名で青春時代に読み終えてましたが、今回再読して内容ぜ〜んぜん覚えていず。でも記憶の底にはかすかに残ってはいるんでしょう、その意味でも「新鮮味」のない作品で、評価3/5。

3月15日(土)

★疲れがとれませんねん・・・。

この数日1時間おきに目覚め、脚が、手がつりもします(いわゆる「こむらがえり」)。
そんな今夜、「その筋(病院関係)」のお客さんにそのこと話すと彼女、副交感神経云々の解説のあといわく「マスター、疲れとるには午前4時までに10分でも眠らなあかんで」
我輩いわゆる体内時計に完全に反した生活ゆえそのこと述べると「ある日ガクッと反動くるわよ」とか。

「こむらがえり」は内臓不調も一因とか(この夜の「診察(問診)」の結果、胃腸に注意。肝臓OK)。
で、その不調は狂った体内時計プラス冷たいもの(我輩にとっては「酒」ですが)の摂りすぎによるかもとおっしゃられました。
「この商売、永くしょう思たら定期的に休みとって、その日は夜のうちに寝て調整せな。それがムリなら4時前には寝るようにせんと」と気遣っていただきましたが・・・。
う〜ん、毎週休むなんてオープン以来したことないし、借金のこと思うとできんやろしなぁ。営業時間見直したほうがええかなぁ。で、出来るだけ帰宅しようかなぁと悩んだ一夜でありました。

3月17日(月)

★今月2度目の休み。

映画「ノーカントリー」みました。
マフィアの金を盗んだ男が殺し屋に追いつめられる物語です。

冒頭から引き込まれました。
殺し屋役のハビエル・バルデムはアカデミー賞男優だけあって存在感たっぷり。最優秀助演賞というけれど、まるで主役級ではないですか。「映画史上に残る殺し屋」という宣伝文句通りでした。
我が妻タヌコいわくの「これって、続きもん?」っていう感想も分からなくはないけれど、ぜひ原作読みたいほどの(殺害現場で麻薬の売人二人が殺される理由ワカランしなぁ・・・)、評価4/5。

そうそう、この監督のコーエン兄弟の隠れた名作「未来は今」のビデオ、どなたにお貸ししたんだったっけ?これ読んで持ってる方、持ってきてね〜。

3月22日(土)

★ダン・シモンズ「ザ・テラー 極北の恐怖」(ハヤカワ文庫)読了。

1845年5月、大西洋から太平洋に抜ける北西航路を発見すべく極北へと出航した英国艦「エレバス」と「テラー」乗組員百数十人の遭難そして全滅を描いた傑作小説です。

史実にもとづいた作品ながらその末路はエスキモーからのわずかな情報しかなく、詳細と共に艦も行方不明のままとか。その事件の顛末を作者は膨大な資料をもとに想像を交えて描ききってるンです、すごい力量です!

「冒険ホラー超大作」との宣伝文句だけれど(前人未到の極地での飢え、壊血病、凍傷、反乱に加えエスキモー伝説に残る怪物が登場するゆえのホラーでしょうけど、読者にとっては怪物の存在など微々たるものと思うほど)、極寒の地でなすすべもなく倒れていく男たちの姿が胸を打つンですわ(雪を食べるとよけいに喉が渇くとは知らンかった)。

前回紹介の熱帯でのサバイバル小説「ルインズ」につづいての、極寒での地獄を目の当たりにして(アリステア・マクリーンの傑作冒険小説「女王陛下のユリシーズ号」以来ですな、この極冠描写)、またまたの5/5!
以上。

<戻る>