5.20.sun/2018
「呑酒暦」とは、我輩ガジュ丸の「呑む、読む、観る」三大娯楽キリギリス的人生において、初訪問の呑み屋をめぐる、めくるめく（？）物語、かつその月の特異な出来事の記録であ〜る。
さて四月は・・・（再訪率50％以上がＯＫ店）
★とあるバー
昨秋、墨丸会員テラ吉くんから会員ヤマちゃんがミナミでバーテンをしてると聞いた。副業ゆえ週に一日、月曜だけのバーテンダー。
が、酒席での会話ゆえ聞いた店の場所うろ覚え・・・で、新年の「おめでとうメール」発信ついでに場所ご本人に問い合わせて・・・。
で、「行こう、行ってみよう」と思いつつ、またたく間に半年近くが経過・・・。
さて、卯月の４月も後半。この「呑舟暦」のネタとしてはとある酒席も後日あるものの、それは５月の皐月話の前座となるであろうと、連載中の「露出した臓器の話」白内障手術後の定期検査で（いまだ続行中）地元駅前に出たついでに、途切れぬ体調不良と金欠背負いつつミナミへ、ＧＯ！
★時は、４月の23日月曜日
所は・・・う〜む、千日前１丁目か。
三十代のサラリーマン時代、夜ごとのサービス残業終え、そのストレス発散で夜な夜な徘徊した当時この街は畳屋町、笠屋町など粋な通り名で迷わず目的地にたどり着けたものの、今や無味乾燥極まりない無粋な町名変更。
で、1丁目とやらがどこがどこやらさっぱりわからぬ。スマホ世代ならいざしらず、手持ちのガラケーさえ打ち捨てたくなる気分に時たまかられる昭和人間、駅構内掲示のアナログ周辺案内地図にしばし見入る。
★所は、相生橋筋
なるほどあの相生橋筋あたりかと歩き初め、本日あいかわらず固形物いまだ口にしていず悪酔いせぬためにもと、元キャバレー「ユニバース」前の喫茶店でカレーライス食しながら時間を潰し、ヤマちゃんの店オープンするという午後７時、相生橋筋に入る。
が、今度は店舗所在地１丁目の、その７番地がわからぬ・・・。
街角表示板で６番地、８番地発見したものの、肝心の７番地表示だけが見当たらぬ・・・が、見当たらずとも歩いてたったの数分もかからぬほどの、その６と８の表示の間の７番地が、見当たらぬ・・・行きつ戻りつ探せどもバー入居しているようなビルさえも見当たらず・・・と、サラリーマン時代に通った、名も忘れたラウンジがあった懐かしの千寿ビルを横町に発見。その店に勤め始めたばかりの、国では保母さんをしていたという優しき風情の台湾人ホステスと昼食ともにしたことがあったけれども彼女、台湾語オンリー。日本語もカタコトの英語も通じずして聾唖者同士のデートのようだったこと思い出す。そんなビルにもヤマちゃん勤めるバーの名はない・・・。
★発見？
むかしはこんな時、タバコ屋で尋ねるが一番。
で、最寄りのタバコ屋店先に座る姉さんに、「７番地はこのあたりですよね？」。でも姉さん「さぁ〜」。古き良き風習すたれたのか、無愛想な姉さんバカなのか（地元ちゃうんかよ。ン？台湾人か）。
と振り返ると四つ角に、お地蔵さんのような風体の、坊主頭の男が突っ立っていた。
コチラを見ていた。ヤマちゃんであった。
「さっきから店の前行ったり来たりしてはる人、マスターに似てるなぁ思てましてん」との彼のその横には目的の「店」が・・・。
これは我が先入観のせいでもあるまい。
そのお店、我輩イメージからはかけ離れすぎていた。
わからぬ、見過ごす、共にそうなのが当たり前・・・街角のたこ焼き屋風情そのものの店構え。そこは道路に面した立ち呑みバー。とはいっても店先には外人カップル二組が不揃いなパイプ椅子に腰掛けていて、その人数でもう我輩立ち入る隙きもない。
で、「マスター、なか入って呑んでや」というその「なか」というカウンター内の厨房。路上に面して窓もないそこは、これからの夏場は灼熱地獄、冬は寒風吹き抜ける地獄と化すらしく、そのスペースもオトナ３人も入れば身動きできぬほどのこれも狭さ。そんな状況でも午前７時の閉店時刻前は水商売帰りの客で結構賑わうという。
外人さん皆帰り、ようやく厨房から我輩脱して表に座り、「ヤマちゃん、ト、トイレは？」
この店探し回っていた間、トイレに行きたくて仕方なかったのだ。
で、ヤマちゃん「上です」
指差す方向見ると狭い急勾配の階段が。ビル上階がトイレと倉庫になっているという。
そんな急すぎる階段、足の悪い我輩転げ落ちるかも知れないではないか・・・。
こうして我輩、ようやくミナミに出てきたというのに、ようやく店探し当てたというのに、ヤマちゃんと久方ぶりに再会したというのに、たった１杯バーボン呑み干しただけで、駅のトイレへと小走りで駆け出すハメとなったのであった・・・。
大阪市中央区千日前１−７−３ 相生橋筋真ん中あたり、四つ角のバー「ミサイル」というお店の話。あ、「ミサイル」って店名表示してたっけ？
ヤマちゃん、膀胱カラにしてもう一回行けたら行くわ・・・。
再訪率：５５％
「ガジュ丸の呑酒暦」つづく