13「奇跡の恋」

1.17tue/2005

今回は、かつて恋愛至上主義者だった我輩の報告である。

★奇跡ではない

男女が惹かれあう要因として「遺伝子」が大いに関係しているという新聞記事を以前目にしたことがある。
惹かれあっての結婚、そしての出産がベストであり、そうでない場合は・・・云々といった内容で、このことをもっと詳しく知りたいと常々思っていたところ、厖大なる我が未見の録画ビデオの中にちょうどそのことがとりあげられている番組を偶然発見。昨年放映されたのでご存知の方もいらっしゃるだろう。

番組冒頭では、車の下敷きになった少年を救うべく、女性が1.2トンもの乗用車を持ち上げたという、いわゆる火事場の馬鹿力を発揮した事実を紹介。
(女性は普通70〜80キロの重さを持ち上げるのが限界とか。我輩は多分35キロ位だろうけど)
これは果たして奇跡なのか?い〜え、それは・・・という、現代の奇跡を科学的に解き明かし、これは奇跡ではない!と断じる内容だった。

ほかに、佐渡の柳沢という土地の住人はアワビを一切口にしないという風習について。
それは沈みかけた小船の船底の穴をアワビがふさいで救ってくれたという伝説によるものというのだが、このことの科学的証明やいわゆる夢の予知能力について取り上げられていた。
その番組の最後に紹介されたのが冒頭の遺伝子にまつわる、「奇跡の恋」についてだった。

★一目ぼれの法則

米国在住のエドウィンとメアリーはダンスパーティーで互いに一目ぼれ。
が、エドウィンは出征。音信不通となる。その後メアリーは結婚。
そして60年後、夫と死別した彼女はひとり船旅に出る。
その船上ダンスパーティである老人から「踊りませんか?」と声をかけられ、その瞬間二人は恋に陥る。
その後の自己紹介で容貌は変わってはいるものの、その老人はかつての恋人エドウィンだと判明。そして二人は60年の時を経てようやく結ばれるのだ。
このように、同じ二人が再び一目ぼれという奇跡は奇跡でないのだろうか?

英国のある研究者が「一目ぼれの法則」を二点あげている。
ヽ曚旅さ、鼻の長さ、あごの長さなど、顔の配置、バランスが共に同じな場合。
例、チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃。これを「ハーモニー効果」という。

¬椶里ぼみ、鼻の形、口の形、唇の厚さなど、顔の各部分が合致する場合。
例、デビット・ベッカムとビクトリア夫人。これは「エコー効果」

一目ぼれはこれらの法則にもとづくとその研究者は言うのだが、残念ながらエドウィンらはこれらの法則にあてはまらなったのだ。

★遺伝子の法則

実は、一目ぼれはこれだけによるものではない、と日本の遺伝子研究者はいう。一目ぼれと遺伝子は深い関係にあるというのだ。

恋愛はいくつかの遺伝子群によって左右され、恋愛遺伝子群のなかで最も重要とされている遺伝子はMHCと呼ばれている。
MHCは免疫に関する遺伝子で、違う種類のMHCを持っていればいるほど、より多くのウイルスなど外敵に対して抵抗力を持て、その遺伝子は父親と母親から子に遺伝。別の遺伝子が多いほど子供の抵抗力が強くなるという。

そしてMHC遺伝子が全く違っている場合ほど、本能的に惹かれあうと考えられ、エドウィンとメアリーの場合、遺伝子が全然一致していないことが判明したのだ。
60年の時を経て外見がまったく変わっても遺伝子による恋は不変だったのだ、と番組では解説される。

昆虫や動物はフェロモンを発散し、そのフェロモンを感じ取ることによって相手の遺伝子の違いが分かるというが、はたして人間は?
そう、人間も自分と違う遺伝子を持つ相手には自分好みの匂いが体から生じているというのだ。

★実証実験

そこで番組では実験をおこなう。
―藺侈未涼暴各10人が無言でダンス。5分単位で相手を代え、女性は好印象の男性を一人選ぶ。

△弔に男性軍は新しいシャツに着替えて激しい運動をし、その汗を吸ったシャツをひとつずつ箱にいれる。そして女性軍は好きなシャツの匂いを選ぶ。

結果
,鉢△亮存海巴暴とも高確率で相手が一致してしまうのだ。

エコー効果、ハーモニー効果、そして匂い=恋愛遺伝子を原因としての一目ぼれ。
ではなぜその中から「別れ」が生じるのかという疑問に対しては、いわく、男性は自分の遺伝子を多く残そうと本能的に多くの女性を求めるようにできており、ある程度一目ぼれしてもしばらくして飽きるようにできているらしい。
本能的に多くの相手によりたくさんの遺伝子を残そうとするその動物的本能を抑制させるために、人類は結婚というシステムを発明したのだという。

しかし、ハーモニー効果やエコー効果というのは、遺伝子が共通しているからこそのことではないのだろうか?
昔々の詩に、バスで田舎町を通り過ぎる一瞬、歩道にたたずむ少女と目が合い恋に陥る青年の心を詠った詩があったけれど、そういった恋はいったいどう判断するのだろう?

・・・いや、すでに恋などしょせんスクリーンや活字の中だけの夢想の産物、一時的な精神錯乱の産物と判断する我輩にとって、もうどうでもいいことなのだが・・・。
この番組で得たことは、数々の恋を経てきた我輩は欠陥人間などではなく、至って正常極まりない人間であったのだ、と判明したことか。ふふふ。
が、我輩の子供たちは非ベスト人間として生まれてきたのかもしれぬ。う〜む。う〜む。

「奇跡の恋」完

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