135「4月が終わった」

4.28tue/2009
★伊坂本

今回紹介の著者作品を初めて読んだのは「グラスホッパー」だった。

その作品がいまいちで以来遠ざかっていた伊坂幸太郎の処女作「オーデュボンの祈り」(新潮文庫)読了。
最近、彼にはまっている墨丸会員541号テラ吉くんから借りた本。

江戸時代から現代に至るまで(なんと!)「鎖国」状態の孤島での、(なんと!)あの畑の案山子が殺害されるというミステリアスな事件を綴った新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。
あり得ない設定が読み進むうちに現実味を帯びてくるS・キングの初期作品や半村良の伝奇小説と異なり「なんで鎖国できるんや?生活どうすんねん?」云々のイライラが最後まで。
(なんと!)「預言者的な、喋る」案山子の存在は、まぁ許せるとしてもその誕生秘話についてはもう絶句。なんでこえが受賞作?
「もっと読み込むべき」という意見があるけれど、エンターテイメント小説にそこまでせなあかんか?
どうも著者のような若手作家の作品は、深みがないというか漫画チックというか・・・けれど脇役の警官城山の悪魔的キャラクターや実在した支倉常長、オーデュポンにまつわる逸話は印象に残り、評価3/3。
(山本周五郎賞受賞の「ゴールデンスランバー」が面白くなければ彼の作品はもうパス・・・)

4.29wed.
★そらまめ

先だってから休業中の隣の居酒屋「そらまめ」、5年目にして閉店す。

おかみさんは墨丸1号店時代からの会員で44号。
本人いわく「シッシッ!の、いらん客の44番やろ〜」
墨丸より遅くまで営業したり、洗濯機を貸してくれたりで便利かつお客サンもついていたのに、おかみさんのやる気のなさでの閉店。あ〜、もったいない。

我輩など今月、縁あって名のある(らしい)占い師二組に日をおいてみてもらったところ、今の仕事は死ぬまで続け(でも現時点はにっちもさっちもいかない状態とかでこれは当たってる)、今年から徐々に上向きとなるというのはホッとだけれど、いまだ我輩独身かとっくに離婚しているはずと双方ともにいわれ、な〜んか複雑な心境。

で、そらまめより備品のスチール棚もらいうけ、本日午前中からその設置作業。その作業だけで夕方までかかり、本日寝不足なり。厨房兼事務所、足の踏み場なし・・・。

4.30thu.
★ワルキューレ

墨丸会員800号氷見くんから借りたDVD映画「チェンジリング」「ワルキューレ」を一気に観賞。

「ワルキューレ」は、ドイツ戦争文学・映画に昔からはまってる我輩としては、英語を喋るドイツ軍人の映画なんてと少々バカにしていたけれど、「ロミオとジュリエット」や「タイタニック」などと同様、悲劇の結末分かっているこのたぐいの作品、ヒトラー暗殺計画のワルキューレ作戦からめた作品数々あれど、この暗殺劇を徹頭徹尾描いた作品に初めて接したからか、エンドマークがでても腰が立たなかったほど衝撃的。

英国作家ジャック・ヒギンズの戦争小説の名作「鷲は舞い降りた」(チャーチル暗殺のため英国に潜入した騎士道精神あふるるドイツ精鋭部隊の悲劇)の主人公シュタイナー中佐が「良きドイツ人は死に絶えた」というようなセリフをつぶやく場面があるが、まさにこの時代、ドイツを愛した人々が次々と処刑されてゆく場面をみるとさもありなんかと・・・。

エッセイストの藤原正彦氏が「うなだれるドイツ」というコラムで、経済ではなく民族の底力ともいうべき学問文化の世界において「ドイツは未だ戦後から復興していない」と述べていた。
前大戦に至るまで、ドイツの数学、物理、化学、哲学、音楽などは世界に冠たるもので、現代の学問文化の基盤はドイツ人に負うところ大であったのに、いまや昔日の面影はどこにも見当たらず、国際テストにおける子供達の学力も欧州でほとんどビリとか。
民族や祖国への誇りと自信なくして真の独創は生まれないと、ヒトラーの後遺症に悩む現ドイツを叱咤激励していたが、もしかしたらそれら学問文化のDNAがあの戦争で根絶されてしまったのではとさえ思えてきた「ワルキューレ」だった。
誘拐後発見された子供が別人だったという「チェンジリング」共に、評価4/5。

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