108「ホソやん」

8.13.wed./2008

★焼き鳥好き

我輩、寅年でネコ科ゆえかと思うほど、焼鳥が好き。
でもチキンカツやチキンステーキ、フライドチキン、唐揚げ、チキンカレー、鶏肉の煮物などはなぜか好きくない・・・総じて、生モノと焼き物が好みといえば好み。

長居店当時、閉店後毎晩のようにバイト諸君と焼鳥屋(「でんでん」「さのも」)に出向いてたほどなのに、我孫子周辺ではそんな朝方、開いてる店がない。で、休業日にはたいてい自宅近辺の焼鳥屋に。

★生が・・・

が、ここで問題。
焼鳥にはとりあえずビールだが、地元の居酒屋は生ビールがマズイ。
生ビールは、ビール樽とサーバーをつなぐホースを水を通して洗浄。これが毎日。週1回、より洗浄のためスポンジを水と共に通す、ってのがメーカーの指導なんだけれど、それがなされてないのだろう店が多すぎるようだ。

で、最近はとりあえず瓶ビールを頼むことにしてるのだけど、そういうマズイ店に限って瓶ビールを置いていない。
最近だけでも焼肉屋ふくめそんな店に3軒も出くわしてしまった。
その1軒は吉本の某女漫才師オススメの店とデカデカと看板にあり、あまり好きくないその漫才師、これでまったくキライになった。
余談:外国人は日本に「とりあえずビール」という銘柄があると思っているらしい。

先日の焼鳥屋でも瓶はなく(イヤ〜な予感)、生を頼んでもひとくち味わってダメだったら・・・と、仕方なく日本酒で焼鳥をつまんでるところに(日本酒には鶏の「生モノ」があうが、常連の某大学免疫学先生の「菌」についてのお話伺ってからは「恐ろしくて」控え中)、待ち合わせの我が妻タヌコ登場。

★味覚音痴

彼女はビール党。
エビス生を注文。
ひとくち飲ませてもらう。
・・・う〜ん、マズイ!(青汁と比べてみたいわ)。
この店の生、いわばもう「すっぱい」というか雑すぎる味。
が、タヌコは平気・・・。

我輩ヘビースモーカーで四六時中舌がしびれてるかのわりに味覚はいまだ健在で、我が家でも少々古いモノがあるとタヌコ「味見して」とまるで一家のお毒見役。
はるか昔、タヌコが焼き飯作ったさい、どうも妙な味が・・・と(タヌコは「そ〜お?」だったが)、台所に水を飲みに行くと(タヌコは食事中、なぜか水やお茶を飲まない。彼女の味覚問題に関連してるのだろか)、そこに残っていたフライパン、こびりついた焼き飯と共にあったのは、う〜ん、調理に使った「しゃもじ」(プラスチック製)の先が溶けたそれではないか!
溶けたプラスチック入り焼き飯を生まれて初めて食べた日、かつ彼女の料理を信じられなくなった日であった・・・。

う〜む、これは我輩の味覚が優れているということでなく、タヌコの味覚が人間以下なのか?タヌキは味覚音痴の動物だったのか?・・・と、妄想抱きつつ読んだのが、井上夢人「オルファクトグラム」(毎日新聞社)。

キャッチフレーズは、「ぼくの鼻はイヌの鼻」
脳に障害を負い意識を回復した青年が、イヌの数百万倍から数億倍の臭覚能力を持ついわば臭覚人間と化していた、という物語。
そんな能力を身に着けてしまったら人間どうなるのだろ、と異様な世界観が殺人犯を追う物語より興味深く、サンデー毎日に1年半連載された小説ということで少々長すぎる感ありだけど、五感のなかでも学問的にあまり知らていないといわれる「匂い」の世界を面白おかしく知ることができて、4/5。

8.14.thu.

★雲の上の人

我輩16年前に某企業退職後、その後お会いしたか否かというほど久しぶりの先輩H氏が、7日からほぼ連夜来店。

かつての我輩の社員番号が2799番でH氏はなんと182番という、職務は違ったけれど大上司。雲の上の存在。
新入社員当時、同期かつ現在の墨丸会員91号マッチャンと事務所ビルのシャッター降りる深夜11時まで連日サービス残業。その後ストレス解消にと二人でミナミに繰り出す苛酷な日々送っていたとき、我らとしばしば事務所に居残っていたのがそのH氏。

ある夜「お前らいっつもどこ行ってんねん、わしも連れてけや」のひとことがきっかけで、以後「おい、仕事はよ終われや〜」とミナミ行へせっつかれる毎日、かつその間隙を縫うかのように他部署の先輩Iサンから社内電話で「今夜、一杯どう?」

★しにんかい

高給取りのH氏はいざ知らず、でも他の2名は独身貴族。家族持ちなのに付き合い良すぎる我輩、連夜の飲み代金策にいかに苦労したことか・・・。
で、こうしてバラバラで飲むのも割高と、グループで飲み始め結成したのが、「四人会」。呼び名は「よにんかい」でなく「死ぬまで飲もう」「死ぬまで飲むだろう」の意で、「しにんかい」
この頃から大上司H氏に対し今で言う「ためぐち」はもとより「ホソやん」が呼び名に。

★ホソやん、きたる

ま、我輩の退職でこの会も自然消滅してしまったけれど、そのホソやんが奈良の自宅から連日店に来る。い、いや、いらっしゃるのである。それもオープン前にはもう来られ、遅い日には午前3時頃まで飲み続けタクシーで帰られる。
そしてその間、我輩のサラリーマン時代のあることないこと(信用せんといて)大声で喋り捲るのである。ふ〜、あ〜。

今夜は前記マッチャンが転勤先の博多から帰阪。
ホソやん「久しぶりに3人で飲も!」とお客の切れた午前12時半に店を閉め(いや、閉めさせられ)、近所のスナックへ。その後、タクシーでホソやんの奈良の自宅へ。で、朝まで飲み続け・・・。

ホソやん「仕事はイヤやったけど、あとが楽しかったなぁ!青春しとったなぁ!」
マッチャン「あのとき貸した飲み代5万円返してくださいよ〜」
我輩「あんたらのせいで家庭崩壊したわ・・・」

ホソやん、昨年定年退職(見た目が昔と変わらんのがスゴイ。毒舌もお変わりなしやけど)かつ3年前に奥さんを亡くされたとかで、現在悠々自適の生活?後妻サン募集中でもある。みなさんご迷惑でしょうが、ま、よろしく・・・。

★「今夜の名言!」

前回紹介した永瀬隼介「デッドウォーター」に、名言ではないけれど「なるほどなぁ、ほんまやなぁ」という一節があった。死刑囚の殺人犯と隣の房の囚人との神についての会話。以下・・・

「聖書に記されている予言なんて、後の世の人々が、都合のいいように解釈できる、曖昧で漠然とした言葉の羅列ですよ。(中略)もし、この世の全てに通じた全知全能の神なら、曖昧で意味不明な言葉を残す代わりに、千年後、二千年後の全人類がハッと脳天に衝撃を受けるような言葉を残せばよかったのです」「たとえばどんな?」「簡単なことです。“光は、二回瞬きするほどの僅かな時間に我々の住む世界の周りを七回半廻ってしまう。光ならば、この地上から天に輝く太陽までは、瞬き二回を約五百倍した時間で到達する。そして、光より速いものは、この世に存在しない”と記してあれば、当時の、地球が丸いことさえ理解できていない野蛮人には何のことかまったく分からなくても、その後の人類には、想像を絶する大変なショックになっていますよ。(中略)19世紀まで人類は光の速さなど想像の外だったわけですからね。全人類が、ああ、神は確かに言葉を残された、神は我々をどこかで見守っている、と悟り、この世は一変していたかもしれない」

★「今夜の迷言!」

沖縄が好きで、大阪のオバチャンがキライな墨丸会員791号浦添ザワワくんいわく・・・
「大阪のオバチャンがよういうでしょ、自分のこと『ウチナァー、ウチナァー』って。ウチナァーって沖縄言葉使うな!って腹たちますねん」

★「今夜の映画!」

「センチネル 陰謀の星条旗」
レーガン大統領を暗殺から救った伝説のシークレットサービス(マイケル・ダグラス)が大統領暗殺犯に仕立て上げられる物語。それだけでなく、彼がもうひとつの抜き差しならぬ状況に陥るサイドストーリーで通常のアクション映画と一線を画し、彼の作品はハズレがないなぁと改めて思わされて、評価4/5。

70年代にマイケル・ウイナー監督の「センチネル」という、現実世界と地獄の間の見張り番となるよう運命づけられた女性が主人公の秀作ホラーがあり、今回の題名懐かしく思った。当時は他にも「屋根の上の赤ちゃん」「バニーレイクは行方不明」なんてサスペンスの秀作もあったのに、最近この時代の映画がみれません、残念です。見れない人もかわいそうです・・・。

「キサラギ」
自殺したアイドルの一周忌に集まった5人の男が彼女の「死」について話し始めると意外な事実が次々と・・・。
なにげなくみ始めて引き込まれてしまう面白おかしい展開は、脚本が「3丁目の夕日」の古沢良太。監督が佐藤祐市。この監督作品、他のもみてみたい、で、4/5。

こうした密室劇&大どんでん返し映画のオススメはジョセフ・L・マンキウイッツ監督「探偵 スルース」(ローレンス・オリビエ、マイケル・ケイン主演)、シドニー・ルメット監督「デストラップ 死の罠」(マイケル・ケイン、クリストファー・リーヴ主演)。共に大傑作ですぞ!

「ホソやん」完

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