505「今夜の本!」(10/2020のベストは?)

11.1.Sun/2020

ガジュ丸評価基準。
5「傑作」4「秀作」3.5「佳作」3「普通作」2「不満作」1「駄作?」
NF=ノンフィクション系 ※=再読作品

★「今夜の本!」

01.「かけおちる」青山文平/文春文庫/4.0
02.「闇のシャイニング」短編集/ハンス=オーケ・リリヤ編/扶桑社文庫/2.0
03.「あの日の僕らにさよなら」平山瑞穂/新潮文庫/4.0
04.「もう終わりにしよう。」イアン・リード/ハヤカワ文庫/1.0

★「寸評!」

情けなや・・・。
新刊本買い漁っていたサラリーマン時代、打率は良かったはず・・・なのに昨今、我が選択眼喪失か、出版社の問題か、8月に続いて今回の新刊も、駄作!

世界最大のスティーブン・キング・ファンサイト[リリヤ・ライブラリー]主宰者が編纂という、[珠玉の(ホラー)12編]謳い文句の、「闇のシャイニング」は、素人編纂者かと(そうだろうけど)思うほど、まったく印象に残らぬ短編揃い。
[こじれ始めたふたりに訪れる驚愕の真実]謳い文句のスリラー「もう終わりにしよう。」は、その内容について読後用サイトが設けられ、二百人近い読者が自分の解釈や疑問を投稿しているという(ヒマ人らめ!)ほどの、冒頭から結末までが?映画化されるというが、ならば[?]は解消?と、はたまた疑問符・・・。
両作ともに「お金返して」とつぶやいてしまった。かつ、これら読む気おこらぬ作品に無為な時間費やしてしまい、10月からの目標[月間10冊読破!]が、最初っから崩壊の憂き目に・・・。

「かけおちる」って、男と女が手に手をとっての「駆け落ち」のこと?と思いつつ手にとった時代小説は、題名通り、妻と姦夫を成敗した過去を持つ藩の(家老、中老に次ぐ)執政が主人公。解説によると、江戸時代の駆け落ちは[欠け落ち]という字で、死をも伴う社会からの欠落を意味したとか。
人望ある執政の妻が、そしてひとり娘もまた申し分のない婿を捨ててなぜかの駆け落ち・・・その理由はもちろん文中で明らかになるのだが、読んでいて、こんなことのできる女がいる?という疑問が終始。が、それについては解説者が知らしめてくれている。続けて読みたい作家さんではある。

「あの日の僕らにさよなら」(旧題「冥王星パーティ」)の作者は初めて知る作家。
高校時代、祥子は友人に男子学生の衛を紹介される。が、彼はダサく、祥子は自分の彼氏だと思われることを「恥ずかしい」と思っている。この二人の、二十八歳までの物語。これまた続けて読みたい作家さんだ。

★「今夜の名言!」

女のほうが概して現実的で、男みたいにセンチメンタルでもなければ未練をぐずぐずともてあそんだりもしないのだ。「女々しい」という言葉は男を形容するためにあるのであって、「女々しい女」というのは実のところ、あまり見たことがない。

(「あの日の僕らにさよなら」での衛の独白。なるほど、そやなぁ・・・と。「あまり見たことが」というより、我輩は見たことないけど)。

★「ガジュ丸賞!」

上記2冊、甲乙つけがたし・・・だけど、「かけおちる」は先の「こんなことのできる女が?相手の男はどうなんねん!」の思い抱かせられたことを無理やりマイナス点とし、平山瑞穂「あの日の僕らにさよなら」に「ガジュ丸賞!」

「今夜の本!」(10/2020)完

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