495「今夜の本!」(7/2020のベストは?)

8.12.Wed/2020

ガジュ丸評価基準。
5「傑作!」 4「秀作」 3.5「佳作」 3「普通作」 2「不満作」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読作品

★「今夜の本!」

01.「カエルの楽園 2020」百田尚樹/新潮文庫/1.0
02.「本所深川ふしぎ草紙」短編集/宮部みゆき/角川文庫/3.5
03.「野いばら」梶村啓二/日経文芸文庫/3.5 [日経小説大賞]
04.「半島の密使 上」アダム・ジョンソン/新潮文庫/3.5 [ピュリッツァー賞]
05.「反日の構造 中国、韓国、北朝鮮を煽っているのは誰か」NF/西村幸祐/文芸社文庫/3.5
06.「イニシエーション・ラブ」乾くるみ/文春文庫/3.5 ※
07.「日本アホバカ勘違い列伝」NF/北岡俊明/WAC/2.0
08.「玉虫と十一の掌篇小説」短編集/小池真理子/新潮文庫/3.5
09.「破船」吉村昭/新潮文庫/4.0

★「断念!本」
「面白くなさそう」と中断してしまった、「断念=残念」本は?

「つむじ風食堂の夜」吉田篤弘/ちくま文庫

このつまらなさは覚えあるような・・・「小さな男 静かな声」の作者だった。その本、デパート勤務の背の低い男と静かな声をしている女性という二人の独立した物語が並行して描かれていた。で、当時我輩ふくめ数人の墨丸会員がイヤ〜な思いさせられた、客の尾木ママ似小男の老人連想させる「小さな男」の面白くもない話の章読み飛ばした覚えのある著者だったのだ。
我輩が作家の卵ならば吉田篤弘なんて歯牙にもかけぬだろうが、その力量に恐れおののき我がペンを折るであろう作家が、6月紹介の「あやし」につづく今月の「本所深川ふしぎ草紙」の作者、宮部みゆきさん。その筆力には脱帽。評価が「5」に至らぬ何かがあるんだろうけど・・・。

★「寸評!」

我がバイト先には部署は違うけれど、同じくパートで働く同年代や年上男性が計3名在籍。
そのなかのHさんからYさんへの読了済み本が我輩に回ってきた。
「カエルの楽園 2020」だ。
新聞等読んでるともう分かりきっていることを単にカエル世界に置き換えただけの、こんな作品がなぜ売れるのか。ならばとそのYさんにお貸ししたのが、かつて墨丸会員内で評価の高かった、帚木蓬生「三たびの海峡」、貫井徳郎「慟哭」、そして乾くるみの「イニシエーション・ラブ」

で、Yさんダントツ高評価の「慟哭」に比べ、「ボクらの歳でこんな若者の恋愛話なんて」と、「イニシエーション」のみ酷評。
我輩「A面とB面の章で話が別れてたでしょ?」
Yさん「遠距離恋愛になるだけでしょ?」
これはおかしいと、我輩その夜再読。
が、10年ほど前に読んだのに、内容ほぼ忘れていた。
「最後から二行目、絶対に先に読むな!」がウリ文句なのに、二行目読み終えても「?」。解説読んでも「?」(10年前もそうだった。アホやん?アホです)。
そぉして、再度二行目に目を通し、「ああ、そうやった!」
翌日Yさんに解説。
「おお、そうやったんか!」
理解せずページ閉じた方、いらっしゃるかも?
でも、10年ほどで内容忘れてしまうなんて、ショック。
映画版観た当時、脚本家の手腕に驚かされた覚えあるものの、その展開もコレまた忘れてしまってる・・・。

★「ガジュ丸賞!」

書店ではコロナ反映し、カミュの「ペスト」など感染症関係本コーナーが設けられている。
そこに吉村昭「破船」も。
ファンというよりただただ尊敬の念抱いてしまう作家のお一人ゆえ題名知ってたものの、既読だったか未読だったか・・・自宅書棚チェック。
昭和60年版の文庫本があった。
一読、未読だった・・・最近、戦後作家の作品ばかり読んでいたけれど、昭和初期生まれの方の作品はやはり違う。映画もそうだけど最近の本も「面白い。けれど心に残らない」か?先の宮部みゆきさんふくめ?

岩礁のある浜の隠れ里のような極貧の村が舞台。
その村人が生きてゆくすべというのが嵐の夜に浜で火をおこし、沖を通る船をおびき寄せては座礁させ、積荷を奪い飢えをしのぐというもの。ある日、難破させた船内には赤い着物の死体のみが累々と。仕方なく着物を剥いで村人に分配したものの、奇妙な病が蔓延し始め・・・。で「面白い。心に残る」のだ。

7月から月に最低10冊は読破しようと決めた。それでも年にたったの120冊。60年版「破船」読んでいないぐらいだから現蔵書読み切るなんて、もう不可能・・・人生、虚しくなってくる。
なんてことで、月末近しゆえ薄手の「破船」選んだわけもあるんだけど、60年当時の文庫文字はいまに比べ小さく・・・昨今ならば倍ほどの厚さになる本じゃなかろうか。で、7月は9冊止まりに・・・「面白い。心に残る」という思いも、贔屓作家ゆえの思い込みゆえかもしれぬ・・・。

「今夜の本!」(7/2020)完

<戻る>