499「今夜の本!」(8/2020のベストは?)

9.16.Wed/2020

ガジュ丸評価基準。
5「傑作!」 4「秀作」 3.5「佳作」 3「普通作」 2「不満作」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読作品

★「今夜の本!」

01.「夜ごとの闇の奥底で」小池真理子/新潮文庫/2.0
02.「反日の正体 中国、韓国、北朝鮮とどう対峙するか」NF/西村幸祐/文芸社文庫/3.5
03.「軽薄」金原ひとみ/新潮文庫/3.5
04.「文豪たちが書いた怪談」短編集/彩図社文芸部編/彩図社/2.0
05.「文豪たちが書いた怖い名作短編集」彩図社文芸部編/彩図社/3.0
06.「六合目の仇討ち」短編集/新田次郎/新潮文庫/4.0

★「ガジュ丸賞!」

7月「ガジュ丸賞!」の故・吉村昭「破船」に続き、8月も久方ぶりに手にした故・新田次郎さんの作品。全作読み応えありの贅沢な短編集。「昔の人は偉かった」じゃないけれど、我ら世代前の戦中戦前生まれの方の作品は、出版編集もふくめてやはり力量ってのが違うような気がするなぁ。イイなぁ・・・。

史実の忠実な再現をめざす歴史物を歴史小説といい、史実をふまえながらも自由な解釈をしめしたり、虚構の人物を登場させたりする作品を時代小説とよぶという解説者の尾崎秀樹氏は、新田さんは史実の現代的解釈や異説をうち出したような作品でも、歴史に取り組む姿勢はまじめで、基本的な資料調査の上で執筆している。そうしたことから、時代小説といっても歴史小説に近い位置にある作品が多いと述べ、富士中腹で展開される復讐劇「六合目の仇討ち」はじめとする短編全12作はまさにその「歴史」小説集。

反面、彩図社のこの夏の新刊「怪談本」2冊は何なんだ。
今は亡き「文豪」諸氏による怪談計28編収録だけど、半数近くが面白くもない。「うむ」とうなづける数少ない作品も既存の「怪談集」ですでに既読の作品ばかり。これはまぁ仕方のないこととしても、文芸部編というのが落とし穴。ネットで「文豪 怪」で検索して表示された作をただ印刷しただけのような・・・。怪談話に精通した個人編纂ならばまるで違った選考になるんだろうに。この出版社のこの手の本はもう買わん。

「今夜の本!」(8/2020)完

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