140「ニシムラさん」

6.21.sun./2009

★飲み仲間が

飲み仲間のニシムラさんが倒れた。
脳梗塞だ。
といってももう昨年のこと。
入院先が箕面方面の、非常に分かりにくい場所にあるということでカーナビも道路マップもない我輩はなかなかお見舞いに伺えなかった。ようやく地図購入し病院場所確認しようと電話すると、すでに退院。で先日、滋賀県野洲のご自宅にお見舞いに。

墨丸会員71号ニシムラさんは我輩のサラリーマン時代、社に営業に来られた某大手家電メーカーの課長さん。で、我輩より10歳余り年上の方。取引はあるかないか程度だったけれど妙に気が合い、仕事抜きで「すみちゃん」「ニシムラさん」と呼び合いながら、主に西田辺あたりの居酒屋での飲み仲間になっていた(46「つれづれにて」参照。この頃に営業に来られた同年代のD社長や年上のK社長らとも個人的な飲み友に。皆で飲んだことも多々)。

我輩独立後も皆さん墨丸にはよく来ていただいていた。
ニシムラさんは定年退職後、我輩に触発されたと自宅ガレージ改造し、居酒屋をオープン。
昨年などはその野洲の店の売り上げが芳しくないからと、この我孫子あたりに新たに店をと不動産屋巡りをしていたその最中の発病だった。

う〜ん、暗い話なんで、ちょっと趣向を変えての話題をひとつ。
ニシムラさん、休日になると「千日前道具屋筋に」と奥さんに言っては泊りがけで大阪に飲み歩きに来ていた。我輩には「市場調査」と。
そんな昨年のある日、「スミちゃん、これ見て」と、長居の某飲食店の4万円近い請求書。
「どないしましたん、これ?」
「覚えてないねん」

ミナミのサウナで泥酔から目覚めてその請求書に気づいたとか。
その夜、西田辺のスナックで先のD社長とふたりで飲んでいたことまではニシムラさん覚えていたらしい。で、翌朝あちこちに電話し記憶たどるとと、Dさんほったらかしてなぜか長居に。で、通りがかりの飲食店看板蹴倒しての弁償の請求書だったとか。

お見舞いの席で奥さんいわく「元気なうちは毎晩午前様で、倒れたとたんちょっと私が外出すると“どこいっとったんや!”ってうるさいのなんの」
ま、その「午前様」の相手が我輩だったわけで恐縮の次第。でもそれだけ文句いえるほど、思ったより元気でホッと・・・。

以上、ニシムラさん症候群予備軍の墨丸報告、でした(わし、倒れたら、生きてた証拠に誰かこんなこと記録してくれるんやろか・・・)。

★「今夜の本!」

「真夜中の5分前」(本多孝好。新潮文庫)
美貌の一卵性双生児の女性と出会った青年の儚いラブストーリー。
「クールで切なく怖ろしい新感覚の恋愛小説」ってんで期待。
が、「うん、一卵性双生児との恋は、なるほど、こんな問題もあるのか」で、まさに新感覚。が、解説にある「驚愕のエンディング」に少々首をかしげ、「怖ろしい」って解説に「恐怖を連想してしもたやんか!」で、評価3/3。でも、ちょっと心に残る作品でした。

「ニシムラさん」完

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