487「今夜の本!」(4/2020のベストは?)

5.6.wed/2020

★「今夜の本!」

ガジュ丸評価基準。
5「傑作」4「秀作」3.5「佳作」3「普通作」2「不満作」1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読作

01.「七つの黒い夢」短編集/新潮文庫/1.0
02.「目玉」短編集/吉行淳之介/新潮文庫/3.5
03.「三面記事小説」短編集/角田光代/文春文庫/3.5
04.「ドラママチ」短編集/角田光代/文春文庫/3.5
05.「怖い女の話」短編集/柴田哲孝/双葉文庫/3.0
06.「友がみな我よりえらく見える日は」NF/上原隆/幻冬舎アウトロー文庫/3.5
07.「喜びは悲しみのあとに」NF/上原隆/幻冬舎アウトロー文庫/3.5

☆「寸評!」

「やっぱり・・・」だった、著名作家7人によるダーク・ファンタジー集「七つの黒い夢」
そのあまりのくだらなさに初出誌みてみると、やっぱり「小説新潮」
以前のくだらぬ短編集も「小説新潮」掲載分だった。名のある作家だと「こんな程度でも活字に?」だ。その中で唯一評価3.5の誉田哲也「天使のレシート」は、名札に「天使恭子」と記されたコンビニ店員と男子中学生との交流話。実はその店員、ホントの天使で・・・。が、この作品、他の短編集で読了済みだった。

おなじ短編でも角田光代さん作は毎回ハズレ無し。
新聞の片隅、たった十数行の三面記事から紡ぎ出した、事実とは異なる展開という「三面記事小説」は、よくもまぁ読み応えアリ全6篇もと、その発想力と展開力に感嘆。
柴田哲孝「怖い女の話」は女の恐ろしさを描いた6篇だけど、角田さんの「ドラママチ」8篇のうち、実の子らにも恐れられ疎まれる姑の姿を嫁の側から描いた「ワカレマチ」のその姑話のほうが断然「怖い女の話」だった。

☆「ガジュ丸賞!」

角田さんの「三面記事小説」かとも思ったけれど、こんな作品があるんだ!?との発見本、上原隆さんのノンフィクション「友がみな我よりえらく見える日は」が、今月の「ガジュマル賞」。題も意味深?

「人生」描かれた物語が好きな我輩だけれども、上原さん取材対象は周辺にいるいわゆる普通の人々。取材相手が事件の関係者や著名人でもないのに、一読するとまるでよくできた短編小説のような人生談集。
例えば計14篇の冒頭3作は、ビルから転落し全盲となった著者友人の市役所職員の話、46年間一度も男とつきあったことのない独身OLの話、芥川賞作家なのにホームレス同然となった男の話。続編の「喜びは悲しみのあとに」には「子殺し」の裁判ばかり傍聴し続ける女の話など18篇が収録され、人それぞれにドラマありとあらためて教えられました。

「今夜の本!」(4/2020)完

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