324「新・恐るべき空白ぁ 診察

10.24mon/2016

★診察

そして、8月8日月曜を迎えた。
去年夏に入院していた住之江・友愛会病院主治医Y先生紹介の地元のMクリニックに退院後の投薬受け取りに通っていたのだが、さすがにこの日の午前、とりあえずそこで受診することに。

ま、ボロカスに言われるやろなぁと思っていたけれど案の定、診察結果は感覚神経つかさどる脳の左視床に出血あり(前回は右視床だった)。で、M先生「い、いままで、ナ、ナニしとったんですかぁ!す、すぐ入院を!」と。
地元の国立大阪南医療センターか前回入院の病院かの選択迫られ、じゃあ慣れ親しんだ先の、親愛なるY先生や看護師、療法士の方々いらっしゃる「友愛会病院へ・・・」と答えると、先生隣室で即先方へ電話。
「そ、それが歩いて診察室に入って来られてですねぇ!」云々と先方におっしゃってるのが聞こえてき、もちろん鳥取まで連れ回されてましてなどとは口が裂けても言える雰囲気ではなかった。我が妻リ・フジンなど口に指先当てて「シィ・・・!」と、黙っとけの合図。
ま、こういう状況に陥らぬと現実に向き合えぬのが所詮、女。
そして喉元過ぎればなんとやらも、女。
いや、退院後も酒タバコびたりの我輩がいうべきことでは、これはないな・・・。
で、その場から車で住之江へ。

住之江で改めてMRI検査すると、昨年の直径2センチほどの出血に対し今回は1センチほどと判明。
ただ、繰り返し発症することのある脳梗塞に比べ我輩のような脳内出血の続いての発症は珍しいとか。
かつ前回、生涯車椅子生活のはずが奇跡的に回復と同様、今回も本来左右の視床出血ならば「死」もしくは「廃人」のはず。が、出血箇所がポイントからわずかに外れていたため軽くすみ、Y先生いわく「毎回運がいいですねぇ!」(でも宝くじは当たらない)
だが前回同様、我輩のように通常生活時に急激に血圧が上がり脳内出血してしまう原因は医学的にはいまだよく分かっていないらしい。

★また入院

「2週間は絶対安静」で即入院となり、去年の夏と同じ6階の急性期病棟に。
去年は発症の影響でほとんど記憶に残っていないこの病棟で、軽症ゆえ3階のリハビリ病棟に移ることなく退院まで過ごすことになった。

6階担当の言語療法士の女性に「前回も私が担当でしたよ」「前はこの向かいのベッドでしたね」などとといわれてもその魅力的な方にも全然見覚えがなかった。
それほど前回は記憶を喪失していたのに比べ、今回は意識がはっきりしているがゆえに悲しいかな、この6階病棟は去年移ったリハビリ病棟の3階とは何もかもが違っていることに気づいてしまった・・・。

6階担当の男性療法士とリハビリ施設に向かう際、ながらく入院していた3階のナースセンター前を通る。
もちろん顔見知りの看護師さんたちに出会うわけだ。
そこで彼ら彼女たちが我輩の顔をみて「あ〜!」「おー!」「あらァー、アラアラ!」と驚きの笑顔で迎えてくれ、付き添いの療法士さんいわく「Sさん、モテますねぇ〜、羨ましいですわぁ!」
・・・いや、これはモテてるんじゃなくって、たぶん去年退院時の病院に対するアンケートというのに我輩正直に、この病棟看護師さん達の患者に対する厳しさから感じ取れる介護の真剣さを絶賛したその記入内容の反映ではなかったかと・・・。

★ギャップ

摂った水分量まで事細かにチェックされた前回3階での療養中に比べてのギャップとは?

例えば、6階食堂では我輩に出されるデザートのゼリーに毎回スプーンが付いていない。
我輩はそれを箸でちまちまと食している。時たま見回りに来られるたぶん栄養士の女性がそれを目ざとくみつけ、「はい、スプーンどうぞ」となる。
けれどその時以外は毎回スプーンなし。栄養士さんがそのつど指示しておかぬのもおかしいけれど、看護婦さんは私語に夢中(ま、首謀者約1名が中心なんだけど)。水分チェックなどはいわずもがなだった。

また、週2回の入浴日が決まっていた3階に比べ、ここでは通りすがりの看護婦さんが思いついたように「あ、お風呂入られます?」(思いついてくれなかったら・・・?)

テレビはイヤホーン使用なのに、ある新人患者は朝から晩までイヤホーンなしかつ看護師連中はそれに素知らぬ顔。
そのテレビの音が消灯後までも続いたとき、たまりかねて男性看護師に(こんな件では頼りになるのはやはりは男か)「あの方、イヤホン使用知らないんでは?」(もちろ知っているはず。初日に注意事項としていわれていたのを我輩も小耳にしていた)と訴え、ようやくの解決。
こういうことに他の同室患者はなんとも思わんのかと・・・で、思い出した。

去年の話だが、病室消灯就寝午後10時。
墨丸の店ではその頃の時間からお客さんが来られるわけで、ゆえにそんな時刻、我輩眠れるはずもなかった。
で、悶々としつつの午前2時頃ようやく眠りにつけるのだが、その2時間後の午前4時過ぎに、4人部屋の洗面台蛇口が突然全開され水の音が室内に響き渡るのだ。それも延々と・・・。
「いったいナニ?顔洗うのにそんなに水いるの?」と不審に思っていたところあるとき判明。
同室の(背の)「小さき男」かつ血液B型、尾木ママ似のおっさんが犯人(この特徴すべてが苦手)だった。彼のベッド回りに靴下などの洗濯物がズラリと干されているのを発見。そう、午前4時過ぎの洗濯だったのだ。

「みんなよう我慢してるなぁ・・・」とその部屋では新参モンの我輩我慢しつつも感心してると、「牢名主」と我輩あだ名を付けた元タクシー運転手さん(脳梗塞で自称5回目の入院)その「小さき男」と仲良さそうだったのに「小さき男」退院直後、「朝っぱらから水ジャブジャブ流しやがって!」とののしっていた・・・。

4人部屋の狭き世界で角立たぬようにか我慢する方々いらっしゃる一方、普通では考えられぬタイプの人がこうしてどこにでもいるんだという現実思い知った。かたや神経質なのは我輩だけじゃなかったと一安心もした次第。

話がそれてしまったけれど、といったようなわけである日、療法士さんに聞いてみた。
「3階と6階の看護師さん達の対応って違ってます?」
なんと「フロアごとに異なってるようですねぇ」、らしい(もう4、5階病室は経験してみたくもない。いや、怖いもの見たさってこともあるか・・・)
で我輩、少々悩んだ。
「退院時のアンケート、今回はどう書きゃええんやろ?」
危惧しただけ損した。アンケートさえも、なかった。

そしての2週間後、「左右視床の出血跡も消え、その部分の神経は回復しませんが回りの神経が今後フォローしていきますから、地元のリハビリ施設で様子を」と8月20日土曜の退院に至ったわけである。
去年に比べ後ろ髪引かれるようなこともなく、いや髪の毛などないがのごとく、今回は強制収容所から開放されたようなホッとしたような気分で・・・。

「新・恐るべき空白」つづく

<戻る>