331「駐車券」

16.12.6tue.

★カメレオン

以前も記したと思うけれど、駐車券を紛失してしまったことがある。
初めての経験だった。

堺のダイエーで店の仕入れを終え、車に乗り込んだところ駐車券が見当たらない。
服のポケット、買い物袋の中、停めている車の内外探せど見つからない。
いくら探しても、何処を探しても見つからない。
思い余って店内に引き返しサービスカウンターでその旨告げると、「駐車場出口で申請してみてください」

出口料金所のインターホンが管理会社に通じていて再度状況述べると、「初めてですか?じゃあ」と、ゲートが上がった。
無断駐車の常習犯でもそう聞かれたら「初めてです」と答えるかもしれぬのに、我輩の受け答えがよほど真に迫っていたんだろうか?

このときは後日、車のドアアームレストのポケットから、すでに探し終えていたその場所からそれが、その駐車券が出てきた。

車の内装が「黒」。
もちろんドアポケットも「黒」。そして、駐車券の裏面も「黒」色だった・・・。
券が裏向けにポケットの底にへばりついていたのだ。まさにカメレオンのごとく「へばりついて」、車の内装色に「同化」してしまっていたのだった。
以来、我輩はこれを「カメレオン現象」と呼んでいる。

★そして

もちろんそれ以来、駐車券の取扱いには充分注意している。
一度だけ「あれっ!?」ということがあったが、このときも駐車券のヤツめ、そのドアポケットの今度は縦にへばりついていやがって、でも難なく見つけてやった。

こうして日頃注意していたはずなのに、今回「もちろん」や「充分注意」の言葉を撤回せねばならぬハメとなってしまった・・・。

入場ゲートで券を受け取りドアポケットに置き、車を停め、ドアポケットから服の胸ポケットへ・・・というこの一連の意識下での動作がある日から、無意識の、まったくの自然過ぎる流れと化してしまっていた。
ゆえに今回、最終的には胸ポケット行きとなっているはずなのだが、この日、なぜか再び駐車券が見当たらなくなってしまったのだ。

自宅最寄り駅のスーパー駐車場には「駐車券紛失の場合は一日分の料金をいただきます」と無慈悲で過酷な表示がされているが、この日はKN市の公営駐車場。そんな無体なことも言うまいがと思いつつ、探した・・・もちろんカメレオン券の隠れ場所、ドアポケットも・・・でもでも、見つけ出せない!
車から降りるときに落としたか?
と、ドアを開けると、ああ、足元の、我が車体の下に半分隠れるようにして駐車券めがいた、いや、あった。

★奇跡か偶然か

数日後、奇跡が起こった。

服の胸ポケットからメモ帳取り出したその時、メモの間からハラリと手元に落ちたのは、一枚の券。
「ん?・・・駐車券?」

一瞬、ナニが何やら分からなくなった。
なんで駐車券ってもんがココにあんねん?駐車券って手元に戻るんやった?
アホな・・・と見てみると、それには「駐車券キックス 入11月19日15時42分」の印字が。

・・・分かった。
あの日、車体の下から券を拾い上げ、まだ無料時間内であることを印字で確認した時、「結構時間くったな」と思ったのだ。
確か入場がその拾った券では「15時10何分」だった。
永く思ったはずだ。
なんと、あの券は我輩のではなかったのだ!

我輩の前に入場した人物が落としたモノをたまたま「落としてた?」と思ってしまった我輩が「あ〜、見っけ!」と拾い上げ・・・その間、我輩の駐車券の奴め、先ほども探した胸ポケットのメモ帳の、そのページとページのすき間にこっそり潜り込んでいやがったのだ・・・。

信じられる?こんなこと?
いや、知能犯的な駐車券のことじゃなくって、こんな奇跡か偶然かってことを・・・。

駐車券に逃げられた、いや失くした人はどうしたんだろ?

「駐車券」完。

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