11年2月12日(土)
★「PIP」(沢井鯨 / 小学館)読了 。
副題は「プリズナー・イン・プノンペン」
70年代後半に自国民の大量殺戮を行ったカンボジア・ポルポト共産主義政権崩壊後の90年代、その地を訪れた日本人教師が無実の罪で囚人に。
少年兵主体に構成されたポルポト兵士ゆえ、30歳以上の国民ほとんどが罪のない同胞を殺した経験を持つという異様な国家の収容所。その同房者、看守、警官、裁判官、日本大使館職員までもが「全員悪人」的な、これはプノンペン版(北野武監督の)「アウトレイジ」
その地獄の収容所からの脱出と罪に陥れた奴らに復讐なるか!?という作者の異常体験に基づいたデビュー作。カンボジアを訪れた経験を持つお客のバクちゃんからの貸本です。
主人公が女性に常々「腐敗臭」を感じ(そんなんあるんや?言い訳ちゃうん?)成人女性を敬遠していた日本での日常から離れ、初めて訪れたカンボジア。そこでの売春宿で15歳のベトナム人少女に出会い熱い思いを抱くってことふくめ、在留外人の買春描写等の前半には辟易させられたけれど、孤立無援の囚人となってからのページが迫真的。経験者でなければ書けぬであろう描写多々で、これは読ませます。
カンボジア全土が強制収容所と化したポルポト政権崩壊後、その実態があからさまになった当時数々のノンフィクション本が出版され読み漁ったものですが、1千万人のカンボジア人を十万人(ポルポト兵士5万人および国外脱出者)を残し人民すべてを抹殺する計画だったというその殺戮の異常さは狂気としか思えませんでしたが、本書では中国系カンボジア人により(嘘かマコトか)その謎が解き明かされるというシーンまであり、ある意味、納得。
主人公いわく「ここは、悪魔の住む恐ろしい国だ」
ホンマです。
読後、こんな国、行きたくなくなりました。平和な日本の国旗を掲揚したくなりました。反日左翼教師はカンボジアにでも行きたまえ!と叫びたくなりました。
ヒットラー、スターリン、毛沢東に並ぶポルポトの悪魔の所業をご存じない方にもオススメの一冊!評価、おまけの5/5。
貸主♀のバクちゃんいわく「そんなコワイとこちゃうかったで」(あんたは強い!)。
11年2月14日(月)
★今回の本題、ランチのこと・・・。
先月25日にランチ営業終了宣言してのち、お客さん方から「ランチ来たのに閉まってたでぇ!」なんて声を聞き、鍵のかかったドアを開けようとする音で目覚めることもしばしば。
そういえば、「コーヒー」旗を12日に路上にあげ、ついで19日に看板を道路際に出し、これで遠くからでも営業してること分かるやろ!?・・・でも、向かいの家が建替え中で、工事車両でこの頃、看板も旗も死角に・・・。
そんななか、半ばやけくそでランチ終息宣言したわけであります・・・。
でも、昼前に目覚めるという習慣身についてしまってることに気づき、かつ工事車両路駐も少なくなっての上記状況。
「う〜む、発想の転換で、『しんどくっても開けなければならぬ』悲壮な義務感排除し、『昼前に起きれた時だけ開けよか?』」とふと口にした途端、お客さん方「そうし〜や!」
そやな、それでお客さん増え始めたらがんばろか、ってなことになり、本日より「気まぐれランチ・タイム」ってな表示で、ランチ、再開しました。
そして、お客さん、来られました・・・。今回は笑えないバカ話的バカ話でした・・・。
11年2月17日(木)
★いよいよ19日、墨丸初のオールナイト映画祭!
日本映画の最高傑作(と我思う)、小林正樹監督、仲代達矢主演「人間の条件」六部作、約10時間一挙上映です。
1960年初頭、松竹系映画館で三度に分け上映され(親に連れられみました。で、我輩の人格形成に影響大に。長時間映画ということでギネスブックにも登録されたそうです)、70年代でしたか、ミナミの今はなき松竹座でオールナイト一挙上映も(青春時代にみました。これが後のオールナイト上映の発端となったそうです)。
第1部、2部のDVD予告編より以下抜粋。
「全国1千万読者の胸に感動の嵐を呼んだ世紀のベストセラー、五味川純平の「人間の条件」。生と死と、絶望と希望と、そして愛と真実とが戦争に引き裂かれ、国境に隔てられた人間達の間にひとつの炎となって燃え上がる。太平洋戦争のさなか、戦力増強の大地となった南満州を背景に、名匠小林正樹監督一世の演出と、鮮烈、宮島義勇最新カメラが描く激動のドラマ。人間の、人間としての、人間であることの苦しみと悲哀、誇りと歓びを謳って、現代に生きる我々の胸に刻んだ不朽の感動作!」
ちょっとくどいコピー。けれど通常映画で描かれるテーマ(愛、人間の善意と悪意、組織の矛盾、激闘、サバイバル、拘束、友の死、復讐、脱出、彷徨等)すべてを盛り込んだような、ま、端的に言えば戦争に翻弄される人々の悲劇完全版であります。
その名作のオールナイトを今回再現!
会場は大型テレビ有りの墨丸会員388号Cちゃん宅。
我輩の仕事にあわせての深夜スタートで、参加者は事前に「仮眠要」が条件。
(参加者募集は当ページでも行っていましたが、残念ながらすでに満席!)
ツタヤで各店舗在庫探してもらいようやく本作レンタルできたのが昨日。
で、我輩事前に何時間分かみておけば参加者も我輩も気兼ねなく(上映スタートも早めにでき、墨丸営業終了時間も気にせずに)・・・ということで、みましてん。三部作分、5時間強分も。第一部で止めようと思っていたのについつい夜を徹してみてしまいました。
かつて原作六部作も読破。映画は劇場で2回。テレビ放映分と加藤剛主演のテレビドラマふくめて4回もみてるわけですが、(今回は30年以上ぶり?)いや〜、今みてもドラマチック!重厚なる脇役※(いまどきのガキっぽい俳優はいません。主演の仲代達矢さんは当時28歳。でも昨今のその年齢にはとても見えません。厄年云々の話題で出るのが「現代人は昔に比べて15歳若い。だから厄なんて当てにはならん」という弁ですが、納得させられますぞ)、演出ふくめ、今では製作もできないであろう、これぞ「大人」の大作映画!
※第1部に憲兵隊の渡会軍曹(安部徹)が出てきます。悪役です。
このページで連載していた「高野山たどりつき隊物語」に出てくる親友サカモト氏の婚約者の姓が渡会(わたらい)さんでした。
サカモト氏が高野山の祖父宅に渡会さんを連れてき紹介したときのこと、祖父第一声が、「あのにくどい渡会軍曹の渡会かぁ!」 以上。