388「露出した臓器の話」参(ふたたびの・・・)

12.30.sat/2017

★11月29日水曜、午後5時半「再スタート」

10月14日につづく露出した臓器の手術、いわゆる白内障の二度目の手術準備がこの日に始まった。
一週間後の12月6日の左目のそれに向け、まず点眼剤(通称、目薬)での眼球消毒を自宅で一日4回続けることになる。

ご存知?
看護婦さんによると、目薬というものは市販品ふくめ点眼後1〜2分は目を閉じておかねばならぬことを。我輩は知らなかった。まばたきすると点眼剤は目の外に流れてしまうという。本来は5分が最適とか。が、日常生活下で5分間も目を閉じていることなどなかなか出来ぬゆえ、「最低1分以上は」と看護婦さん。

※いま気づいた。自称女性蔑視派の我輩、看護婦さんにはなぜか「さん」づけしてることに。たいていの男性医師には我が文中、尊敬してしまう「先生」以外にはただの「センセ」なのに?・・・いや看護婦さんに限らず、「ママさん」「女将さん」「保母さん」「女王サマ」もそうだわ。「子供は母親の胸を見て育ち、父親の背中を見て育つ」を持論に、「男尊女卑の旧習護る会」「イクメン嫌悪会」自称会員としてはコレは弾劾されるべきことか、な?

で、10月の右目手術後は数種類のそれを次の手術日まで、我輩の場合は11月の手術日が予約満杯だったゆえこの12月まで二ヶ月間も点眼し続けることになった。通常、手術後三ヶ月は点眼し続けねばならぬようだ。で、炎症や感染を防ぐというそれを何日かごとに種類変えつつ最高一日6本もだ。
かつ点眼後、次の目薬使用までこれまた5分は間を開けねばならぬ。今後両目となると計10本近くも点眼となるわけで、いくら昨今ヒマな我輩でも・・・で、ドライアイのは我輩もう無視。白内障進行遅らせる目薬もいまさらともうず〜っと無視。
そしてのこの日、看護婦さん「進行遅らせる目薬はもう不要ですから捨てて下さい」・・・手元に新品ふくめ、4本もそれが残っていた。あ〜、また金をドブに捨ててしまった・・・。

★12月4日月曜、午後5時半「最後の事前診断」

前回の手術前、患者数人と共に手術手順の参考映像を見せられたのち、看護婦さんに手術日前後の注意事項のレクチャーを受けた。
本日もその繰り返しかと思いきや、眼圧と視力検査および眼底撮影、そして例によって一分弱の診察だけで終了。
これでこの日の診療費1,330円なり。薬代は別。ここに通院し始めた夏前からこれもしくはプラスαをず〜っと支払い続けている・・・。

看護婦さん「明後日の手術はSさんが一番目ですよ。10時に来ていただいて11時から手術です」
一番目に「拷問」なんて嬉しくもないけど・・・。
そして例によって「前日から禁酒です」
当分禁酒禁煙ゆえ、病院帰りに「最後にちょっと一杯飲みに」と思っていたのに、病院出ると雨も降っていた・・・この最後の日にふさわしいのか、傘もなく、冷たい雨に打たれながら帰宅のバスに乗るはめとなった・・・。

★12月5日火曜、午後3時半「リハビリ」

11月からふたたびリハビリに通い始めている。
リハビリと言っても各種スポーツ器具使っての運動だ。
駅ビルに9月にオープンした小規模の施設で、毎週火曜午後3時半から5時頃まで。入会済みのスポーツジムより安いのだ。
手術後2週間は安静期間となるゆえ、9種類の運動器具等によるトレーニング、しばらく不可となる。

この日その旨を介護福祉士の方に伝えると、「あ、ここでも明日手術の方がいらっしゃいますよ!同じ病院で」「え、おいくつぐらいの方?」「70歳ちょっとかな、女性の。ここではSさんが一番お若いもの」
ああ、この苦行を共に語り合える仲間がいるかと期待したのに、老婆の愚痴などは聞きたくもない・・・。

★12月6日水曜、午前10時「手術・・・」

手術後しばらくは洗髪も不可ゆえ、昨日は散髪にも行った。
洗髪可となっても制約多しゆえ、洗髪しやすいよう思い切ってスポーツ刈りにした。
で、タバコも不可となるゆえこの朝、緊張もあって立て続けに何本も吹かして出かけた。

今回、手術前のレクチャーなしゆえ忘れていた。
タバコは手術当日の朝から禁止だったんだ・・・。
後日、なぜ不可なのか医師に聞いてみた。
「目の毛細血管を収縮させて手術に悪影響及ぼすため」だった・・・。
我輩みたいな学習能力欠如者もいるんやから何度もレクチャーしてや・・・。

もう一点聞いてみた。
「白内障患者の何割が手術を受けねばならぬのか」と。
いまコレを読んでいるあなたの為にだ。
いわく「白内障はすべての方が罹ります。全員が手術しなければなりません。ただ手術がコワいからと拒否される方のみのぞいて」ですって。
諸君もあの恐怖をいつか乗り越えねばならぬのだ、臆病者のぞいて。アハハ。我輩は準・臆病者やけど・・・。

10時半まで待合室で例によって各種目薬しながらの待機。
10時半、手術室前に移動。
例によって手術着に着替え、心電図のコード装着。
我輩の次に手術というオバサンが横に座る。
「おたくも二回目?あたしも二回目。でもコワいわ。ドキドキやわ」と喋りかけてくる。
この方が同じリハビリ施設に通ってる?いや、本日の手術患者は14人もいると聞く。プラス眼球注射の患者も何人かというのだから・・・でもかたわらに不安がる方いるとかえってこっちは落ち着くものだ。で、前回に比べ今回は歴戦の勇士のごとき心境に。

・・・でもなかった。
10時55分、手術室の寝椅子に。
前回はコード装着の左手の指を右手で握りしめ鈍痛に耐えていたけれど、今回はその左手、体の側面に置かれてしまった。で仕方なく右手を痛いほど握りしめるしかなかった。
と、センセ「力が入りすぎですよ、はいリラックスして、リラックス」
「リラックスなんてできますかいな」で、笑われながら・・・11時10分、手術終了。

前回は想像の産物だったのか、今回は眼球に触れられるという異様な不快感あるものの、あの「鈍痛」あまり感ぜず。
が、眼球切開の前に「はい、麻酔の注射します」なんてことは、「告知するなよ」だ。それだけであらゆる痛み想像してしまうではないか。その注射の痛みといっても点眼麻酔のお陰で他の不快感と変わらぬものなのにだ。
それに「はい、終わりますよ」もだ。
その言葉で安心しても、まだまだ続くんだから・・・。

看護婦さんに支えられながら手術室出ると、待機場所にはあのオバサンふくめ患者は3名に増えていた。
「お先です」と声かけるも、皆うつむいて押し黙ったまま・・・。
34,070円の手術費用の支払い終えた11時30分すぎには、我輩同様顔面半分に分厚いガーゼあてた手術後患者が待合室にすでに2名もいた。まるでベルトコンベア式手術だ。スゴイことだ・・・。

ガーゼ姿でバスで帰宅。
少し恥ずかしい格好だ。
吉永小百合と浜田光夫の映画「愛と死をみつめて」の顔面肉腫に罹患したヒロインもこの姿だったな。あれは吉永小百合ゆえ画になっていたけれど・・・。

★12月7日木曜、午前8時35分「術後の初診」

この日、ガーゼをとる。
そしてのセンセ、「順調です」
ガーゼの代わりに、就寝中無意識に目をこすらぬよう金属の眼帯セットを前回同様購入となる。
でも帰宅後、ついウトウトしてしまっていた。眼帯、せずに。
が、寒いゆえ腕は布団のなかのまま。たぶん。
そうなると慣れとは恐ろしいもので、「より寒い夜中に布団から手を出すことなどないのではないか。ゆえにこすらぬのではないか」と、とうとう眼帯使用せぬままこの夜就寝・・・。

★12月8日金曜、午前8時35分「術後二日目の診察」

眼帯を顔にテープで止めるのが意外に面倒なのと、洗顔できぬゆえテープを外した後のべとつき感が嫌で眼帯せぬままだったんだけど・・・目覚めると、視野の片隅に違和感が。
「眼内レンズ、ずれたッ?」
あわてて鏡見てみると、まつげに綿埃が付いていただけだった・・・アホやん(アホです)。
思うに目をこすらずとも、横向きに寝ると片目が圧迫されるわけで、これは目をこするに匹敵するんじゃなかろうか。我輩、その体勢での就寝アリで・・・でも、いつもの一分弱の診察でセンセ、「順調です」

★12月9日土曜、午前8時35分「術後三日目の診察」

木、金、土と連日早朝8時35分に病院に入り、各一分弱の「順調です」診察。
結局、連続して就寝時に金属眼帯使わぬまま・・・こうなるとさらに慣れとは恐ろしいもので、術後三日目からの「首から下の入浴可」、十日目からの「仰向けでの洗髪可」も、金属眼帯使わぬまま・・・。
ただ入浴は、手術した左目つむったままで終始汗を拭い、、仰向け洗髪は顔面にサランラップ貼り付けて・・・やったら眼帯使えばええのに・・・やっぱりアホやん?

★12月13日水曜、午前8時35分「術後一週間目の診察」

こんな調子で一週間経過。
センセ、「順調です」
で、聞いてみた。
「順調でない方ってどの程度いるんですか」

該当するのはよほど自己管理能力のない人たちなんだろうなと思いつつ・・・
その該当者になりそうなオバハンがいたのだ。
眼圧検査などで機械前でアゴと額を装置につけるシーン。
その際、看護婦さん「アゴつけて下さい」
「つけとるやないのッ」
「額をつけて下さい」
「ついてるやないのッ」
見た目にもついていない。
看護婦さん、頭をそっと押さえる。
「おさえんといてやッ」
「目を動かさないで」
「動かしてないやないのッ」
こんな患者「ご近所トラブル」の加害者みたいで、医者のほうが手術拒否したいんちゃう?(ディサービスなどで自宅訪問の場合にも横暴な患者がいて困ると聞くが、これは訪問拒否できぬらしい)。

で、先の質問にセンセ「ほとんどいません」
「!?」
「もともと目に持病のある方は毛細血管が出血したりと後遺症の出る方もいらっしゃいますが、Sさんは完全に順調ですし」
へぇ〜、事細かな点眼、事細かな日常生活上の規制があるのにだ。そんなに神経質に考えることもない手術なのかもしれぬ。

※園芸、軽い運動は術後2週間後から可。旅行は一ヶ月後から。洗髪や入浴規制考えると夏場の手術は控えたほうが良いかも。
また化粧は一週間後からだから女性やオカマさんは要注意。
昨今、我輩のように日帰りでの手術が喧伝されてはいるけれど、視力回復が片目ずつというアンバランス期間等考えると、入院しての両眼一挙手術のほうが楽かもしれぬ。ま、私的な入院医療保険に加入していればの話だけれど・・・。

で、いままでの連載を読んだ方にも問われました。
「その後の見え方は?効果は?」
ソレなのだ、目下の問題は・・・。
次回にはそのことを報告できるだろう・・・。

「露出した臓器の話」つづく

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