239「墨丸氏の優雅な一週間 / 7」(「カフー」のお話)12.5.21〜

12年5月21日(月)

一ヶ月ぶりの店休みです。

休みの日の昼間、仕事忘れてゆったりと本を読んだり録画映画みたりしてみよう、と今日初めて思ったけれど、ついつい仕事人間は残務整理等してしまってはや夕暮れに。

で、前回記した我輩の見知らぬ居酒屋に7時過ぎに出向きました。
最近遠方より来てくださるYクンらのために(彼のことは「墨丸氏の優雅な一週間 / 5」参照)、「近くで飲んでます。電話ください」と貼り紙して。

その居酒屋は「諒款(りょうかん)」(苅田9−12−19)。
40代の息子さんと70代のおかあさんお二人のお店です。
以前は我孫子の玉出スーパー近くで営業してたとか。知りませんでした。

カウンターでしばし一人黙々と日本酒(「富貴」でした)呑み続け、いつしか隣席の60代男性と話始めてると店のおかあさんも加わってき、いわく我輩のこと「最初、なんか難しそうな方やなって思てましてん。で、わたしよう話しかけんかった。でも、ぜんぜんイメージとちゃいますねぇ」(ま、昔っからよくいわれることで)「今度から私のことおかあさんって呼んでや」などといってくださり、三人で奢ったり奢られたりで意気投合。3時間以上呑んでましたか。

次の店は玉出スーパー近くの、沖縄バー「グルグル」(だったっけ?)。
先週、常連の焼鳥屋のFさんとご一緒に来られた沖縄県人の若きマスターの店です。
でも、もう我輩相当酔っ払ってて泡盛ロック一杯呑むのがやっとながら、島らっきょつまみながらマスターとおしゃべり。
12時閉店ゆえ、そこを出て近所の馴染みの居酒屋「きた越」へ。でももう呑めず、海鮮丼で〆。

一人っきりの休みだったけれど、まぁ楽しかった。またもう休みたい・・・。

5月22日(火)

昨夜呑みすぎて、10時間近くトイレにも起きず眠り続けました。

で、汗かいてアルコール飛ばそうと、何度目かのカウンター内の荷物整理(肉体労働です)。
ホンマ汗かいたけれど、銭湯に行く時間もなくなってしまった。これはツライ。が、明日も続行!

昨夜、せっかく貼り紙してたのに、Tくん(いつもなら「どこで呑んでますのん」って電話くれる人なのに)こんなときに限って、8時過ぎに来店しかけネオン消えてるのが見えたのでそのまま引き返してしまったとのこと。残念!

5月23日(水)

★「今夜の本!」

先日の新聞に、原田マハさんの小説「楽園のカンヴァス」が山本周五郎賞受賞の記事。
で、行きつけの古本屋に彼女の旧作「カフーを待ちわびて」(宝島社)あったの思い出し購入。
昨日から読み始め、続き早く読みたくって本日営業中にも読みすすみ、読了。

沖縄の離島で雑貨店をひとり営む青年のもとに、名を「幸(さち)」と記した「わたしをお嫁さんにしてください」という奇妙な文面の手紙が届く。やがて現れた美貌の幸は、「お嫁さん」のことも「自分の過去」のこともなぜかひとことも語らない。問いただすと幸が消え去るように思う青年は何も聞けぬまま、幸は雑貨店を手伝い始める。愛犬カフー(「幸せ」という沖縄言葉)の散歩のときと別々の部屋で就寝する以外はいつも一緒という奇妙な同棲生活を送るうち、青年は次第に謎の女性、幸を愛するようになるのだが・・・。

山本周五郎先生の時代小説短編「その木戸を通って」を思い出しながら読んでいました。
ある武士の家に見知らぬ女が訪ねてくる。その女はいつしか男の妻となり幸せな日々が続くのだが、ある日、やってきたと同様に女は木戸を通って消えてしまう。彼女は何者だったのか。その女を愛していた男の心情思い出し、ああ、幸もあの小説の女と同じようにいつしか消え去るのではないかとハラハラしつつ読み進むうち、ある疑念が生じ・・・ラスト「ああ、そうだったのか!」

結末は読者の判断にゆだねられていますが、映画版(存在知らなかった)ではその結末あからさまとか。みてみたい反面、俳優でイメージ崩れるのがイヤだなぁ。

上質の恋愛小説です。
こういう作品読んでるとイヤなことを忘れさせてくれます。
「手を振り返してくれる人が、そこにいる」なんてささいな文言にもグッときて。でも現実にはこういう女性は存在しないことももう分かっていて・・・。日本ラブストーリー大賞受賞作。
久方の評価5/5!(で、カウンター内整理、本日続行できず)。

5月24日(木)

ご無沙汰の「今夜の映画!」コーナーです。

というのも、紹介したい作品が少なすぎるからですが、先日みた「アンノウン」(リーアム・ニーソン主演)は異色作でオススメ。昨日の「カフー」ラストシーンでこの映画のこといま思い出しました。

学会に出席するためベルリンを訪れたアメリカ人夫婦。
空港でタクシーに乗ったさいパスポートの入ったアタシュケースを積み込み忘れる。
主人公のニーソンはホテル到着時に気づき、フロントに妻をおいたまま別のタクシーで空港に戻ろうとする。と、途中で偶発的な事故に遭遇。4日間病院で意識不明に。
事故の後遺症での断片的な記憶のもと、妻の滞在するホテルを思い出し訪れると、妻は主人公を見たこともない人だという。その傍らには妻の夫と名乗る男が。男の身分証明書には自分の名が記載されている。主人公には身分を証明するものが何もない。皆が自分を騙そうとしているのか?それにしても・・・という物語。

う〜む、何らかの陰謀に巻き込まれたにしては余りにも偶発的出来事が多すぎるではないかとドラマの展開読めずして・・・・ラスト「ああ、そうだったのか!」。で、評価5/5。

リーアム・ニーソンってファンじゃないけれど、異国の地で愛娘を人身売買組織に拉致され、時間内に見つけ出せねば永久に見つからなくなるという人身売買の闇の世界に元情報部員の父親が挑む「96時間」も異色作で、彼主演の次回作につい期待してしまいました。

5月25日(金)

カウンター内整理、ほぼ完了。この「ほぼ」ってのが曲者。
残った箇所からふたたび秩序の崩壊が始まるのだ。明日は厨房整理の予定。で、その「ほぼ」を厨房に収納するのだ。

5月26日(土)

昨夜は店で飲みすぎてしまった・・・。

で、本日昼ごろ起床し、最近の習慣で空腹でもないのに自転車で喫茶店のランチメニューを見にゆく。
黒板に書かれたランチメニューみて回っていつものようにガックリし(自分でも作れそうな食事には食欲わかず)、自転車でさまよってるうち次第に空腹に。かつ食事処探すのもおっくうになって、またココイチ。

新聞持ってカウンターに座ると、店員「ポークカレーですか?」
なんやねん、わしってポークカレー男かよ!(そうなんやけど。いちばん安いから・・・)。
で、「いや・・・」とメニュー広げて「ビフカツカレー」(アホやん、食べる気もなかったのに・・・)。

先日の朝も、朝刊取りに表に出ると色の黒い外人近寄ってき、「小学校建てるためのカンパお願いしてます」とスリランカかどこかの子供の写真とともに「コレ、千円、コレ、千五百円」と刺繍した布袋みせられ・・・ホントに子供のためのカンパなのか疑わしくいつも思ってしまうのに、そうしたセリフに無下に断れない弱みにつけ込まれ(?)、いちばん安い、でも使い道なんてない布袋を買ってしまった・・・。アホや?

若い頃、阿倍野でチンチン電車降りたとき、中年男性近寄ってき「財布失くしてしまって、小銭貸してくれません?」と頼まれ渡し・・・と、翌日同じ場所で同じ男が「財布失くして・・・」「あほ!おまえに昨日貸したやないか!」と怒鳴るとあわてて逃げ去られたこともあり・・・。わしってそんな被害者になりやすそうにみえるんやろか?「難しそうな方」なんて思われる反面ねぇ・・・。

いやいや、話がそれてしまった。
で、本日昼食から帰ると、呑みすぎた余波でなにもする気せず終日簡易ベッドでゴロゴロ。
あ、それだけではなかった、このしんどさは・・・。

昨夜、酔いも回って店閉めようかとしたとき来店の女子大生R嬢「マスター、もう終わんのん?部屋の鍵、大学に忘れてきてん。朝までおらして」といわれ、これはイヤやとはいえません?
で、ウサギのダミンさわってる彼女にこれ幸いと「ウサギ、散歩連れてってもええよ」(ウサギの子ダミン、二度目の外出です。ボクは連れ出したことありません。恥ずかしいから)。

その散歩の間に夜食のチキンラーメン食し、帰ってきた彼女には窓際のソファすすめ我輩は例のタイ製ソファに倒れこんで・・・。

早朝、物音で目覚めると室内に大柄の女性が(女子大生、合気道部員で我輩より背が高いのだ)。一瞬ナニモノか!とパニックに陥りかけ、彼女「電車動いてるから帰りますよ〜」。ああ、彼女だったか・・・ホッ。
せまっ苦しいソファでの、服着たままの就寝のせいでもあったのだ、このしんどさは。 以上。

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