298「HB鉛筆、売ってません」

6.16tue/2015

都内の路上で「羊」「ワニ」発見。
閉鎖される日本のチョーク製造会社から米国の大学教授たちが在庫まとめ買い。
10万円の目覚まし時計が売れている.
・・・といった一風変わった話題を取り上げるNHK番組「所さん、大変ですよ!」で、「HB鉛筆が文房具店で売られていない?」というのが。

※「羊」などは「剥製」。で、廃棄される剥製が最近多いのはなぜ?という内容。「チョーク」はその弱小メーカーのみのが、折れない(もちろん書きやすい)点が高評価されての。「目覚まし」は本来泊まり込みの鉄道員が起床のため採用している特殊品。ただし、所ジョージさんは「よだれ顔」ゆえ我輩あまり好きではありません。

★それで、「HB鉛筆、売ってません」のお話。

これには驚きましたし、知りませんでした。
番組ディレクターが親戚の子へのプレゼントにと(本人が子供の頃使っていたHB鉛筆求めて)学童文具売り場へ・・・するとなんと、その売場321種3万本以上の鉛筆群の中に、HBが見当たらなかったのです。

その売り場占めるのは2B(売上の60%占有とか)、B(同30%)で、ようやく見つかったHBはわずか8%らしく、最下段にひっそり置かれていて百本ほどしかなかったというのです。
調査の結果、この傾向は九十年代半ばからで、現在小学校入学指定の鉛筆はBか2B。HBは禁止になっている実態も判明。

なぜ?
HBだと子供の筆圧が弱すぎて字が薄く何が書いているか分からない。例えば「あ」と「お」が判別できないような問題でというのです(普通この段階で安易な2B採用じゃなく、本筋の対処すべきでしょ?・・・Hや2Hなんかどうなったんやろ?)

はたまた、なぜ?
宮崎大学の整形外科教授いわく「年齢に応じた力が備わっていない。それは手を使っていないから」
で、鉛筆を使うということは指先だけでなく、肩から指先までの腕全体を微妙にコントロールして使いこなすことであり、ゲーム、スマホのような指先だけの単調な動きを繰り返している子供たちが手をうまく使えなくなっているとのこと。

その手の力の問題としては、13歳の男子がビンの蓋を開けるのに1分も要するのに対し、5歳の女子は2秒で開けられるという、手首の機能がうまく働いていないというケースも紹介されました。

手の力というのは前頭葉(の運動野)が出し、前頭葉は思考力、感情コントロールをもつかさどるゆえ、手を使わぬようになると前頭葉での思考力も育たなくなる、と指摘の大学教授は別の問題も提起。

小学4年女子が、体育座りから手を使わず立ち上がることが出来るのは半数。小6では八割ができず。
かかとをつけたまましゃがみ込む動作は7%が倒れてしまうという結果で、トータル10人に一人が運動器の働きに問題が見つかったというのです。

※10B鉛筆が発売されてるそうです。HBの六倍の柔らかさ、濃さは2.5倍!ちなみに我輩は店でB使ってます・・・10Bに替えます。

教授は指摘。
「体力の基盤となる身体の足腰とか運動器に大変な問題が起こっている。関節が固く運動器が動かないため、足首、膝、股関節が充分に曲がらずバランスがとれていない。これを放置すると今の子供達は40代でロコモティブ症候群に陥る。足腰がしっかりしている親が子を介護しないといけない事態が」と注意を呼びかけていました。

※ロコモティブ症候群:関節、筋肉、神経など運動器が正しく動かなくなり、手すりを使わないと階段を上れない、15分歩いただけで足腰が痛くなる等の症状。

全国調査では一割の子供に異常が発見されており、来年から全国の小学校で「運動器チェック」を健康診断に加える事が決定されていると締めくくられる前、コメンテーターが指摘、「家事をさせるべき!」と(正しい!)
けれどこの番組では明確な解決策は確か出されていませんでした。
それで思い出し、古新聞引っ張り出して発見したのが、「児童が、ゴリラに」という記事。次回に続く。

★「今夜の本!」

「乱反射」(貫井徳郎/朝日文庫)
これは、ある一人の幼児の死をめぐる物語である・・・。
この一行から物語は始まる。しかし、次のページからはある地方都市に住む人々の日常生活が交互に描かれ始め(浅はかな中年主婦、犬の糞を処理しない愛犬家、緊急病院のバイト医師、異常な潔癖症の職人、新米市役所職員、車庫入れの下手な独身女、病弱な大学生、etc)それぞれの話が読ませるなか、「幼児の死」にこれらがどう繋がるの?と思っての(最近紹介の同著者「慟哭」も同様の展開)後半、これらが見事に結実。
そしてのラスト、息子の死の原因を追求してきた新聞記者の絶叫で、「なるほど!」。「深くて、重くて、悲しい・・・だが圧倒的に面白い!あなたはこの衝撃のラストを受け止められるか!」(帯のコピー)です。推理作家協会賞受賞。評価5/5。

「踏んでもいい女」(斉木香津/小学館文庫)
昭和19年2月。真砂代は19歳になったが幼児がそのまま大きくなったような体つきであどけなさが残り、十五、六歳にしかみえない。そしてみんなが自分のことを傷つけても踏んづけても構わないのだと感じている。そんな彼女が自分と正反対の優雅な日常生活を送る貴婦人のごとき貴子と偶然知り合い、彼女に反発しつつも家事を手伝うようになる・・・。
初めて知った作者。悲劇が予想される終戦間際、物資不足で満足に営業できない銭湯を祖父と二人で切り盛りしながら日々生き抜くことに必死の主人公と、屋敷からなぜか一歩も出ることのない、しかし贅沢な暮らしを送る女との交流の物語。裏表紙記載のあらすじ「時空を超え真砂代が辿り着いた真相に、あなたは必ず驚愕する!」は大げさすぎますが、二人が次第に心をかよわせる過程が読ませ、もっと物語が続いて欲しいとも思わさせてくれる、ちょっと引いてしまう題名ですが、秀作。小学館文庫小説賞受賞。評価4/5。

※今夜のオススメ!は、両作とも。

★「今夜の合言葉!」

「HB」
で、サービスドリンクorつきだしプレゼント。

「HB鉛筆、売ってません」完

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