291「小特集 一気読み!」

4.10fri/2015

★「今夜の本!」

久しぶりの小池真理子さんです。
「無花果の森」(新潮文庫)を読みました。
著名な映画監督の妻が度重なるDVに耐えかね、独身時代に貯めていた60数万円と身の回りの物だけ持ち家を出る。
たどり着いたのは岐阜の寂れた地方都市。夫とマスコミの追求に怯え、名を変え素性を隠した彼女はいかに生きてゆくのか?11年芸術選奨文部科学大臣賞受賞・・・。
う〜む、今年初めての一気読み!
主人公・泉が局面を迎えるたび、「この先に待ち受けているのは?」と想像してハラハラするんだけれども、著者は先んじて主人公自身に読者が予測するであろう事柄で思い悩ませる。ならば読者は「え、じゃあどうなるの!?」というサスペンス性、そして寂れた街の情景などが目に浮かぶほどの描写力で、かつ一人の女性の孤独な逃亡生活もたるむことなく描かれ、評価4/5。無花果の花は実の中に咲くなんて初めて知りもしました。

※妻として母として、夫や息子たちに見向きもされぬ生活に嫌気が差し蒸発するというBS・NHK連続ドラマ「だから荒野」でも、主婦が持ち金60数万円引き出し旅に出る。う〜む、昨今最低60万はいるのかなぁ・・・と、資金不足で蒸発できぬ我が身呪う我輩・・・。

本作も一気読み!
「傍聞き(かたえぎき)」(長岡弘樹/双葉文庫)
「まったく予想のつかない展開」という謳い文句その通りの、08年日本推理作家協会賞短編部門受賞作・・・。
救急隊員、女性刑事、消防士、更生保護施設の女性職員らが主人公の4編ともに、登場人物のある行動が結末にどうつながるのか、これはホント「予測」つかず。以前紹介の百田尚樹「幸福な生活」のラスト一行での「唖然」とまた異なる、まさに職人技をまのあたりにした感で、4/5。

※「傍聞き」とは「かたわらにいて、人の会話を聞くともなしに聞くこと」。そうやって漏れ聞いた言葉は、相手から直接伝えられた言葉より信用されやすいという「漏れ聞き効果」(どうしても信じさせたい情報は、別の人に喋って、それを聞かせるのがコツ)という意味ですって。

また一気読み!
「傍聞き」に続き「また短篇集か・・・」と思いきや、我輩好みの中編2本!
「ビッグ・ドライバー」(スティーブン・キング/文春文庫)です。
表題作は、女流作家が読書クラブの講演に招待され、主催者に近道を教えてもらっての帰り道、暴漢に襲われ死んだと思われた彼女は溝に捨てられるのだが・・・。
残る1編「素晴らしき結婚生活」は、幸せな結婚生活を長年送ってきた主婦ターシーがある夜、優しい夫の裏の顔を知ってしまい・・・。

終章で「ダーシーは思った。神様、いらっしゃるなら、これで終わりにしてください。・・・そうは問屋が卸さなかった」なぁんて描写には、やはりキングのテクニック!と、ドキドキ。
いつものことだけれど、裏表紙のあらすじ読んで購入し、その内容忘れた頃に我輩ページを開くわけで、本書もあらすじなど無視して読むべき作品。4/5

以上同点評価ですが、今夜のオススメ本は、「無花果の森」!

★「今夜の合言葉!」

「イチジク」
で、サービスドリンクorつきだしプレゼント。

「小特集 一気読み!」完

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