220「ヒマゆえの・・・」

11年10月11日(火)

★「今夜の本!」

このコーナー久しぶりです。
「はやく紹介したい!」本、なかったことが要因。
今夜はヒマすぎて、も要因なり。
で、面白くなかったモン順に列挙。

「海峡」(伊集院静。新潮文庫)
著者自伝的長編三部作の一作目「幼年篇」です。淡々すぎて次作読む気力わかず、評価2/5。
三部作の番外編「お父やんとオジさん」、買ってしまってる・・・。

「硝子のハンマー」(貴志祐介。角川文庫)
日本推理作家協会賞受賞作。密室ものだった。この手の作品は好みではないので、3/5。

「9月が永遠に続けば」(沼田まほるか。新潮文庫)
只今本屋さんで平積み大売り出し中!
一人息子がゴミ出しに出たまま行方不明に。このあたりの母親の心理描写が読ませます。そのいわばありふれた事件を発端に明るみに出てくる人間関係の数々。
ホラーサスペンス大賞受賞作ながらホラー要素はなしというのはよしとしても、中だるみが気になり激賞されているほどでは?3/5。

「青の炎」(貴志祐介。角川文庫)
犯人の側から描く手法は心理描写が活きて好み。その倒叙推理小説の佳作です(アイラ・レビン「死の接吻」は傑作)。
義父殺しの完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。常に犯人側に共感してしまういびつなボク向き本。4/5。

「ファントム・ピークス」(北林一光。角川文庫)
山奥に潜み人を喰らう魔物?その正体が明るみに出るまでのゾクゾクする面白さ。その後の展開も絵空事ではないリアル感。
北林さんは本作書き上げ急逝というのが残念至極。4/5。

「君たちに明日はない」(垣根涼介。新潮文庫)
リストラ請負会社の青年社員とリストラされる側のさまざまな人生の交差が読ませます。続編あり。読みたし。山本周五郎賞受賞作。4/5。

「骨の記憶」(楡周平。文春文庫)
今回のイチオシ!
墨丸会員734号チャンさんが「これマスター好みでしょ」と貸してくれたんで帯の宣伝文句も裏表紙のあらすじにも目を通さずして読了。これが正解。
東北の貧農のせがれが集団就職で上京。ラーメン屋の下働きをしながら孤独な日々を送り・・・とこの時代背景の書き込みがリアル感を増し、ある暗い過去を背負った少年がどういった人生を送ることになるのか、興味津々となる次第。前述「海峡」とは大違いなり。
帯には「ネタばれ」記述あり。みるべからず、読むべからず。著者最高傑作といわれる復讐ドラマの秀作ですぞ。5/5。
チャンさんには彼未読の系列本、水上勉「飢餓海峡」をお貸ししました。 以上。

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