303「パンプキン」

5.16.sat./2015

★古本屋にて

5月10日、堺・浅香山の古本屋「Book net one」は半額セール、東住吉「古本市場」ではステキに百円コーナー拡大していて思わず、爆買い。

さわやかな季節ゆえそれぞれ自転車行で「青い山脈」なんて口ずさみながら。そういえば寒い時期は倍賞千恵子さんの「寒い朝」だった。でもそれぞれワンフレーズしか覚えてない・・・。
白土三平「カムイ伝」「カムイ外伝」全巻もあったけれど、クルマでもない限り大量すぎて持ち帰られません。子供の頃に貸本屋で借りて今でも衝撃的な印象残る平田弘史の時代劇画「積んでは崩し」(後年、南條範夫の原作と知りましたが共に傑作)なんてあれば即購入だったんだけど。
結局、文庫小説33冊を平均単価136円余りで。大枚払ってないけど、な〜んか中国人に成り下がった気分・・・アッ、「成り下がった」なんて言葉残すと中国に日本占領された時、収容所送りになるかも!

★「今夜の本!」

「慟哭」(貫井徳郎/創元推理文庫)
捜査が行きづまる連続幼女誘拐殺人事件を担当するのは問題抱えた、でも切れ者の捜査一課長。そして、新興宗教に救いを求めようとする無職の男の物語が交互に描かれる著者デビュー作・・・。
本書を「名作」と知りつつ好みでない「本格ミステリー」(謎解き、トリック、名探偵が主の)との触れ込みゆえ永らく手に取らずの93年作。
う〜む、事件と宗教がどう関わるのかと興味津々で読み進み、その接点が判明するのがようやく3分の2読破した頃。そしての終盤、傍点の箇所を「ん?なんで傍点?」と思った瞬間、思わず「ウァ〜!」(ホント、叫んでしまいました)
本書は単なる「本格モノ」ではありませんでした。リアリズムあふれる人間ドラマでもあります。「接点」以降の展開で「なんでこの人がこんなことを?」との疑問あるけれど、その「驚き」(近年でいえば乾くるみ「イニシエーションラブ」、歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」に匹敵)それだけでも、評価5/5。

※日本の新興宗教団体数、23万!(無税で営むことのできる収益事業は金貸し含め33種。要するに金儲け団体に過ぎぬという)。信者総数、二億一千五百万人!(各団体の公称数それぞれ水増ししてるわけで。そんな小細工すること自体が非宗教的)
教訓:宗教なんてもう信じません(でも、宝くじ当たるようナンカにお願い、してますけど・・・)

「アルカトラズ幻想」(島田荘司/文春文庫)
「僕には書けない!」伊坂幸太郎(書けんやろなぁ)、「そ、そんなのあり!?」大森望(ホンマやわ)、とは帯のキャッチコピー。( )は我輩やけど・・・。
ワシントンDCでの奇妙な「猟奇殺人」(殺人なんて食傷気味なれど)に続いて描かれるなぜかの「重力論文」の章(面白い!古生物学者にこの学説お聞きしたし)。そして脱獄不可能な「アルカトラズ島監獄」(この辺り、米映画「アルカトラズからの脱出」そのままやん?)に舞台が移り、最終章で地球空洞説に基づく地下都市「パンプキン王国」出現・・・こ〜んな展開想像できます?
少々もたつき感あるけれど、こんな発想できる作者に対してと共に、我輩にとっては驚愕的物語で、おまけの5/5。

「怪物」(福田和代/集英社文庫)
大都市中心街のビル地下深くにある近代的ごみ処理施設。勤務する青年研究員は「人間の身体ぐらい溶かせる」とこともなげに言う。定年間近の刑事は不審な失踪事件にこの青年が関わっているのでは?と疑念を抱いて・・・。
20年前の未解決幼女誘拐殺人事件を発端に、たるみなく展開する犯罪ドラマ。が、緻密な前2作の読後だと、死臭を嗅ぎ分ける能力とか事件関係者の女性の行動などに少々リアルさがなくって、3/5。
※日本テレビ系列で佐藤浩市主演のドラマ作品があったとか。未見。残念!・・・というほどには面白いのんよ。

※今夜のオススメは、「瞬間的驚き」(慟哭)、「継続的驚き」(アルカトラズ)欲する方に両作!

★「今夜の合言葉!」

「パンプキン」
で、サービスドリンクorつきだしプレゼント。

「パンプキン」完

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