534「今夜の本!」(9/2021のベストは?)

10.15.水/2021

ガジュ丸評価基準。
5「必読!」 4「オススメ!」 3.5「損なし」 3「普通」 2「不満!」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読 ?=ようワカラン

★「今夜の本!」

01.「完璧な家」B・A・パリス/ハーパーBOOKS/4.0
02.「デフ・ヴォイス」丸山正樹/文春文庫/4.0
03.「輝く夜」短編集/百田尚樹/講談社文庫/3.5
04.「ロゴスの市」乙川優三郎/徳間文庫/3.0
05.「あの日、君は何をした」まさきとしか/小学館文庫/4.0 啓文堂書店文庫大賞
06.「恋狂ひ」宇佐美まこと/ハルキ文庫/4.0
07.「フルハウス」中編集/柳美里/文春文庫/2.0 野間文芸新人賞
08.「ゴールドラッシュ」柳美里/新潮文庫/2.0
09.「輝きの一瞬」短編集/講談社文庫/3.0
10.「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」佐藤青南/祥伝社文庫/4.0

★「断念!本」
「面白くなさそう」と中断した、「断念=残念」本は?

全米べストセラーというアカデミー賞映画監督ギレルモ・デル・トロとチャック・ホーガン共作三部作全6巻のうちの4冊、計400円也をBookoffで入手。
けれど、第一部の2巻が欠けていた。これじゃ読み始められぬ。書店注文か。
と思いきや、地元図書館にて他館からの取り寄せができ・・・空港に着陸した旅客機がなぜか誘導路に停止したまま応答なしの異常事態発生。空港職員が機内に乗り込むと、乗員乗客全員が死んでいた・・・という冒頭部分は読ませる。
けれど、その後がいけない。
テーマは吸血鬼。それはいいんだけど・・・スティーブン・キングの「呪われた町」は現代の吸血鬼を描いた名作だった(半村良の「石の血脈」もだ。小野不由美「屍鬼」は「呪われた町」をなぞったような展開で不満作)。なのに本作は土の入った棺桶などという古色蒼然たる描写などで数ページごとで眠りについてしまっての数日後、断念。
でも買ってしまった4冊が残ってる・・・気を取り直して再挑戦するかも(あ、また取り寄せかよ!)の、「沈黙のエクリプス」上巻でした・・・。

★「ガジュ丸賞!」

好みじゃないかもの作家。

乙川優三郎の現代小説「脊梁山脈」は大佛次郎賞受賞作だったけれど、文中の「木地師」についての長ったらしい講釈にゲンナリした覚えが・・・今回の「ロゴスの市」では同時通訳と翻訳家についてのクドすぎる講釈にウンザリ。著者は時代小説で名を成したというので期待は残るけど・・・。

初めての作家5人。

B・A・パリスの処女作「完璧な家」
ダウン症の妹ミリーと二人暮らしのグレース。
愛する妹の存在で恋が成就することなく過ごしてきた人生。
が、そのグレースに、人が羨むほどにハンサムで優しく、妹をも愛してくれる敏腕弁護士ジャックがプロポーズ・・・。
物語は、グレースとジャックがともに案を出しあって完成した新居「完璧な家」に、ジャックの知人の夫婦を招いての食事会の場面から始まる。完璧な料理とグレースとジャックの完璧な対応。
しかし、そこに微妙な違和感が読みとれ・・・現在と過去の章が交互に描かれ、次第にグレースの恐怖が明らかになっていく、英国で百万部突破のスリラー!

柳美里『JR上野駅公園口』が全米図書賞受賞というので・・・。
とりあえず「フルハウス」「ゴールドラッシュ」を読んでみた。
けれども、ともに登場人物に全く感情移入できずの、我輩には性に合わずの作家。

丸山正樹さんの本。 
「法定の手話通訳士」が副題の丸山正樹「デフ・ボイス」は、「耳が聴こえない両親を持つ、耳が聞こえる主人公。耳が聴こえない人たちを取り巻く状況が濃厚に書かれた人間ドラマ大作」
乙川優三郎の「講釈」に比べ、宇佐美まこと「恋狂ひ」での四国遍路についてとともに手話の世界を、これは「興味深く」知ることもできました。

まさきとしかさんの本。
啓文堂書店文庫大賞ってあるんだ?その受賞作。
で、読んでみた「あの日、君は何をした」
描かれるのは「母親の狂気」!我が妻リ・フジンもきっとこのタイプ・・・。

佐藤青南さんの本。
傑作ホラー「リカ」(五十嵐貴久)を思い起こさせる、異常な女登場の「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」

上記四作は一気読み。
けれども飲酒後の深夜から朝方にかけての読破ゆえかと思いたい、もう内容うろ覚えの四作。
で「あの日、君は何をした」などざっと二度読み。
ウディ・アレンの映画での「最近の映画は面白い。けれど心に残らない」といったセリフに「まさに!」と共感したけれど、本の世界でも?
けれども、時間あれば再読したしというほどの一気読み作品群として、甲乙つけがたしの「デフ・ヴォイス」「あの日、君は何をした」「恋狂ひ」「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」の4作が「ガジュマル賞!」。なぁんか安易だけど・・・。

「今夜の本!」9/2021 完

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