452「今夜の本!」3/2019 のベストは?

4.2.tue/2019

★「今夜の本!」

ガジュ丸評価基準。
5「傑作」4「秀作」3.5「佳作」3「普通」2「不満作」1「駄作?」。
NF=ノンフィクション ※=再読作品。

01.「あやし うらめし あな かなし」短編集/浅田次郎/集英社文庫/3.5
02.「脳男」首藤瓜於/講談社文庫/2.0 [江戸川乱歩賞]
03.「北氷洋」イアン・マグワイア/新潮文庫/3.5
04.「超常現象 科学者たちの挑戦」NF/NHKスペシャル取材班/新潮文庫/4.0

★「期待作!」

英国捕鯨船の北極海でのサバイバル劇「北氷洋」に触発され、ノンフィクション「エンデュランス号漂流」を手に取る。アムンゼン、スコット両南極探検に続く英国人シャクルトンの探検記だ。いや、失敗に終わっての極寒の南極海漂流記である。
こういう「読まずの傑作本」って手元に結構ある。お愉しみは最後にとの思いから・・・読みきらぬままあの世へというそろそろの段階なのに。

が、なんなんだ。
何日もかかってようやく達した全体の三分の一ページで挫折。
・・・南極大陸横断への途上、探検隊を乗せた帆船が押し寄せる氷塊で崩壊。絶望的な状況下、一行は17ヶ月も氷海を彷徨することにという、まさに我輩好みの「読まずの傑作本」のはずなのに・・・かつてこの映画作品観たゆえでもなく、思いがけなくもその極限さが伝わってこないのだ。残る三分の二で謳い文句の「すさまじい生存への脱出行」となるやもしれぬと、いまだ枕元に置いている。眠れぬ夜に眠りに誘ってくれる本としても。で、下記へ。

★「断念!本」
「面白くなさそう」と中断してしまった、「断念=残念」本は?

「エンデュランス号漂流」アルフレッド・ランシング/新潮社
「いつかわたしに会いにきて」エリカ・クラウス/ハヤカワepi文庫

図書館本など平気で「断念」するけれど、自費購入本はもったいない意識からか読み切るのが常。ゆえにこの二冊もいつかは読み切るだろう・・・か。で、これらに時間取られ、3月読破はたった4冊。「あやし うらめし あな かなし」・・・(この浅田次郎怪談集、まさに短編の名手による作)。

★「寸評!」

推理小説が好みでないゆえか、江戸川乱歩賞受賞作は「今夜の本!」では低評価が多い。
首藤瓜於の「脳男」は、なぜ受賞と思ったほど。で、解説でその理由知ろうとしたけれど、なぜかこの講談社文庫にはそのページ、なかった。

感情持たぬ青年の殺人劇。そのキャラクター造形には「ウムッ」。が、登場人物のネーミングが「?」。映画版では主人公が「たけきみ」と呼ばれるたびに「どんな字なんだろ?」と気にさせられたものだ。で、本作で「入陶大威(いりすたけきみ)」と知る。だけれども他に、緋紋家(ひもんや)、理詞子(りすこ)、苫米地(とまべち)、曲輪(くるわ)、空身(うつみ)、友賢(ともかた)なんて妙なネーミングの途上人物が(作者もウリオって名だ)。それら文字出てくるたびに「なんて読むんだっけ?」と気も削がれるわけ。ヒロインは「鷲谷真梨子」とマトモそうだけど、「わしや」なんてなぁと関西人は思えて・・・下記へ。

★「原作vs映画」
原作と映像作品、どちらが「優?」

「脳男」首藤瓜於 原作 vs 「脳男」瀧本智行 監督作
映画の主人公は膨大な遺産受け継ぎ、生活臭のない謎の人物設定。が、原作では会社経営者(経営できるんか?だ)。喜怒哀楽なしの無感情な人間描写に徹した映画のほうが少し「優」

★「ガジュ丸賞!」

NHKBS放映の「幻解!超常ファイル ダークサイドミステリー」は、さまざまな超常現象を科学的に解き明かしてくれている。再放送ながら毎回見直しているほど好きな番組だ。
その集大成ともいえるNHKスペシャル取材班による「超常現象 科学者たちの挑戦」が、3月の「ガジュ丸賞!」

「幽霊」「死後の世界」「生まれ変わり」「超能力」「虫の知らせ」・・・これらの99%は何らかの形で納得のいく説明がつけれるが、残り1%はどうしても現代科学では説明できず、不可思議な現象は実在すると本書では結論づけされている。その興味深い(我輩にとってはだけど)現状を、スタッフが世界中の科学者に取材しながら(民放では予算的に無理だろうほどの)知らしめてくれるのだ。
幽霊がいるのかいないのかの問から、心=脳ではない?量子論と超常現象の関係。宇宙の物質のうち現在理解できているのはたった4%だけで、その理解されていないナニかが不可思議な現象に関わっているのでは・・・などということに結びつけていく本書はまさに読み応え充分。
本書のもとになったテレビ番組は2014年に放送されたという。たぶん当時、墨丸店内で日夜録画していた膨大なテープのなかに埋もれているんだろうなぁ・・・。

「今夜の本!」3/2019 完

<戻る>