142「名もなく貧しく美しく」

7.1.wed./2009

6.24.wed.

★例えば

無意識的にストレスが蓄積されてるんだろうか、最近何事にも「意欲」「気力」が湧かぬ。いや、まるで、ない。

例えば、「6月から毎日チラシをポスティング!」と決めたのに、初日3日間でストップ。
例えば、もう先月だったか(厳密にはこの我孫子店オープン時から)、事務机周辺片付けかけて、これも中途半端なままストップ。かろうじてこのパソコン機器のみ空間ありに・・・と、ここまで記して、やっぱ片付けよ。

・・・でももう数分後のいま、片付けようにも移動させた物を置く場所なんてないことに気づき、「あしたにしょ・・・」
例えば、もう何ヶ月も借りっぱなしの「パイレーツ・オブ・カリビアン」三部作DVD(墨丸会員734号チャンさん所有)も、まだみていず。ごめんなさい・・・。
例えば、格安で手に入れた電子タバコは数回試しただけだし・・・そういえば「禁煙セラピー」本は数ページで、「ニコレット」は数粒でそのまま・・・と記していくと、「なんや、気力がないって毎度のことやんか?」

★居酒屋の金券

でも先日など、あまりの仕事への意欲のなさとヒマさに午前1時に店を閉め、会員541号てら吉クンと近所の居酒屋チェーン店へ。
ヒマゆえ持ち金もなく、「でも四千円分の金券あるからこれで飲も!」

以前この金券使おうとすると、「お客さま、本日は生ビール半額セールで、それを今回利用なさっておられるので金券は使えませんが・・・」ってんで、その日も持ち金なかったというのに仕方なく現金払い。
それを教訓に、「てら吉クン、今夜は生ビール飲まんとこ!」

・・・で、飲食後レジにて金券出そうとすると、「お客さま、本日は生ビール半額セールで・・・」「生飲んでないけど」「いえ、半額セール日は使用できないことに」
「なんやぁ?飲まんでもかよぉ。いつ来てもセール日やんかぁ、いつ使えるっちゅうねん。金券使える思てまたもいらんモンまで注文してしもたやんけぇ」と、わめきたいのにわめく事もせず、ふたたび気弱な貧民はショックに打ちひしがれつつ、なけなしの金銭を支払ってしまったのでありました・・・。

こんな毎日で、もう人生しんどくて・・・。
「名もなく貧しく美しく」(高峰秀子、小林桂樹演ずる聾唖者夫婦の愛の物語)なんて日本名作映画にあるような、やさしく包み込まれるような世界はいったいどこに?
・・・と、目覚めてベッドから起き上がるのももう億劫で、手元の本引き寄せて、という非積極的な読書はかろうじて継続中。

★「今夜の本!」

で、本日読み終えたのが、本多孝好「missingミッシング」(双葉文庫)
以前紹介の、双子とのラブストーリー「真夜中の5分前」の作者デビュー作(共に、てら吉クン所有)。
小説推理新人賞受賞作ふくむこの短編集、「このミステリーがすごい!2000年版」10位だそうで、さすがそれぞれの作品、個性的で読ませてはくれる。
が、いかんせん、アル中がどんどん酒の深みにはまっていくように、本読みの世界もちょっとやそっとの物語では物足りなく、動じなくなってくる。片時も手放せないような、魂が打ち震えるような、泣き叫んでしまうような、恐怖に慄くようなのを読みたい!という欲求不満にどんどん陥り・・・これこそ違う意味での「活字中毒」?
で、この文章記しながら「あれ、この本多さんの本、内容どんなんやったっけ?」
結論:発想はいいのかも。でも深みがないというか、やっぱ、若き作家の作品は性に合いませぬ。

7.1.wed.

★続「今夜の本!」

それで手にしたのが、米国人作家ウイリアム・カッツの「ゴースト・フライト」
デビュー作の、愛する夫が殺人鬼かもしれないという心理スリラー「恐怖の誕生パーティー」は傑作で、彼の翻訳物はほぼ読んでいるはず。なのに古本屋でこの20年以上も前の「ゴースト・フライト」を手にし、裏表紙のあらすじ読むと「これ、読んでないかも・・・」で、かつ「え〜!」っという内容。

時は1982年。
ロス空港に旧式のロッキード・エレクトラが飛来。
不法着陸した機体から降り立ったのはひとりの女性。
彼女は、1928年、女性で始めての大西洋単独飛行を成し遂げ、1937年、エレクトラで世界一周のフライト途中、南太平洋上で消息を絶った女性版リンドバーク、アメリア・エアハートその人。そして1898年生まれの彼女は失踪当時の若さのまま・・・(アメリアは実在した人物)。

こういうのが、好きなのだ。
でも読了まで1週間もかかった。
なぜって、冒頭シーン以外、面白みゼロ。
ネタばらしするとこの作品、捕虜となったエアハートはドイツのダッハウ収容所に送られ(史実では、日本軍に捕らえられ銃殺されたという)、そこでナチの、若さを持続する生体実験の被験者となり成功。続いて生き延びたヒトラーも・・・。そうしてヒトラーは再びドイツに舞い戻り、新政権を誕生させようとする物語。

な〜んですが、「恐怖の誕生パーティー」以降、徐々に駄作が多くなってきた作者のこれは最悪レベルの作品か。緻密さも起伏もなく、ヒトラーはじめ登場人物に生彩も魅力もなく、ただただページ数が多いだけという、こんな低レベルの翻訳物久しぶり、というほどで、評価1/5。

※ポスティング、今月から再開。事務机周辺、ほぼ片付いた。「パイレーツ・オブ・カリビアン」み終わった。電子タバコ、今月から再挑戦。あの金券は、まだ残っている・・・。

「名もなく貧しく美しく」完

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