111「占守島」

9.16.tue./2008

★占守島、知ってる?

戦史小説「八月十五日の開戦」(池上司。角川文庫)読了。
太平洋戦争無条件降伏直後、千島列島最北端カムチャッカ半島間近の占守島に、突如ソ連軍侵攻(卑怯者め)。

迎え撃つは、ノモンハンやアッツ島、ガタルカナルの敗残兵などの混成部隊。彼らは、負け戦を隠すため各激戦地で消耗させられ、ついには北辺に追いやられ連合軍侵攻時には見殺しにされる捨石部隊でもあった。その彼らが故郷への帰還の望み断たれつつ、ソ連軍北海道占領を阻止すべく孤独な戦いに挑む。

う〜む、「孤高の戦い」を描いた戦争冒険小説の名作「鷲は舞い降りた」の作者ジャック・ヒギンズが好みそうな、これは題材ではないか。本書で、日本の礎はこの過酷な時代の名もなき人々の死で築かれたのだと思い知らされもした。

戦史小説の名作を発表し続けてきた吉村昭氏が、生存する証言者が少なくなったことを理由に戦史小説を書かなくなったのが昭和四十年代後半。だからというわけではないけれど本書での、米映画「プライベート・ライアン」のノルマンディー上陸時の激戦を単に文章化したような箇所にはひっかかったりはしたものの、占守島攻防戦については無知だったゆえ目からウロコ本。
大野芳のノンフィクションの近著に「八月十七日、ソ連軍上陸す。最果ての要衝 占守島攻防戦」があるが、ぜひ読んでみたいと思わされての、評価4/5。

9.17.wed.

★単調な日々

今夜でもう1ヶ月働きづめ、店に泊まり続け・・・。
さすが疲れがとれません。睡眠時間も短くなって、熟睡も出来ず・・・。
今日一日振り返ってみると、睡眠3時間ほどで目覚め、新聞をスポーツ欄除き(興味なし)隅々まで読んで時間つぶし、窓際の観葉植物を整理し、苅田の古本屋で桐野夏生「東京島」を買い、昼食はなぜか中華を食べたい気分でマーボ豆腐定食580円を(マズイ。うまいメシ屋はないものか)。
その後、少し眠らねば夜中がツライと「東京島」読みつつムリに横たわる。
前回、大野芳のノンフィクション「絶海密室」を弱冠紹介したけれどこの「東京島」、その「絶海」と展開あまりにも似ていて、「問題ないんかなぁ?」

2時間あまりの仮眠後、表の看板書き換えて(字が風雨で薄れてきたもんで)、オープン準備終える。
夕食兼夜食用にファミマでいなり寿司購入(この1ヶ月でコレもカレーライスも食べ飽きてしまった)。
で、今夜は水曜ゆえヒマだろうなぁ、と思いつつもオープン・・・だいたいこんな調子の生活。誰かこのワンパターン地獄から救って〜!
で、10月から再び「ランチタイム」再会させようかとも考えはじめた・・・。

9.18.thu.

★深夜営業

JR我孫子駅近くに朝7時まで開いている、食堂(のような店)がある。
13日(土)、墨丸での「ギタリスト隠岐島の楓」さんライブ開催の朝5時、残っていたお客サン方とその食堂「風太」で7時まで打ち上げ。
で、そこを出たところ、隣の居酒屋サンがまだ開いてるのに気づいた。
と、従業員サン出てこられ、「やってますよ〜」
2、3日前に新規オープンし、なんと24時間営業(朝からは喫茶店とか)。
いいじゃありませんか、仕事を終えてゆっくり飲めるところができたなんて。皆さんと私的に飲みつつお話できる場所ができたなんて。
ちなみに「しずく」という店。この日は何時まで飲んでたか覚えていず。

で、本日も。
若いアルバイトさんお二人でこの時間帯営業しておられ、おかみさんは深夜帰られるとのこと。ま、それでこんな朝方は食欲そそるモノがメニューにないのがタマにキズ。で、このあと先日の逆パターンで隣の「風太」で空腹をまぎらわせたわけ・・・。

9.19.fri.

★バンテージ・ポイント

米映画「バンテージ・ポイント」を観た。
大統領暗殺現場に居合わせたシークレットサービス、観光客、そして暗殺犯など、その現場にいた8人の視点それぞれで暗殺前後の状況が描かれるという、斬新な手法のサスペンス。
いや〜、まいった、まいった。
8人のドラマが描かれるにつれ、次第に明らかになってゆくまさかの真相。
その手法はまさに斬新。限りなく5に近い、評価4/5(アクション物ではなかなか評価5はありません)。

9.20.sat.

★東京島

話題の新刊「東京島」(桐野夏生。新潮社)読了。
帯の宣伝文句は、「あたしは必ず脱出してみせる。無人島に漂着した31人の男と1人の女」「食欲と性欲と感情を剥き出しに、生にすがりつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読者の手を止めさせない傑作長編!」・・・ですねん。漂着した若者たちがそれぞれの住居地をシブヤ、キタセンジュウなどと名づけての島の名がトウキョウ島。

ま、その人数も女一人という設定も、冒頭で亭主が崖から墜落死するというのも、島でのサバイバル生活の様子も、前述「絶海密室」とまるで同じ。既視感しきりで、我輩の「手」は止まりましたなぁ。
でも後半は桐野サン独特のワールドで、ふ〜む、漂流談にもこういう結末があるのか・・・で、3/5。

★本屋

堺・北花田のダイヤモンドシティへ。
以前(もう数ヶ月前か)、ここの紀伊国屋書店の書物の豊富さに(あたりまえやけど)感激して以来の訪問。

墨丸から近いわりに、大和川を越えると思うだけで「遠さ」感じてしまうのは年齢のせいか。いや、信号ひとつ、道路一本隔てただけで客足遠のくという購買意欲低減心理の反映だな。
で、買いたい本12冊の題名メモ持参で訪れたけれど、そのうち2冊しか見つけられず・・・。
サラリーマン時代、会社近くの東急ハンズ書店で新刊チェックしていたものだけれど、新刊書店に行かぬ最近「何冊の傑作本を見逃してきたんだろう・・・」と思うことしきり。宝くじ当たると、こうした大型書店の近所に一部屋借りたいほどなのに・・・。

9.24.wed.

★ロスト・エコー

「ロスト・エコー」(ジョー・R・ランズデール。ハヤカワ文庫)読了。
先日の紀伊国屋行で購入の1冊。

子供の頃の高熱が原因で不思議な能力(過去の犯罪現場を通りかかると突如その陰惨な様子がみえてしまう)を持つようになった青年の物語(医学的にはコレに近い症例があるらしい)。

こんな内容ではもう昨今、購入意欲わかぬほど我輩成長(?)したンだけれどこの1冊、それだけの内容ではない。
誰にも理解されず、忌まわしい能力と共に生きざる負えない孤独な生活とその能力をマヒさせるため酒におぼれるなか、家族を失った喪失感からアル中になった中年男(この脇役がまたイイ)と出会い、共に酒を断とうとする。そしての恋・・・と、映画「スパイダーマン2」でヒーローにも現実生活が重くのしかかったように(で、この映画は好きなんだけれど)、この小説は一人の青年の成長の記録でもあるのだ。

みずみずしい青春小説と犯罪ドラマが融合した作品。が、読んでいると犯罪部分がなくってもいいように思えるほどで、4/5。

★まくれて・・・

体調、悪し・・・。
本日、お客サンに「それ、骨にヒビいってるで」

22日の月曜、祝日前ゆえかオープン早々からバタバタ・・・。
でも日・月曜はお客サン次第で「早閉まい可」としてるわけで、2時過ぎに閉店。残った方々と我孫子の「風太」へ。

その途中、我輩酔ってもいて、電柱に我が自転車激突。
同行の墨丸会員62号高野山の怪物「どないしたん!」
「まくれたわ〜」「まくれた?なつかしい言葉やん、和歌山弁やん」(和歌山弁か?)。
膝から下をすりむいたんだけど、その膝下がボコッと腫れて足を曲げれない。頭までもが痛い。体中がその痛さに抵抗しているような不愉快なこの感覚。昨夜もそれで2時過ぎにクローズし、今夜もそれ位に閉めることになるでしょう・・・。

「占守島」完

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