221「想い出の深夜食堂」

11年10月16日(日)

★偶然ってあるもんねぇ。

今夜のお勘定シーン。
「はい、3460円です。ありがとうございました!」
「マスター、こっちもお愛想」
「は〜い・・・3460円です・・・あれれ?」
「どうしたん?」
「いまのお客さんとおんなじ3460円!」
「へぇ〜、そんなこともあるもんやねんね」
しばしのち、別口のお勘定。
「はい・・・3460円・・・です」

ちなみに、人数も飲み物もまちまちでした。

★想い出の「深夜食堂」(墨丸は深夜喫茶&酒場です。ごはんもあり)

閉店後、毎日放送の深夜番組「深夜食堂」録画分をバックミュージック代わりに、お客の蘭ちゃん、ニノマイくんと軟骨塩焼き、冷奴を肴に店で共に酒飲んでると、テレビ画面になつかしの、「あ、安田道代や!」

画面に写ったのはかつての大映の、「野菊の如き君なりき」や「氷点」をみた中学時代に女優という存在を初めて意識した4歳年上の、安田道代。

そして初めてのファンレターというものを書き返事をくれたのも彼女(あ〜、ボクの麦藁帽子どこへいったのでしょう?的、あの返信文、どこにいったんでしょ?・・・味をしめての後年、いしだあゆみにもファンレター出したけれどこれは無視され、これで私はあゆみファンをやめました)。

この頃住んでた南紀で初めてのデパートができ、その大食堂に彼女そっくりなウェイトレスがいて、人づてに1〜2歳年上と知り年上に興味を抱いたのはこのときが人生最初で最後。ちなみにわたしは同世代派です。
で、ライス物でいちばん安い玉子丼を毎日ほど食べに(麺類はもっと安かったはずですが、食費は映画館通いにつぎ込んで一日1〜2食の下宿生活の高校時代、麺類では体が持ちませんでした)、いや彼女の顔をみに通ってました(薬局の女の子に恋した場合は耳かきがいちばん安いようです)。

さらには食堂以外でも会えぬものかと、屋上遊園で真冬のモノレール運転手バイトをかってでましたが、結局館内では一度も会えずしてのさむ〜い経験もあり。
ちなみにストーカーなどではありません。この時代ではこれは純愛といい、「何なさいます」「玉子丼を」の会話だけで終わってしまった淡い恋でした。

後年、彼女は我輩と全然ちゃうタイプの若宮富三郎(勝新のお兄さん)と結婚、大楠道代と名を変え、近年では阪本順治監督、藤山直美主演の傑作「顔」に脇役で出演していたのを最後にみての、この「深夜食堂」での出会い。

本日昼間、先の酒宴の席でちらちらみただけのその第9話「アジの開き」をあらためてみました。

「営業時間は夜12時から朝7時ごろまで。人は深夜食堂っていってるよ」とナレーションが流れて始まるその小さなめし屋に、小粋な和服女性(安田道代)が食事に訪れます。
「どちらから」と小林薫演ずる店主がたずねると「肥後の熊本」「なまってないねぇ」「もとは江戸っ子だもん」

「う〜ん、年取って昔の面影は薄れて声もかすれてるけどやっぱりいいなぁ、安田道代!」

彼女の役は、ゴールデン街のストリップ劇場の幻の名ストリッパー「ローズ美千代」(うん、ここでもミチヨか!と納得)だったという物語なんですが、はい、み終わってのエンドロール。

配役名が流れる・・・ん?「大楠道代」の名前ないやん?
巻き戻す。
ん?ないやん?また名前変えたん?
巻き戻す。
小林薫の名の次に「リリィ」
ん?あのぶす女(ごめんなさい俳優の方、ボク取り乱してまして。脇役の、深夜食堂でローズと仲良くなる若手ストリッパー)がリリィかぁ?まっさかなぁ!若すぎるし、70年代のヒット曲「私は泣いています」歌ったリリィは美形やし、と錯乱状態下でも即、分かった・・・わ。

青春時代を懐かしく思い出してた安田道代、と思い込んでた役者は、歌手リリィだった・・・。
そういえばあのかすれ声、リリィやん・・・。
そういえばリリィを初めてみたとき安田道代系顔立ちや、と思ったことがあった・・・。
年とって変わったとはいってもなにが「ローズ美千代」や、そんなとこで納得したおのれが恥ずかしい・・・。

道代さん、すんません。
ん?リリィもええなぁ・・・。

「メニューになくても、できるものならな〜んでもつくるよ」と小林薫のセリフで物語は終わりました。
小林さんもええなぁ・・・。 以上。

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