152「9月1日、チョーク死す」

09年8月28日(金)

★メガネを新調。

墨丸千代田店の頃、常連の眼科の看護婦さんたちが(看護師という呼び名はイヤだなぁ)、「メガネを作るとき、どうしてみんな病院で処方箋をつくらないんでしょ?」とおっしゃってました。
眼科で眼鏡屋処方のレンズを検査すると「どうしてこんな合わないの作ったん!」と思うことしばしばとか。で今回、眼科で処方箋を作ってもらい新調しました。二回の通院検査で六千余円は痛いけれど・・・。

・・・しかしどうしてこうも画一的なんだろ。売られてるフレームが。
私たちの子供の頃の漫画「おそ松くん」脇役の「イヤミ」が掛けてたあの横長フレームの、当時の世相で言えば「金貸し」の象徴のようなフレームばっかりではないですか。
眼科紹介割引店の「メガネのミキ」のような大型店でもそうでした。
フレーム選定に渋る私に店員さんが他店にも当たってみますというので数日待ってでかけると、やはり私が使用しているような「レトロ」タイプは皆無・・・。
で、十数年前に作り使用していなかったメガネにレンズを入れ直してもらいましたが、ダーツ・バー同様、この妙な金貸し型フレーム流行も長いですなぁ・・・。
(陰の声:だ〜れも気づきません。マスターがメガネ変えたの・・・)

09年9月1日(火)

★夜、「朝方、チョークが死んだ」と娘からメールあり。

チョークは我が家の白柴犬。
28日金曜日のメールが「月曜ぐらいから調子が悪く、死にそうやから最後に撫でてやったら」で、29日に帰宅。
植え込みの根元に横たわったまま、かすかに尾をふるのみ。
肝臓中心に、人間でいえば多臓器不全か。医者いわく、すでに「七十数歳」とかで、体型小さく今まで元気はつらつだったゆえ、「そんな年だったか・・・」

そうこうしてると、黒白ぶちネコのインクが庭先に登場。
「墨丸」にちなんで、「白墨・チョーク」と「墨・インク」なのだ、二匹の名が。
ネコも犬と同じで、ご主人様が帰宅するのを察知するのか、深夜玄関先に車を止めるとガレージの屋根にちょこんと座ってたり、どこからともなく足元に現われたりする。
犬と違うのは「お〜、可愛いやんけ!」と抱こうとするとスルッと手の下かいくぐって逃げてしまうことだ。むかつく。

で、「おい、お前の友達、死にそうやねんで」といってみても、インク無関心。心底は分からぬが・・・。そういえば、このインクもチョークと同じころ飼いはじめたんだからほぼ同年齢か・・・。

帰宅すると犬は泥足で抱きついてくるのが、これがわずらわしい。
が、「犬は主人を待つのが仕事」とか、フランス格言の「愛は三タイプのみ。母の愛、愛人の愛、犬の愛である」(「妻の愛」がないのが素晴らしい!)なんてこと思うと、深夜帰宅しても吼えもせず、今夜こそご主人さま犬小屋に寄ってくれるかなぁ、とジッと待機、そのあとガックリしてたんだろな。ああ、泥ぐらい我慢しとけばよかったか・・・。

テレビのドキュメンタリーで、主人が遠く離れた会社で帰宅をとデスクを立つと、テレパシーなのか自宅の犬がムクっと起き上がり、主人が自宅近くになると玄関先に。主人が途中居酒屋に寄ると犬小屋にUターン、というのをみて「感動」したものだが、そんな実験する前にチョークは死んでしまった。その朝方、私は我孫子の居酒屋で飲んでいた。虫の知らせというものは、確かなかったように思う・・・。

純血種より雑種のほうが賢いというが、不要犬を引きとってる方から貰い受けた秋田犬とシベリアンハスキーの混血成犬がそうだった。
たまに鎖から逃れてその自由に歓びはねまわり、呼んでも戻ってこないときなど、我輩死んだまねして道路に横たわると、心配なのかすぐ近寄ってきて捕まえられたものだが(これは雌犬のやさしさかもしれぬ。女の人間にはそれはない)、雄のチョークなどは腹が減るまで帰ってこなかった。そう思うと「ご主人様思いの実験」などせずのままでよかったか、とも。

その混血犬も深夜帰宅すると、玄関に横たわっていた。
「なんやねん、こいつ。こんなとこで何してんねん」と、「ハウス!ハウス!」というと、ベランダの犬小屋に戻っていったが、その数日後、子宮に血が溜まっていたとかで死んでしまった。
うちの母親はこうして動物が死にそうになると「しゃべれんからねぇ・・・」というのが口癖だが、ああ、あのとき死に場所探してたんやなぁと、いまでも心残りである・・・。
陰の我が声(チョーク、少しは悲しいンやで。ワシも死にそうなんやけど・・・)

09年9月7日(月)

★書店で「ん?似たような題やなぁ」とその文庫本手にとって見ると、な、なんと昨年の傑作本「チャイルド44」の続編ではありませんか!
トム・ロブ・スミス「グラーグ57」(新潮文庫)です。

人々を逮捕し強制収容所送りにする職務にたずさわるソ連国家保安省職員レオ・ドミノフの物語の前作については以前記しましたが、今回の続編はフルシチョフのスターリン批判に端を発し、投獄されていた人々が秘密警察職員や密告者に対し復讐を開始、ついにはハンガリー動乱に至るという物語。
圧巻は、原題の極北の「第57強制労働収容所」にレオ自身が収容され、そこで彼がかつて投獄した男にめぐり合い、逆に過酷な拷問を受けるという皮肉な展開やオホーツク海を航行する囚人護送船の描写でしょうか。

本日「さぁ、いよいよラストだ!」とわくわくしながら読み始めると、「あれ?・・・ここ読んだよなぁ?」

・・・惜しむらくは昨夜、日曜日ゆえ早々に店を閉め、墨丸会員541号てら吉クンと居酒屋二軒はしご。そのあと前後不覚の状況で読み終えてたことすっかり忘れてたのでした・・・。なんか中途半端な読後感で、評価4/5。
でもまた今年の「このミステリーがすごい!」海外篇第1位になるかも・・・。以上。

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