359「今夜の映画」(近松物語)june/2017

7.2sun//2017

ガジュ丸評価基準。
5〜4が「秀作以上ライン」(5は「ぜひ!」的作品)、3.5は「損ナシの佳作」、3は「普通」、2〜1は「駄作ライン」
NF=ノンフィクション。※は再観作品。

★「今夜の映画!」

01.「サハラ 死の砂漠を脱出せよ 」2005/アメリカ/ブレック・アイズナー監督/3.0
02.「ポーカーナイト 監禁脱出」2014/カナダetc/グレッグ・フランシス/3.5
03.「インドシナ」1992/フランス/レジス・ヴァルニエ/3.0
04.「天国からの奇跡」2015/アメリカジェシー・ネルソン/3.5
05.「ロスト・イン・ザ・サン 偽りの絆」2016/アメリカ/トレイ・ネルソン/3.5
06.「黄金のアデーレ 名画の帰還」2015/アメリカetc/サイモン・カーチス/3.5
05.「クーパー家の晩餐会」2015/アメリカ/リード・モラーノ/3.5
06.「持たざるものがすべてを奪う/HACKER」2016/アメリカ/アカン・サタイェフ/3.5
07.「アウト・オブ・コントロール」2015 /カナダ/エイプリル・マレン/3.0
08.「貞子vs伽椰子」2016/日本/白石晃士/1.0
09.「ロブスター」2015/アイルランドetc/ヨルゴス・ランティモス/3.0
10.「マジカル・ガール」2014/スペインetc/カルロス・ベルムト/3.0
11.「ザ・ギフト」2015/アメリカ/ジョエル・エルガートン/4.0
12.「オブリビオン」2013/アメリカ/ジョセフ・コシンスキー/3.5 ※ 
13.「最終兵器ムスダン」2016/韓国/ク・モ/2.0
14.「グロリア(1999)」1999/アメリカ/シドニー・ルメット/3.0
15.「スポットライト 世紀のスクープ」2015/アメリカ/トム・マッカーシー/4.0 
16.「ブリッジ・オブ・スパイ」2015/アメリカ/スティーブン・スピルバーグ/3.5
17.「ミス・ワイフ」2015/韓国/カン・ヒョジン/3.0
18.「アイ・アム・ヒーロー」2016/日本/佐藤信介/3.5
19.「7500」2014/アメリカ/清水崇/2.0
20.「サマー・インフェルノ」2015/アメリカetc/アルベルト・マリーニ/2.0
21.「僕だけがいない街」2016/日本/平川雄一朗/3.0
22.「近松物語」1954/日本/溝口健二/5.0
23.「ハートブレイク・リッジ」1986/アメリカ/クリント・イーストウッド/3.0
24.「のぞきめ」2016/日本/三木康一郎/1.0
25.「セトウツミ」20016/日本/大森立嗣/3.5
26.「捜索者」1956/アメリカ/ジョン・フォード/3.0
27.「恋はデジャ・ブ」1993/アメリカ/ハロルド・ライミス/4.0
28.「人斬り」1969/日本/五社英雄/4.0 ※
29.「フライト・クルー」2016/ロシア/ニコライ・レベデフ/3.0
30.「ジュピター20××」2012/アメリカ/エリック・ヘイデン/3.0
31.「三匹の侍」1964/日本/五社英雄/3.0 ※

★「断念!映画」

「面白くなさそう」と中断してしまった、「断念=残念」映画は?

「ゲームの鉄則」1939/フランス/ジャン・ルノアール監督
「ぼくらの家路」2014/ドイツ/エドワード・ベルガー
「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第2章」2015/イギリスetc/ジョン・マッデン
「劇場版 進撃の巨人(アニメ)」2014/日本/荒木哲郎

★「映画vs原作」

映像作品もしくは原作の、どちらが「優」?

「僕だけがいない街」→三部けい原作○
主演の藤原竜也はどの作品みても同一人物にみえ、その映画版は展開にも?
「劇場版 進撃の巨人(アニメ)」→諫山創原作○
マンガはともかく、アニメはなぜか苦手・・・。
「グロリア(1999)」→1980年版ジョン・カサヴェテス監督作◎
リメイク作はシャロン・ストーン、名匠シドニー・ルメットながら、旧作のジーナ・ローランズと監督作が良すぎて・・・。

★コメント

実話作では、ナチに略奪されてのちオーストリアで国有財産として展示されているクリムトの肖像画返還を求めるユダヤ人女性(ヘレン・ミレン)を描く「黄金のアデーレ 名画の帰還」が、まるで知らなかった事実で見応えあり。
話には聞いていたけれど「これほど!」だったのが、カトリック神父による子供への性的虐待テーマ作「スポットライト 世紀のスクープ」
ボストン・グローブ紙の調査で、なんと神父の6%もが幼児性愛者と判明。彼らの毒牙にかかった被害者たちが精神に異常を、または自殺に追い込まれているにも関わらず、教会側は唾棄すべき彼らを単に「病気治療中」として隔離、保護している事実があからさまに。「オウム真理教」ともう変わらんやんのバチカンを賛美しつづける信者の心情理解できぬと共に宗教の恐ろしさを知る。評価欄に掲載していないけれど、同時期放映のBSドキュメンタリー「カリスマ医師の隠れた真実」は、何人もの患者にプラスチックの気管を移植し続け死に至らしめている医師告発の番組だったが、これらが現時点の問題ゆえより衝撃的で恐ろしい。
猥褻目的で教師を目指す学生がいる、と聞いたのはもう一昔前。今やその類いの事件もめずらしくなくなったけれど、なぜ日本の報道では教師名があからさまにされぬのかとふと思う。被害者特定に至らぬようにとの配慮だろうけど、一向に減らぬ猥褻教師を駆逐すべくの映画化ぐらいはしてほしい。

俳優ジョエル・エルガートンが製作・脚本・出演兼ねて監督の「ザ・ギフト」は、優しく仕事にも有能な夫が高校時代の旧友と偶然再会することから幕を開ける出色のサスペンス。単なるストーカー映画にとどまらぬのが、ミソ。
高慢なTVキャスターが田舎町に取材に訪れたところ、同じ一日が延々と繰り返される世界に陥り・・・ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル共演「恋はデジャ・ブ」は、数少ない「我が心に残るコメディ」の一本に。

「プレデター2」でその宇宙船内、「エイリアン」の骨格が捕獲記念品として他の骨とともに陳列されているのがチラッと映し出されたシーンにはゾクゾクしたものだけど、そんな二大「対決」となるともうマンガ。
日本ホラー二大キャラクターの「貞子vs伽椰子」(リングvs呪怨)なんてのは、まさに。それぞれ続編の企画出尽くし「じゃぁ・・・」的に制作なのか、これはもう悲しき対決でしかなかった。
今月のホラー作品はまた、あらゆる隙間から目玉に覗かれ祟られる「のぞきめ」(以前紹介の三津田信三原作)、清水崇のハリウッド作で旅客機内での怪異を描いた「7500」(どんな怪異なのか、もう忘れたほど)、これらもマンガで終わってしまっていた。

日本映画で「意外に」だったのが、高校生役の池松壮亮と神田将暉が放課後、川べりで会話を交わすだけの展開なのに飽きさせない「セトウツミ」、日本でもこんなゾンビ映画がつくれるんだ、の大泉洋主演「アイ・アム・ヒーロー」の二本。

三度目の鑑賞となる五社英雄監督「人斬り」は、土佐の下級武士ながら類まれな刺客となり、最後には使い捨てられる岡田以蔵に勝新太郎、以蔵を操る勤皇党党首・武市半平太に仲代達矢、薩摩の人斬り・田中新兵衛になんと三島由紀夫と、最高、最適な配役。竜馬役に締まりのない丸顔の石原裕次郎は?だけれど(彼がなぜ人気あるのか昔から?なんだけど)、時代劇らしい時代劇でオススメの一本。司馬遼太郎「人斬り以蔵」再読とメモす。
こういう重厚な本格的作品が時たまにでも製作されてれば時代劇衰退もなかったろうに・・・。

★6月の推薦作!

こうした中での6月の傑作は、名匠・溝口健二の「近松物語」
近松門左衛門の人形浄瑠璃をもとに、不運が重なり不義密通の疑いをかけられた大店の若妻・おさん(香川京子)と実直な手代・茂兵衛(長谷川一夫)の逃避行の果に待ち受ける悲劇を描いて傑作(本作も「今夜の本!」での「イノセント・デイズ」同様、待ち受ける悲劇を目の当たりにするのに耐えられず、何度か観るのを中断す)。ただ、おさんが茂兵衛に頼りすぎた挙句、獄門送りとなるわけで、そんな女の浅はかさには終始イライラさせられるけど。

その点、同じ近松物の増村保造監督作、お初(梶芽衣子)と徳兵衛(宇崎竜童)の非恋物語「曽根崎心中」(1978年)は、二人に落ち度もなく、ただただ皮肉な運命に翻弄され心中に至らざる負えなくなる展開で、目をそらしたくなる、耳をふさぎたくなる(我輩、気が弱いというか面白作品にのめりすぎるというか・・・)、オススメの一本。

「今夜の映画!」june/2017 完

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