122「こんなこともあるもんだ」

1.16fri/2009

★アイス・ステーション

古本屋で、定価各850円のランダムハウス講談社の、聞いたこともない作家マシュー・ライリーの、これも聞いたこともないオーストラリアの作品「アイス・ステーション」を各88円で上下巻購入(ここ堺浅香山の「ブック・ネット・ワン」は安い)。訳者も、生年、出身地、本名不明の「泊山梁」というふざけたペンネームの方。

で、なんでこんなのを買ったかというと、南極アメリカ基地の科学者が4億年前の氷の下から宇宙船を発見、というのがストーリーの発端で。
かのアメリカ映画の秀作SF「遊星からの物体X」(ジョン・カーペンター監督の82年リメイク版)冒頭、氷の下から巨大宇宙船が発見されるというワクワクシーンを連想させてくれたから。もちろん、上下巻で176円という捨て値ゆえもありで。

★読み返し

本書に登場する学者が言う。
地球の歴史を1日24時間の枠に収めたとすると、現在の人類が生まれたのはわずか3秒前。文明化された人間生活がこの地上に存在した時間はさらに短く、ほんの2千年弱、地球の時計では1秒にも満たない期間。で、その謎の物体が宇宙船でなければ、消滅した人類の古代文明の古生物学的発見かもしれないと・・・。

う〜ん、ワクワク。
で、B級作品であろうとC級であろうととりあえず読み始めた。
南極基地からの知らせに、合衆国海兵隊のエリート部隊の偵察隊が宇宙船確保に向かう場面から物語は始まり・・・読み始めて二日目位でしたか、「その宇宙船の正体さえ分かりゃええわ」と、はなからバカにして毎夜酔った勢いで流し読みしていての上巻半ば、「え〜、も、もしかしたらぁ〜?」と、改めて冒頭から再読のハメに・・・こんな経験はじめて。

その宇宙船らしきものを自国のものにせんと、な、なんとアメリカ同盟国のフランスの最強戦闘部隊である海兵隊第1パラシュート部隊が、さらには英国陸軍空挺部隊の、世界で最も恐れられ、主人公の海兵隊中尉「案山子」に戦術を教授した伝説の戦略家バーナビー准将率いる特殊部隊SASが、さらにさらには米国が有する最も情け容赦のない殺戮集団である特殊部隊シールズまでもが、なぜか南極基地に孤立した同胞の海兵隊と民間人を抹殺しようと次々と襲いかかってくるのだ!

極寒の地での死闘につぐ死闘!
次々に倒れてゆく海兵隊員。
そしてその海兵隊員のなかに、共に闘う同僚を抹殺しようとする米国秘密部隊の工作員までもが潜入しているという、思いつく限りの悪条件下に取り残されてしまった海兵隊激闘の物語。
いや〜、まるでハリウッド映画の大作をみているようなめまぐるしい展開だった。

あとがきによると、作者の母国をはじめアメリカでもベストセラーという処女作であった。感服。
が、よくも悪くもハリウッド的すぎ、往年の戦争小説の名作「鷲は舞い降りた」(ジャック・ヒギンズ。早川書房)とつい比較してしまっての、評価4/5止まりに。

「こんなこともあるもんだ」完

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