151「今夜の本!」

09年8月26日(水)

★高野和明「幽霊人命救助隊」(文春文庫)読了。

自殺した四人の男女が、天国行きを条件に自殺志願者百人の命を七週間以内に救えと神の命を受け・・・。

六百ページ近い大作です。
「長い〜、長すぎる〜」と思いつつ読んだのは、自殺者の事情それぞれ違えども、やはり「自殺」そしてその「救護」パターンの繰り返しで、「あ〜、これまだ続くンかぁ」の意識のせい。
養老孟司氏推薦作ですが、養老さんの解説もまとまりを欠いていて「長いなぁ・・・」。で、評価3/5。

09年8月28日(金)

★すべての著作が傑作といってもいい、ジャック・フィニィ代表作「盗まれた町」(ハヤカワ文庫)読了。

四十年以上も前に、試験勉強ほったらかし「屋根裏という名の城」と名づけた下宿部屋で夢中になって読みふけった作品で、「人間もどき」って語句が脳裏に刻まれた作品でもあり。同じ作者の本を買いあさるという行為の最初の作家という記念碑的な作品でもあります。
古本屋でみつけ、ジェフリー・アーチャーの傑作本「カインとアベル」と共にどなたかに読ませようと購入。懐かしくって再読しました。

う〜ん、あれからもう四十年もたってしまったのか、人生ってなんて短いンだろうと思いつつ、記憶ってなんだろうとも思いました。
「盗まれた町」で思い出すのは、書斎の肘掛け椅子に座った知人の男と会話しながら主人公が「こいつも・・・」と疑うシーンでしたが、そんな場面なんてどこにもなく、90%以上、内容を覚えていませんでした。
あと思いつくのは、ドン・シーゲル監督の映画化作品で、真昼の町の大通りを主人公が町の人々の群集に追われ、モノクロ画面の中、我々観客に向って必死に逃げてくるシーンですか・・・。
覚えていないといいながら既視感的なものはもちろんあるわけで、再読評価は「?」

でも、この邦題はいいですねぇ。
原題を記すと「ああ、あれか」と気づかれる方もいらっしゃると思い省略しますが、ぜひ予備知識ナシで読み始めてみてください。
四十年前の私の興奮を味わっていただければ、と思います。以上。

<戻る>