289「台風の夜」

10.19.sun./2014

★人通りが・・・

13日の昼間、いつものように我孫子の商店街をランチ求めて自転車で走り回っていると、「あれ、人通り少ない?」

そう、あちこちの店舗が真っ昼間からシャッター下ろしていて。
シャッターへの張り紙には、「台風云々で」と。
「そうか、我輩だけではないのか、この危機感」

「最大級の警戒が必要である」との近年まれに見る緊迫した各報道で、数日前から「13日は開店か否か・・・」と迷っていたところへのこの非常事態宣言下のごときただらなぬ様子。
「うむ、我は何を迷っていたのか。これはもう休むべきである」と、店に戻って看板、植木等店内に取り込みつつ「う〜ん、休むからといって留守中ナニが起こるか分からんから飲みに出かけるわけにもいかんなぁ・・・」
で「ハテ、ならばこれから一晩ナニしよう?」

ま、前日頃までは、休むならば厨房とカウンター内の整理をと漠然と考えてはいたのだけれど、いざ看板等取り込み終えカウンターでボゥ〜っと座ってると、「うむ、何の予定もない休日なんてついぞ経験したことがないな。よし、今日は何にもせんとこ!これぞ休日らしき休日。飽きたら店の整理を(イヤやけど・・・)」

で、コーヒー飲みつつ、とりあえず昔に録画した映画でも消化していこうかと再生したのは、以前観かけて悲惨な冒頭シーンゆえ再生ストップしてしまってた、06年製作の「ブラッド・ダイヤモンド」
ディカプリオ主演の、アフリカ・シエラレオネ内戦背景に、反政府軍に拉致された黒人漁師がダイヤモンド採掘場での強制労働下、偶然見つけ隠したピンク・ダイヤモンドの争奪劇・・・。
ルワンダ(「ホテル・ルワンダ」etc)やボスニア(デニス・クェエイドの「セィビア」etc。クエイドの「第5惑星」もオススメ)の民族紛争舞台にした作品同様、単なるアクション映画にとどまらず、歴史の一端を脳裏にねじこまれるような衝撃作。
「思いがけぬ拾い物!」とラストのクレジット・タイトルに目を凝らしていると、監督が「ラストサムライ」のエドワード・ズウィックだった。久方ぶりの墨丸オススメ作品。
これ以前の最近の数少ないオススメ作は、トム・クルーズ「アウトロー」、サンドラ・ブロック「ゼロ・グラビティ」くらいだったか。

こうして時間つぶしつつも、時折テレビで台風情報チェック。
お客さんが教えてくれたけれど、日本の気象庁発表より在日米軍気象予報のほうが正確とか。そのネット情報によると数日前から大阪直撃と判明していたらしく、この日の気象庁予報でも、大阪直撃、午後9時。

空襲警報下でのおののくような気分で迎えたその9時来たり、「ん?」
刻々と9時から時計の針進むも、台風到達?
・・・雨風、ほとんど変わりません。
子供の頃みたテレビドラマ、風よ〜吹け吹け!の「風小僧」やウーヤーターの掛け声で竜巻き起こした「赤胴鈴之助」ほどの風も、吹いてないやん?

雨も小雨になった9時40分、店を開けました・・・。
で、9時57分。よりによって最も会いたくない方がいらっして(コレ読まれても構いません、店閉めときゃよかった)
でも10時41分、映像関連のお仕事されてるA嬢が久方ぶりに来店。長らく入院生活だったとのこと。
開けててよかった、でも開けるなら10時すぎにすればよかった。
11時50分、常連男性お一人。12時50分、常連三人組ご来店。
こうしてやっぱりヒマで、お客途切れた午前1時30分閉店。

夜食作って食べ、午前3時過ぎ就寝。
こんなに早く寝ると昼までに起きれる。店の整理できるぞ!と思いきや、すでにいまは19日、現在あいかわらず手付かずのまま、足の踏み場もありませぬ・・・。

★「今夜の本!」

「夜の光」(坂本司/新潮文庫)
墨丸会員734号チャンさん「最近、マスターの本の好み分からなくなってきましたが、これなんかは?」と貸していただいた、高校の天文観測部員男女四人の青春小説。それぞれ問題を抱えている彼らだけど、その問題に特異性も深みも感じられずで、評価2/5。
でも、チャンさん貸してくれた気持ちはわかるような気が・・・。

「藤十郎の恋 忠直卿行状記」(菊池寛/小学館文庫新選クラシックス)
さすが文豪。このクラッシックシリーズ、続けて読みたし。4/5。

「リセット」(垣谷美雨/双葉文庫)
生まれも育ちも異なる三人の45歳の女性たち。
共通項は同じ高校の出身、そして今の生活にそれぞれが不満を抱いていること。
その三人が卒業以来偶然に再会。
そしてある出来事で三人は30年前にタイムスリップ。
気づくと高校時代の授業中の教室。
さぁて、三人は人生をやり直すことに!
こういうテーマは毎度ながらワクワク。このテレビドラマ版観かけたけれどこれはつまらなさそうでチャンネル変えた覚えあり。
中年の目で見る自分より若い父母ふくむ家族、恋人らへのその視点が今までの同類作にはない新鮮さ。かつ前述「夜の光」より彼女らの生活の方が現実的に描かれ、北村薫の同テーマの三部作「スキップ」「ターン」「リセット」と共に、タイムスリップ・オススメ本! 4/5。

「台風の夜」完

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