209「巨大地震の日」

11年3月11日(金)

★以前からお客さんに借りてた文庫本、なかなか読む気起こらずして「これ返そか〜?ホンマ、面白いん?」「なかなか面白かったで」「ほんまぁ?」とまた手元に。

スポーツ小説です。
わたくし、アンチ・スポーツ派です。
ひたすら走るのは好きでしたが、バスケットもバレーボールもサッカーも野球もルールさえ知りません。
学生時代は体育授業後の汗と砂ぼこりまみれのままがイヤで常に欠席。下宿生活の食費を映画につぎこんでいたせいで常に欠食学徒でもあり、運動するとすぐ貧血やったし・・・。

そんななか、「そろそろ返さんとアカンなぁ」と仕方なくページめくった、その百田尚樹「ボックス!」(太田出版。題名はボクシング用語で「闘え!」)。傑作ですやん!

百田さんの傑作本は「永遠の0」どまりと思い込んでました。
ただ、本書のストーリー展開はみえみえです。
天才的ボクサーの素質をもつアホ高校生カブと、その親友の頭脳明晰ながら気弱な優紀。その優紀がとある理由で(これも予想範囲)カブの所属する高校ボクシング部に入部・・・。

もうわかりますよねぇ。
それで優紀がどんどん強なるんやろ・・・と。
でも、第1章「耀子、風を見る」冒頭から読者をひきつける作者のテクニック!
ボクシング未経験の優紀、同様にボクシング知識ゼロの新任顧問の耀子先生のおかげでボクシングに興味のない読者でも彼らの言動でその世界理解させてくれ、かつ枝葉の物語で読み進めさせてくれるテクニック!
おもいがけない展開は特にないものの、二日間徹夜で(といっても、朝方仕事終えてからの昼頃までやけど)読み切りました、上下巻!

へタレ男が強者にたちむかう邦画の秀作「フライ、ダディ、フライ」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」をも連想させ、「わし、涙腺ゆるいわ・・・」と改めて感じての、評価5/5。

そしての、うたた寝後の夕刻。
NНKニュースなにげなくみると、「大地震」のテロップ。
「震度4?なにが大地震やねん!」と寝ぼけ状態のあとで、びっくり。
震度4は余震。「東北・関東大地震」の日でありました。
9.11同時多発テロのハイジャック機激突の瞬間その時刻、店のテレビで惨劇目の当たりにしていたというのに日本における世紀の悲劇の瞬間、不謹慎にも我輩、鉄骨ベット上で「ボックス!」の余韻にひたり眠りつづけていたのでありました・・・。 以上。

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