267「き・ん・え・ん」

4.19sat/2014

★4月1日夜、お客さんからの指摘

「マスター、今日からタバコやめるんとちゃうかった?」
我輩、手にしていたタバコじっと見つめつつ、「あ・・・忘れとった」

そう、4月からの消費税アップかつ「タバコなんて美味くもなんともない。我輩にとってこれは単なる習慣病なのだ。無駄極まりない出費なのだ。やめるべきだ」※と3月初め、96年に買ったアレン・カーの「禁煙セラピー」本引っ張り出し目につく調理台片隅に置き・・・そうそうこの本買った当時、我輩読む前にお客さんお二人に相次いで貸し出し、お二人とも禁煙成功。というのに買った本人はこの永き年月、手にしてもいなかった・・・。
そしてこれを読んで禁煙できぬ場合も想定し「禁煙外来」医院所在地までをも事前に調べておくという、タバコ値上げの4月に向けて「万全の態勢」をとっていたのだった。

※タバコのニコチン中毒ではなく「習慣病」というのは、「寝起きの一服」の嗜好も経験も我輩なく、昼間は緊張強いられる場合以外ほとんど喫わずして酒を飲む夜がメインゆえ。が、サラリーマン時代はストレス過多ゆえ昼間も常に手にしてい、ハイライト4箱もの愛好者であった。
自殺者のうち非喫煙者の比率が非常に多いと聞く。我輩にとってはストレス解消の一助にはなっていると思う。
が、前回値上げ時点でマイルドセブンのタール8mmから格安のエコー15mmに変更。今回値上げ間近には最低価格のゴールデンバット両切り18mmの200円に変更。エコーの時点で「ああ、なんか息苦しい・・・」、ゴールデンバットではさらに「なんか頭痛い・・・」のも要因で禁煙をと・・・。

話が飛んだけれど、今思えば「心構えのほうが万全の態勢ではなかった」わけで、いつしか禁煙本、請求書の山に埋もれ「4月1日禁煙スタート!」なんて決意は3月下旬頃にはすでに忘却の彼方。月末前にはタバコを1カートン買い置きしてしまってた・・・。

酒は(日本酒)幼児のころから祖父に覚えさせられていたけれど「タバコは二十歳になってから」
その頃「去年の夏」という米国青春映画で若者たちが初めてタバコを喫う場面があり、その映画でむせずに喫う方法知り、非喫煙者に吸い方教えたりしてしまったのだけれど、高校時代の演劇で我輩がタバコ喫う場面で「おまえ、日ごろタバコ喫っとるやろ?」と皆にいわれるほどの演技者。だったのに、いまは場末の酒場のヘビースモーカー非演技派店主・・・なんや、それ?

サラリーマン時代、数え切れぬほど禁煙を志したものである。
月間タバコ代いくら要するかと計算し、禁煙で浮く予定の金で事前に高級財布などを買ったりもして禁煙志したけれども、最長3日ほどで挫折。
月間タバコ代+無駄買い物分というアホな出費も片手で数えるほどもあるわけで・・・。

いや、当時3日以上の禁煙も可能だったかもしれぬ。
というのも、これはニコチン中毒の我が妻リ・フジンが、禁断症状に苦しむ我輩の目前、平気でタバコ吹かし続けてたわけで、思えばこの時点から現在の「リ・フジン」(理不尽)という彼女の呼び名が芽生えていたのかもしれぬ。

しかしである!
このような状況下、サラリーマン時代のとある日、奇跡が起きた。

仕事帰りのある夜、当時行きつけの西田辺の居酒屋「さくら屋」で同僚のМ氏と飲んでいたところ、話に夢中になり小一時間ほどタバコを手にしていないのに気づいたのだ。
これを奇跡というのも、話に夢中になるほど、酒を飲むほどタバコを喫う本数が増える我輩にとってはということでである。

そう、この奇跡の夜、突如として禁煙実行への道が開かれたのであった。
「うむ、タバコが本来手放せぬこの酒宴状況かんがみると、これは禁煙可ということではないのか?!」と自信つき、それからの、なんと1年間、我輩はタバコを完全に止めたのである。

が、禁煙とは恐ろしいもので、当初は会議中など他人の喫うタバコの煙を追い求めていた。副流煙などというバカな言葉は当時はなかった。こんな言葉が生まれるなど健康に気を使いすぎる国民、国家は英国のように衰退するというではないか?。
昼食後の午後3時過ぎには空腹感覚え、隣席の契約社員の女性にこっそりと「なんか食べてくるから電話番お願い」と、これまたこっそり社を抜け出し会社裏のラーメン屋に出かけていた。
居酒屋で今まではとりあえずビールで(外人は日本に「とりあえず」という銘柄ビールがあると思ってるらしい)、そのあとはタバコをアテに日本酒飲み続けるパターンが、子供の頃ビールを祖父に飲まされての、あの「ニガッ!」の新鮮な味覚よみがえり、「え〜、うまいじゃん、ビールって!」かつ「アテってうまいじゃん!」と、ビールは飲むは小鉢物は食べるは・・・。
この頃になるともうタバコの匂いなんて臭くってたまらず、今でいう「副流煙!副流煙!」と煙たがる我輩であった・・・アホやん。でも、我輩、今の世のように喫煙者を非難などはしなかった。

そうこうして数か月後、行きつけのラウンジに飲みに行くとママさん、「みんなこの席においで!」とホステス呼び集め、「むむ、久しぶりに来たからか今夜はモテルじゃん!」と思いきや、ママさん「ほら、この方がスミちゃん!以前は男前やったんよ〜、でも今は豚になってる!あはは。ど〜したん、その体?」と、もうこれは見世物状態・・・。

そう、ウエスト70センチ強が86センチに。体重50キロ強が65キロ以上に。本来の細身のスーツはすべて買い替えねばならず、下着もМサイズからLに。変わらぬ身に着けられるものは、靴下のみであった・・・。

そしての1年後、会社の健康診断で医者いわく「コレステロール、血圧ともに要注意です」
我輩いわく「先生、タバコ喫ってる時のほうが健康でしたが・・・」
医者「食生活での自制が必要ですよ」
・・・タバコ、自制した結果やねんけどなぁ。
そしてこの非常事態乗り切るべく、喫煙を再開したわけである!
で、現在、ウエスト80センチ前後、体重56キロ前後。血圧の薬は今も飲み続け、これにタバコ代が加算されてるわけで・・・人生、不可解なり!
なんか、タバコやめる気分じゃなくなってきた・・・。

「き・ん・え・ん」完

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