222「時計仕掛けのオレンジ」の悪夢(後編)

11年10月18日(火)

★本日、堺の労災病院再訪。

前回「『時計仕掛けのオレンジ』の悪夢(中篇)」でのレーザー手術後の初検査日です。

午前の予約ゆえ昨日も早仕舞いの予定が、やはり終業午前4時過ぎ。
でも9時過ぎにはふと目覚め(日本人は死地に赴く際にはこのように潔くなるものです)、何があっても恥じぬよう下着も替えての身支度整え、いざ駐車場へ・・・と、忘れモン。

前回、瞳孔開く点眼薬で日の光りがまぶしすぎての車での帰り道、信号見落とし命落としかけたのを思い出し、店にサングラス取りにUターン(車で行ったらアカンねんけど・・・)。
で、う〜む、予約時間ギリギリ病院着となる。
が、う〜む、駐車場満杯ではないか。
で、う〜む、予約時間に25分も遅れてしまって、思えばぜんぜん潔くなかった・・・。

今日の検査ですべてが終わるんだろうか?
次の段階のよりハードな手術となるんだろうか?
そんな手術経験者のお客さんいわく「針が突き刺さってくるのがみえるのよ!これがもう麻酔してても痛いんよッ〜!」
こんなの想像もできぬ。いや、したくもない・・・。
かつ前回同様、いや以上の高額治療費請求されたら今後の我が生活は?
・・・などなど、潔い日本人とも思えぬ煩悩多々のまま検査時間来たる。

凡人には思いがけないことが起こるものである。
前回と同じ担当若輩センセ、検査の後「う〜ん、今日もレーザーですね」

・・・今回、なんにもナシの治癒もしくは次の手術か、そのふたつに一つしか思い浮かべてなく、いや本音では、なんにもナシだろうとО型の我わけもなく楽観してて、あの黄色いチカチカ・レーザー光線拷問ふたたびとは夢にも思わず、もう屠殺場に引かれる豚の気分、蛇の生殺し気分。

「あのぅ、これで直らなかったら次の手術というは・・・」
「内部手術と外部手術がありまして、リスクは内部手術のほうが云々・・・」
「いやセンセ、そんなことよりそれらはやっぱり痛いんですか?」
「痛いです。内部手術の方がとくに」
「・・・」
我輩、打撲および切る分には多少耐性ありかもなんだけれど、刺されるという行為にはおぞましさを覚える、いわば先端恐怖症持ち
物心ついてからの注射など採血時以外したことなし。
そんな採血時にも看護婦さんに「注射嫌いでしょ?」といわれるほどの分かりやすいタイプ。

今回は若輩センセ、あのアゴと額をつける器具にボクの頭をベルトで縛り付け固定しました(これだけでも想像できるでしょ、いかに過酷か)。
そして前回、これはなに?と思ってたテーブルから突き出してる左右の棒、さわってみるとそれは手でつかみ、痛みに耐えるための(ボクはそう思う)鉄棒でした(これでも分かるでしょ、痛さのほどが)。
が、左側の鉄棒付近にはコード類が邪魔ですんなり握れません。仕方なく右手だけに力を込め握り締めあの衝撃に備えました。

センセ「前回、痛かったですか?」
我輩「痛いですよ!!」(思わず感嘆符ふたつ分くらいの返事)。
センセ「ふふふ」(と、笑った気がした・・・)。

で、例の黒い円筒形物体をまず眼の中に入れ(初回は眼中に入れるというショックもあってのプラス痛みだったけれど、今回は経験済みのせいかその痛みは多少軽減)、あのまぶしすぎる光の瞳孔照射へて・・・「さぁ〜、次はレーザーやぞぉ」と身構えました。

凡人には思いがけないことはつづくもんです。
身構えたとたん「ズキーンッ!」「痛たーッ!」

前回は「チカチカチカ・・・ズキン!」やったのに今回は不意打ち。
センセ、「ハイ!額つけて!動いちゃダメ!」
ん?ベルトで頭動かせんけど?ひょっとしてセンセ、うろたえたんちゃう?機械の操作まちごうて?

地獄に仏だったのは、今回は右目だけだったこと。
チカチカ・レーザー光線回数も前回より若干少なかったこと。
でも前回に比べなぜか心身ともに疲労困憊。また目の奥がズキズキもして頭まで痛く・・・初回の操作ミス的「ズキン!」のせいちゃう?

こうしてのち前回同様待合室で涙流しながら呼ばれるのを待ちつづけ・・・「はて、なかなか名前呼んでくれへんやん?」
で、通りすがりの看護婦さんに「だいぶ前に検査終わったんですけど・・・」と聞くと「あ、会計窓口へ行ってください」
そんなん言うてくれへんだら分からへんやん!
でも幸いにも、支払い金額900円弱だった(我孫子の例の医院なんて毎回3千円前後やったで!)。
そしてこの労災病院、眼科手術では全国4位。大阪ではなんと1位。ま、その該当医はあの若輩センセともちろんちゃうやろけど・・・。

前回、まぶしさを少しでも軽減するための時間つぶしかねて地下食堂でランチ食したけれど、あまりの不味さに今回は外で食事場所を探すことに。
が、あまりのまぶしさに通り沿いの看板さえも判読できず(サングラスは車の中に置いてきてしまってた・・・)。

ようやく探し当てた喫茶店「日替わり定食、サバ塩焼き850円」
サバやシャケは自炊生活で食べ飽きかつ、なんでサバが850円もすんねん!
あ〜、ピラフもオムライスも自炊で食べ飽きてるし・・・「カレーください」といった途端にもう後悔。食中、食後も後悔・・・。

この店で辻村深月「ぼくのメジャースプーン」(講談社文庫)読了。

題名、裏表紙のあらすじで本を選ぶとするならばゼッタイ手にとらない作品。貸してくれた墨丸会員734号チャンさんも「ただ平積みになってたから買いました」という本で、「でも、マスター向きかと」と前回彼オススメの秀作「骨の記憶」(楡周平)同様、我が好み理解しつつある彼は貴重な読書仲間。

これがですね、題名、あらすじからは想像できぬ良さに満ち満ちていて・・・小学2年生のボクと、分厚いメガネに歯列矯正金具をつけた、クラス仲間からはブスといわれてる、でもとってもいい女の子の同級生ふみちゃんとの友情物語なんですが、そこに、校内で飼育しているウサギの虐殺事件や「呪い」ってのがからんできて、「子供」に読者を感情移入させてしまう作者の力量に脱帽。
ラスト、目の痛みでか感動でか目に涙、でした・・・。評価4/5。

★今回でこの「悪夢」シリーズ完結かと思いきや、来月1日さらに再検査に!
で、嫌々ながらの「番外編」につづく・・・。つづく。

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