577「今夜の本!」(11〜12/2022のベストは?)

1.2.月/2022

ガジュ丸評価基準。
5「傑作!」 4「読み応えあり!」 3.5「損なし」 3「好みの問題」 2「不満!」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読 ?=ようワカラン

★11月の「今夜の本!」

01.「ヘヴン」川上未映子/講談社文庫/4.0
02.「ダーク・ヴァネッサ 上」K・E・ラッセル/河出文庫/3.0
03.「彼女は頭が悪いから」姫野カオルコ/文春文庫/4.0
04.「禁じられた遊び」清水カルマ/ディスカヴァー文庫/2.0
05.「おまめごとの島」中津日菜子/講談社文庫/4.0
06.「首切り浅右衛門 あるいは憑かれた人々の物語」短編集/柴田錬三郎/講談社文庫/3.5
07.「蟻の兵隊 日本兵2600人山西省残留の真相」NF/池谷薫/新潮文庫/3.5

☆「概要」
(新設です)

壮絶ないじめの中で育まれる中学生男女の友情描いた「へヴン」、今月の期待作「ダーク・ヴァネッサ」、2015年の東大生・東大大学院性5人による強制わいせつ事件がモデルの「彼女は頭が悪いから」、英国怪奇小説の古典「猿の手」想わせる「禁じられた遊び」、瀬戸内の島の人々の人生やり直しをやさしく綴った「おまめごとの島」、綱淵謙錠の傑作「斬」思い起こさせる「首切り浅右衛門」、敗戦後三年半以上も中共軍との戦い強いられた日本軍兵士の知られざる悲劇「蟻の兵隊」

☆「期待作!」
(我が選択眼問うこのコーナー、長らく忘れてましての再開第一弾は?)

「スティーブン・キング 震撼!」「世界32カ国で刊行!」「'ニューヨーク・タイムズ' 'サンデー・タイムズ'ベストセラー」がウリ文句の「ダーク・ヴァネッサ」
キング云々の宣伝文句は経験上もう信じられぬがの本書は「15歳の私が恋人だった先生は、17年後、性的虐待で告発された」というもの。このうんざりさせるテーマだけなら手になどせぬが、つづく「ラブストーリーのなかにいると信じていた少女が、実はサイコホラーのなかにいた」ゆえ手に。
同年代の少年に興味持てず、42歳もの男に恋する自業自得のバカ少女(?)描写の上巻にやはりうんざりだったけれど、未購入の下巻で期待のホラー的展開あるやナシや?同じくうんざりかと思った「彼女は頭が悪いから」、これはまったくの’別物’だった・・・。

☆「ガジュ丸賞!」

「驚異の4万部突破!」「《リング》著者 鈴木光司氏推薦」「本のサナギ賞大賞作」なんてウリ文句目にすると手にするではないか?の「禁じられた遊び」。連想した英国の怪奇短編「猿の手」は、年老いた夫婦が3つの願いが叶えられるという猿のミイラの手を入手。死んだ息子にもう一度会いたいと願うと・・・の忘れられない結末だったが、本書はその長編版の、ようなもの。
でも、リアル感欠ける描写少なからずの、これでこれらの讃辞かよ?と大いに疑問の一冊。

この史実は知らなかった。
上層部の命令により敗戦後も中国に残留。そして共産軍と戦い続け550人余りもの戦死者を出しての復員後、日本政府はこの件が明らかになるとポツダム宣言違反を認めることとなるゆえ彼らを逃亡兵扱い。戦後補償もなしという実態描いた「蟻の兵隊 日本兵2600人山西省残留の真相」だ。
補償求めた裁判の最終結果、先に逃げ帰った上層部将校のその後、未見の本書のドキュメンタリー映画、南方の残留日本兵への補償は?などなど知りたき点多々残り、かつ当時の軍命令書など資料読みづらき点でのマイナス評価。

で、「ガジュ丸賞!」は、姫野カオルコ「彼女は頭が悪いから」!
(この辺りでキィ打つ気力喪失。で、以下簡略。新年より気力一新、しますさせます・・・)

★12月の「今夜の本!」

01.「色ざんげ」宇野千代/岩波文庫/4.0
02.「ダーク・ヴァネッサ 下」K・E・ラッセル/河出文庫/2.0
03.「地底魚」曽根圭介/講談社文庫/3.5 江戸川乱歩賞
04.「慕情の旅」短編集/芝木好子/集英社文庫/4.0
05.「世界から猫が消えたなら」川村元気/講談社文庫/1.0 本屋大賞ノミネート
06.「嘘ばっかり」短編集/ジェフリー・アーチャー/新潮文庫/4.0
07.「夏樹静子のゴールデン12」短編集/夏樹静子/文春文庫/3.5
08.「東京バンドワゴン」小路幸也/集英社文庫/3.0

☆「断念!本」
「面白くなさそう」と中断した、「断念=残念」本は?

「六枚のとんかつ」短編集/蘇部健一/講談社文庫

☆「ガジュ丸賞!」

宇野千代「色ざんげ」!

「今夜の本!」(11〜12/2022のベストは?)完

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