158「バニー・レイクは行方不明」の夜

09年10月28日(水)

青春時代以来、もう一度みたいと思いつつどうしてもみれなかった幻の映画が3本あります。

1本は、オットー・プレミンジャー監督「バニー・レイクは行方不明」、そしてマーク・ロブスン監督の「屋根の上の赤ちゃん」、若き日のアンソニー・ホプキンス(「羊たちの沈黙」の!)主演の「マジック」です。

深夜、他にお客サンがいらっしゃらなかったので墨丸会員541号てら吉クンに、
「ボクが若い頃みて、今までみれなかった映画、みよか?」
「え〜、いまから映画ですかぁ・・・」
「このチャンスなくしたらもう一生みれんかも!」

で、昨日WOWOWプログラムで発見、ついに録画できた「バニー・レイク」を上映!
制作年度1965年でした。
モノクロ・スクリーンの主演女優みて「わぁ、キャロル・リンレイやん!」と半世紀近く前の女優の名が発作的にでてきました。
「彼女、キレイやろ?」
「そ〜ですかぁ」
そのてら吉クンとは、女性も食べ物も趣味合わずなのになぜか最近一緒によく呑みます。

物語は、アメリカからイギリスに来たばかりのシングルマザーの主人公が、4歳の愛娘を保育園に初めて預けます。
退園時刻に迎えに行くと、娘だけが教室から出てこず、行方不明に。
そして園内の誰もが娘バニーをいままで見たことがないと証言。
また、家にあるはずの子供の衣装その他すべてが消え去ってい、警察はもとより周囲の人々はもともとバニーなる娘などいなかったのでは・・・と疑い始めて、というスリラー。

う〜む、以前紹介したジャック・フィニィの50年代の傑作小説「盗まれた町」再読感が「古臭い・・・」とショック受けたものですが、今回の映画も時の流れでもう内容覚えてませんでしたが、てら吉クン鑑賞中「え!」「あ!」というわりに、我輩は既視感のせいでしょうか、いまならもっとサスペンスフルに作れるやろ・・・と。
でも、60年代作品としてみるとやはりスリラーの名作のひとつとしてあげられるでしょうし、当時10代の我輩にとっては傑作だったのでしょう。

もう一本の「屋根の上の」は、当時ヒットしたロマン・ポランスキー監督のホラー「ローズマリーの赤ちゃん」の影響で「赤ちゃん」の付く邦題映画が続々と作られた時代の一本。たしかこれも子供が狙われるストーリーで、屋根の上から揺りかごが落ちてゆくシーンだけは記憶にあり。
「マジック」は、腹話術師が自分の人形に操られ自滅してゆくという物語で、名作「明日に向って撃て!」などの名脚本家ウイリアム・ゴールドマンの作品だったと思いますが、腹話術師のあの人形の不気味さが忘れられません。
幻滅覚悟でもう一度みてみたいですなぁ・・・。

関連して、夏樹静子の60年代の初期傑作小説「天使が消えていく」(泣けます)、「蒸発」以降接した記憶がない彼女の作品「第三の女」が、以前新聞の「ベストセラー復刊」広告の一冊にあげられていたにもかかわらず本屋でみかけずしての1年余り、先日古本屋で発見。

交換殺人の話です(このテーマ、好きです。交換という、破綻するはずのない完全犯罪が破綻してゆくさまは毎度の事ながら引き込まれます)

主人公の男がフランス片田舎のホテルレストランで日本人女性と出会います。
が、それは停電の夜。暗闇の中、顔も分からぬ物同士、それが心を許したのか、二人はそれぞれの苦しみを語り合い・・・。
そして帰国後、男が不満を抱いていた上司が殺害され・・・。

殺してくれたからと容易に殺人に突き進む、妻も子もいる男のその心理が不可解で、これも古臭さを感じましたが、う〜ん、思いもかけぬ結末!やはり「60年代の名作」でしょう。夏樹さん、再評価の1冊でした。以上。

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