160「コミックの昼」

09年11月6日(木)〜16日(月)

★伝言板にも記しましたが、12月27日の墨丸忘年会が「時間変更」に。

土筆んぼう副店長いわく「当日予約が立て込んでしまって」とお願いされての午後8時半〜10時半に。
その分サービスしてくれるとのことですのでお楽しみに!
(当店でのウェイティング・バータイムも、7時〜8時15分に変更。直接宴会場に来られる方は「墨丸」で予約していますので、よろしく)
関連して、参加受付締切も当日数日前までOKとなりましたので、これお読みのあなたもどうぞご参加を!
&今年最後の「呑み放題」は今月22日(日)19時からで〜す。

★10月中旬から極端なヒマさです。
墨丸だけじゃないようですが、墨丸千代田店時代のぞき初めてではないですかこの状況。墨丸がなくなったら少しは寂し〜と思う方々、もっとご来店くださいませませ。

そんなわけで最近は読書意欲も低下し(なにもかも、低下や・・)、お客サン方が差し入れてくれるコミック本を「はよ返さなあかん・・」と、だらだらページめくる昼日中。
他の方々が貸してくれた文庫本、沢木耕太郎「凍」、枝川公一「日本マティーニ伝説」はまだしも、暗〜い内容の翻訳小説3冊なんてのは手にする気力もなく・・・すみません。(陰の声:だらだらせんとチラシまきに行けや!)
で、最近のそのコミック本はというと、浦沢直樹「プルート」や古谷実の一連の作品。

古谷サンの女性キャラクターはイイですねぇ・・・。
「ワニトカゲギス」の羽田さんなんて「ヒメアノール」等のヒロインの顔、スタイル、性格共にまったく同じ、というのがある意味スゴイ。ある意味、偏ってる。すごく。もしかして変かも。
かつ、「ヒミズ」なんてのをふくめ、意味不明の題名も、変・・・というかこれはもう覚えられません。反面「僕といっしょ」なんて安易な題のもあったりして・・・。

で、そのヒロイン、清潔感漂う中に色っぽさありで、江口寿史の「ストップ!ひばりくん!」のひばりくん以来です、マンガ本でのカワイさなんてのにまいってしまったのは(・・・ひばりくんは、ま、「女性」ではないですけど・・・)。
きっと古谷サン、このタイプが好みなんだろうなぁ。理想の女性をペンで描ける才能ってうらやましいなぁ。わしだったらそれを壁、天井中に貼り付けてるやろなぁ・・・昔、マネキンに恋する男の映画があったけれど、わしもアブノーマル化しつつあるんやろか。いやいや、物語展開も私好み。

醜男で彼女もいず、マトモな職にもつけず金もなく、どこかいびつな、でも純な青年が社会の底辺でもがきつつ生きてゆくなか、よもやと思われるような美女が恋してくれて(!)という、随所に笑いをふくんだストーリーが、「ああ、オレもこんなの夢みてたなぁ」と懐かしくかつそんな主人公達がいとおしくなってくるンですわ。

現状のヒマさ脱却できれば、彼のコミック本買って店に置いときます。・・・月初めやのにもう月末ノイローゼ症候群気味なので、これ「夢」に終わるかも・・・。

で、明野照葉という初めての作家の作品を最近ようやく読みおえました。
贔屓の文芸評論家、関口苑生さんが彼女の「女神」(光文社文庫)を「傑作」と評しており、その彼がいうならと・・・。

本書はいわゆるピカレスク・ロマン。
笑顔優しく美貌の持ち主かつ営業成績もトップという沙和子は、営業アシスタント真澄のあこがれの的。なぜ沙和子ほそこまで完璧なのか。いや完全無欠すぎるのでは、と疑問を抱いた真澄は沙和子の身辺を探り始め・・・。次々とあからさまになる沙和子の秘密とは?
著者にはこの手の「完璧な女性」が登場する作品がなぜか何作もあるようですが、ならば「傑作」といわれる本書だけでもう充分でしょ、の感。

著者渾身の作という「赤道」(光文社)は、バンコク駐在員の元商社マンが日本での暗い過去を引きずりながらのその日暮らしの日常を描いているのですが、同じ悪党でもどこかに共感できるものがあれば小説世界にのめりこむことができるという意味からすれば、「女神」にくらべ本書の主人公にはそれが微塵もなし。「はよ死ぬか捕まれば!」のイライラモードで、前作が「もっと書き込んでほしい」ならば本書は「くどくど書き込みすぎ」。前作評価3/5とすれば、本書は2/5。
ただ、バンコクという都市の猥雑な雰囲気は充分味わえ(行きたくなくなります)、北の磁気を帯びながら生きる日本人が、赤道直下の北でもなく南でもない磁気の世界で次第に「狂ってゆく」という説が妙に説得力あり。

松本清張賞受賞の「輪廻」が最も読み応えアリ。
怪談累ヶ淵の因縁・復讐劇を題材に、現代の東京・新宿大久保を舞台にした因縁話。思えば昔よく読んだ野坂昭如さんのこの類の作品以来ですが、面白いですなぁ、こんな大人のお化け話。
主人公は茨城の旧家に嫁ぎ美しく愛らしい娘を生みますが、その孫娘になぜか姑が過酷な仕打ちを続けます。耐えかね離婚した主人公は大久保の実母のもとに身を寄せますが、そこでも実母が娘を虐待しているのでは?という疑惑が・・・。登場人物それぞれの因縁話があからさまになる過程が読ませます。4/5。

残るは、手に入らなかった「オール読物」推理小説新人賞受賞の「雨女」を読んで明野さんの作品は卒業予定。総じてその程度の作家かしらん・・・。以上。

<戻る>