124「熱病」

2.10TUE/2009

★風邪か

先月の19日月曜は、朝から市の中高年無料健康診断日。で久しぶりに店を休む。
その夜、墨丸会員787号ネチャーエフ氏と、一ヶ月前に新規開店したという我孫子の居酒屋「なごみ」(苅田9−15−5)に。
居酒屋愛好派の我輩だけど、この前身の店にはなぜか飲みに来たことがない。
意外に奥行きありカウンターもほどよい高さ。奥が広々とした座敷で宴会に丁度いい。若き店主とその奥さんも気のよさそうな方で(飲み屋はやはり人柄が第一だ)、次回宴会場所、これで決まりか。

こうしてこの夜、深夜3時すぎまで(だったっけ)計4軒飲み歩き(うちオススメは「なごみ」さん)、途中で会員776号しのりん、44号ひとりん&カナイさんらも合流・・・と、ここまでは良かったが、その後がいけなかった。

前回の「シュールな1日」で触れたけれども、翌火曜から体調総崩れ・・・。
後日判明したところ、同行のネチャーエフ氏もひとりんもこの日から風邪で寝込み、感染源いまだ不明。我輩、健康診断受けた総合病院で感染だったらアホみたい。介護人いぬ独身のネチャーエフ氏に「お互い無人島で病気になったみたいでツライですねぇ」とメール。

我輩、冬場一度は風邪を患うが、今季は昨年末の周年行事の初日に微熱が出てすぐ治まり「ああ、これで今年はもう大丈夫」と安心していた・・・インフルエンザだと今年のは2、3度かかる場合があるらしい。

★解熱剤

今回は日を追うごとに熱があがり、後半は連日39度前後。それがあの「シュールな1日」の月曜まで続き・・・その間、昼間はお客の「ストップ!ヒバリンくん」に分けてもらった解熱剤ノイエルとロキソニンで熱下げつつひたすら店で横たわり、夕刻からカウンター内に立ち、熱上がり始めれば再び解熱剤の繰り返し。

店の常備薬はなぜか葛根湯とパブロンSなんだけど、いままでこれらが効いたという自覚がない。でも解熱剤ってはじめて多用したけれど、これは効く。
汗はかくけれど「あれ、風邪なおった?」との錯覚に陥らせてくれ。あくまで錯覚なんだけれど。でもこれで仕事を休まなくてすんだ。

困ったのが、それらクスリが切れた週末の土曜日。
寒気がひどく、薬局まで行って帰ってくる気力体力もなく「なんか、クスリ、クスリ」と机の引き出しかき回してると、誰かの使い古しの「バファリン」が。
これはいままで鎮痛剤とばかり思ってて、「あ、これって熱にも効くンやん?」と、長年生きててはじめての発見。これも、効いた。

こうして熱病の1週間、食事もろくに摂らずひたすら横たわっていたさなかは本を読んで過ごすしかなく・・・。

★「今夜の本!」

で、会員742号ヤマちゃんが貸してくれた新刊本「地獄番 鬼蜘蛛日誌」(斎樹真琴。講談社)は、第3回小説現代長編新人賞受賞。地獄に堕ちて蜘蛛と成り果てた女郎に救いは?
「全選考委員驚嘆!」のコピーで期待。薬の副作用でたびたび眠りに陥ればこの作品の地獄の様相が夢に出てき、けれども「驚嘆」しなかったのは半覚醒状態での読書ゆえか?評価3/5。

「東条英機」(別冊宝島編集部編)と「南京の真実」(ジョン・ラーべ。講談社文庫)を、戦後生まれの、米国TVホームドラマによるアメリカ万歳、日本悪漢の洗脳から脱却すべく読む。

東條さんをいくらか見直せないかとの期待の「東条英機」本によると・・・
_な討侶蛙佑鉾罎戞∋篋發鮹めこむような日本軍人はA級戦犯ではいない。
彼に関してはお金に関しての汚い話はまったくなかった。
子供を愛する彼が世界中ではじめて児童疎開法を制定。
て本兵を無駄死にさせたといわれる彼が制定した「生きて虜囚の辱めを受けず」等の「戦陣訓」は戦後問題になっただけで、昭和初期から軍人の自決は美談という風潮があった。
そのほか教えられるところの多い本。好々爺した東條さんを津川雅彦演じ、当時反発覚えた映画「プライド」は、ああ、こうした良き側面の東條さんを描いただけだったのか、と。

その時代に生きてもいぬ人間がとやかくは言えないけれど、餓死・戦病死が六割を占めたという世界の戦史にも類を見ない日本軍の「敗戦責任」については、首相・陸軍大臣・参謀総長を兼ねた彼の責任などという軽々しい言葉ですまされるものではないだろう。が、我輩の叔父がニューギニアで戦死していることを思うと、東條のお孫さんがTV出演し、彼の良き面を述べている姿なんぞはやはりみたくはないとの読後感。評価4/5。

「南京の真実」は、ドイツ・ジーメンス社の南京支社長であったラーべ(「南京のシンドラー」と呼ばれる)が、つぶさに観察した日本軍占領下の南京の状況を書き残した日記。
本書でも30万人大虐殺は虚偽とわかるが(ラーべによると5〜6万人)、占領後数ヶ月にもわたる虐殺、強姦、放火は真実という。で、当時から日本大使館はその事実を隠蔽しようとしていたと述べている。

が、これらに対しても南京大虐殺はなかったと主張する人々は、この日記は蒋介石に武器をも供給していた死の商人(らしい)でもあるラーべたちが、日独伊防共協定を阻止するため、日本人の野蛮さを強調した作文であったと主張。
また文中「これが中国軍の占領でも同様の事態であろう」とアジア人をみくだした箇所もあり、欧米人は戦時下でもこれほどの横暴はしないと断言しているのは、欧州から遠く離れた地でスターリンやヒトラーの残虐性を知りえなかったからか。日記という体裁はやはり退屈かつ真実は藪の中で、2/5。

「感染」(仙川環。小学館文庫)は、「読み始めたら止まらない」という宣伝文句の、著者デビュー作かつ第1回小学館文庫小説賞受賞。
ホント、「読み始めたら!」だった。でも読後数日たったいまではストーリーうろ覚え。これも半覚醒状況下での読書ゆえか。3/5。

今回の一押しはコレ!
アラン・ディーン・フォスターの「密林・生存の掟」(扶桑社ミステリー)
以前紹介の「アイス・ステーション」同様なんの期待もなく、ただ我輩、極限状況下の人間を描いた作品が好みというだけで読む。

アメリカ人青年が南洋の秘境ニューギニアを訪れ、あることから密林の奥地を彷徨するはめに。この描写がスゴイ。
60年代に、ロックフェラー財団の御曹司が文化人類学の調査旅行中に行方不明になったままという、湿度100%の緑の魔境の世界が事細かに描かれいる。
原住民が袋の中に通常の食料とともに人間の手足をも入れて持ち歩いているなどの生活風習や、1日に何百匹ものヒルに襲われ、すり傷でも壊死に至るという微生物の宝庫のさま、体長60造僚郎蜘蛛や1辰發竜漢佑覆匹覆鼻風邪でフウフウいってる我輩など一日も耐えられない世界だと思わされた(「地獄番 鬼蜘蛛日誌」の世界よりも)

「スターウォーズ」や「エイリアン」のノベライズを手がけてる作家ってんでバカにしていたのは大いなる間違い。こういう未知の異世界を垣間見ることのできる作品は毎回思うのだが、ホント素晴らしい。ただ、ジャングルの猫の額ほどの空き地にセスナで離着陸する描写が、メル・ギブソン主演の映画「エア・アメリカ」の一場面とそっくりだったのが気になった。4/5。

「熱病」完

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