77「墨丸週間日誌 秋号」

10.8.mon./2007

★「酩酊くらぶ」の夜

今夜はひさかたぶりの墨丸休日。
(8月だったか、墨丸歴史に残る「2日間行方不明事件」以来か)
夕刻、ミナミのジュンク堂書店でサラリーマン時代の親友М氏、住吉店時代からの常連ポストマンと待ち合わせ。

待ち合わせ場所はこれまたひさかたぶりの大型書店ゆえ、「あ〜、これもあれも欲しい欲しい!」だったけれど、今夜の飲み代さえ乏しい状況下ではガマンの一途。
そのなかで特に目を引いたのがスティーブン・キングの「不眠症」
読んでないようなすでに持ってるような・・・。
こんな時よくあるのが、思い切って買って帰るとすでに2冊も持っていたとか、読んでる途中のかすかなかすかな既視感へてのラストシーンで、ああ、むかし読んだ本!とようやく気づくとか・・・。
映画「キングコング」でいえば、33年のオリジナル版は事細かなところまで覚えているのに、先ごろみなおした76年版はみたことがないほど覚えていなかったりとか・・・あまり関係ないか。

で、後ろ髪引かれる思いで本屋あとにしての今夜の目的、墨丸会員700号ゆみっぺが新規オープンした千日前味園ビル2階のバー「酩酊くらぶ」(いい名だ)への表敬訪問。

ミナミで墨丸のお客サンがオープンしたバーは、東心斎橋日宝周防町ビル4階のスタートレックファン伊藤クンのお店「トレック」につづきここで2軒目。
かつて住吉区内では同様に4軒のバーが開店。が、いまや閉店か代替わり。
ゆみっぺにはぜひとも(くたばりかけ墨丸のようにもならず)頑張って欲しい。
みなさ〜ん、うら若き女性ひとりでの小さなお店ですよ。ミナミに出ることあれば寄ってあげてくださいね(我輩誘ってくれてもイイですよ〜)。
でも、オカシソウな方にはやんわり入店をお断りしてるそうですし、両隣の店の屈強な方々がいざとなれば駆けつけてくれるらしいので、あなたはご注意を?

訪問まえに腹ごしらえをと、千日前通りの居酒屋「和座」へ。
洒落た個室で男三人の酒盛り・・・ま、それはそれでいいかもだけど、我輩はこうした大型店より洒落てなくとも個人経営のこじんまりした居酒屋で大将とバカ話しながら、「本日のおすすめ」肴にのんべんだらりと日本酒飲み続けるほうが性にあってると最近つくづく思うわけで(関東系チェーンの安かろうまずかろうの「笑笑」「白木屋」「和民」原因の、これはトラウマによるのかも)。ここで生ビールと麦焼酎一本あけ、もうヤバイ酔い加減・・・。

「酩酊くらぶ」(小さな店がギッシリのフロアゆえ看板見落としそう。なぜかビル内携帯も通じぬ)で、アーリータイムズ、麦焼酎、ビール飲み重ねての深夜、もう限界ってんで「ミナミにきたら必ず寄ります!」と店をあとに。
が、今夜我輩が泊まる予定の日本橋ワシントンホテルにポストマンもこっそり同宿するってんで、「じゃ、もう一軒!」と近所のあやしげな某「屋台村」へ。

いまどき屋台村が?
建物のワンフロアに寿司屋から居酒屋、食堂、バーなどなんでもありのかつての屋台村、朝まで営業で重宝したものだが、あっという間にすべてが近辺から消え去っていた。あれはどうしてだったんだろう?
が、この店は屋台村というより単なる大型屋台か?それも・・・注文した「生ギモ」みてМ氏「なんでこんなとこで生モン頼むねん?」というほど雑な雰囲気。が、もうこの時点、酔って思考能力ゼロ・・・いや、この前に焼肉屋でも飲んでいたのだった・・・。

そしてポストマンとふたり、シングルベッドに倒れこみ(時刻不明)意識不明に。朝方寝返りうって隣にでっかい男が寝ていてビックリ。でもまたすぐ意識不明に。ポストマン、寝過ごして会社に遅刻・・・。

10.9.tue.

★ビンゴ

昨日から今日にかけて西村健「ビンゴ」を読む。
初めての作家で、いわゆるアクション小説。
この手の「読み飛ばして終わり」的作品はもううんざりなんだが、続編の「劫火」が日本冒険小説協会大賞受賞というので、まずその原点のこの作品を読んでみた。

結果、処女作ゆえか少々荒唐無稽。
が、主人公の新宿ゴールデン街の飲み屋のマスターが本好き、映画好き、酒好きで「酸素よりニコチンを呼吸して生きている」というほどのヘビースモーカー。数人も入れば満員のバー「オダケン」店内でシュラフにもぐりみ寝泊りしてるなんて我輩とおんなじやん、と親しみをもって読み終えた。

また、作者が「日本冒険小説協会」の初期会員だったということでも。
かくいう我輩も協会発足当初の会員。ま、会費未納で名簿にも名前は残っていないだろうが。そうそう、イッセー尾形の後援会にも入っていたがこれも会費未納で・・・。
ま、むかしっからビンボーだったわけ。いまがサイテーだけど・・・ここで、なにかの占いコーナーで「9日は天からの恵あり」とあったの思い出し、いま近所に宝くじを買いに走った・・・あ〜あ。

内藤陳協会長経営するゴールデン街のバー「深夜プラス1」にも当時伺った。
が、陳サンのガリガリに痩せたどす黒い三日月形の顔と、ブーツをはいた片足をカウンター下のビールケースかにのせて喋っていたのが印象的で、かつ客を客とも思っとらん態度も・・・。
たしか会報の「鷲」は当時の傑作本、ジャック・ヒギンズ「鷲は舞い降りた」からの命名だったと記憶している。

※続編「劫火1ビンゴリターンズ」も読み終えた。この「1」はいわばプロローグ篇。あと3冊と番外編2冊もあるそうだ。が、もう飽きてしまって興味ナシ・・・。

10.10.wed.

★「検診」前夜

明日は朝9時から健康診断。
最近急激に痩せたので、定期的に血圧の薬を処方してくれるセンセ「あなたの年なら市民検診無料で受けれますよ」。それでです。

まいったのは夜10時から飲食不可というやつ。
サラリーマンならいざ知らず、この時間帯以降空腹おぼえる商売柄、閉店後居酒屋「あ.」に走るという日常。この日は朝からなにも食べていず、スーパーで買った「うなぎ押し寿司」を10時丁度にぱくつく。

来店の病院の元検査技師のМさんに「水もダメなんですかねぇ?」と問うと「水はええやろ」「ということはアルコールは?」「血液検査すんねんやったらなぁ・・・」
でも深夜、バーボンの水割り(水割りなんて飲んだことないのに)二杯飲んだあと、ウイスキーはやっぱりヤバイかなぁと生ビールにきりかえた・・・アホや。

10.11.thu.

★「検診」の朝

指定時間に行かねばと思うとかえって眠れず・・・。
ようやく4時ごろからウトウト。

で病院にて一通りの検査後、最後は「バリュウム」
で、看護婦さん「じゃまず、注射ね。こんどは肩にね」

さきほど血液採取したばかりなのだ。
そのときも「あ、もう痛いの終わりますからねぇ」な〜んてふつうは大の大人にいわんやろ?それに今度はわざわざ痛そうな「肩にね」なんていうか?
むかし別の看護婦さんにいわれた。「注射、きらいでしょ?」
我輩のそのときの表情でわかるもんらしい。プロやなぁ。いや、Sか?

我輩「なんで、注射?」
看護婦さん「胃をうごかすの」
「バリュウム、やめてもいい?」
「なんで?」
「胃、なんともないようやし・・・」
「センセ、バリュウムいいっていわはりますけど」
「ええやろ」
・・・もの心ついて以来、風邪ひいても注射は拒否で(血液検査のそれだけは仕方ないけれど)、こんなんやったら夜食摂るんやった、と後悔した尖端恐怖症の我輩だった・・・。

10.12.fri.

★「あ.」にて

住吉在住の墨丸会員388号ちかねぇよりメール。
今夜、千代田店を訪問するとのこと。
うら若き女性ゆえ「遠いからええよ」と返信すれど、「いったらアカンのか」といわれると・・・。でも時計みるともう9時。いままだ大阪の会社というから来てもすぐ終電やろ?

で、半年ほど東京へ出向していた彼女と久しぶりの再会。
その通称ちかねぇ、10年以上墨丸に通ってくれてる常連さん。当時、墨丸三姉妹(店で知り合い互いに仲良くなった、彼女ふくめての女性三人組)が無給で(そのかわり飲み放題。焼き鳥屋での食事付き)バイトしてくれた、というよりカウンター内に押し入ってきた、というような方々のお一人。

「我輩もう飲んでて車で送れんし、あした仕事やろ、今晩どうすんねん?」
「なにいうてんのん、あした休みやんか」
はぁ、ヒマすぎて曜日の感覚なくなっとった・・・。
で、今月誕生日ってんでお祝いしようと、最近たびたび利用の居酒屋「あ.」に予約の電話。

で、「あ.」にて・・・
「タクちゃん、つれてきたでうちの女房!」
「何人オクサンいてはりまんのん」
・・・全然信じてくれんかった。若すぎるし美人すぎるからなぁ。

この夜は日本酒の話で盛り上がり、タクちゃんがまだ飲んだことがないという新潟の生原酒「菊水」と、度数46度の日本酒「さむらい」を墨丸で呑もうということになり、ご招待。
が、その途中で我輩貧血起こしそうになり(最近、空腹のまま酒をのむせいか時々あり)、ちょっと失礼と椅子に横になったらそのまま眠り込んでしまった・・・。
みなさん、朝の6時まで喋っていたとか。酒肴の補充もせずホント申し訳ない夜だった・・・ゴメンナサイ。

★「今夜の迷言!」

「極限状態の中で芽生えた恋はうまくいくって、古今東西のアクション映画が証明してたじゃねぇか?」
※「ビンゴ」主人公オダケンの言葉。が、なぜ「迷言」にしたかというと、映画「スピード」でもそうだったように、極限状態で芽生えた恋は長続きしない(「スピード2」に1作目のヒロインが出演していず)と、何かで読んだ記憶ありで、こちらの説が正しいと思うし、証明されたという映画なんぞも知らぬ。

※おなじく「ビンゴ」より、言葉じゃないけど「?」の、カクテル「オールドファッション」の作り方。作ってみたけど通常の作り方のほうが・・・で。
「ファッショングラスに角砂糖を入れ、アンゴスチュラ・ビターを振り掛ける。その上からワイルドターキーのライウイスキーを注いで、氷二個を加えた。入れる順番を一つでも間違えば、とたんに単なる悪趣味なライジュースに豹変してしまう。厚めのレモンスライスとマラスキーノチェリーを飾って、マドラーを添えた」

「墨丸週間日誌 秋号」完

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