587「今夜の本!」(1/2024 復活版!)

2.19.月/2024

ガジュ丸評価基準。
従来の「読んで損なし 3.5」は廃止。

5「傑作!?」 4「読み応えあり!」 3「普通」 2「不満!」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション系 ※=再読 ?=ようワカラン

注:「傑作!?」「駄作?」の「?」にご留意を。独断と偏見による評価であります/「普通」のみ+−評価あり。

01.「深層地下4階」デヴィッド・コープ/ハーパーbooks/3.0 
02.「いま、君にさよならを告げる」S・D・ロバートソン/ハーパーbooks/3.0
03.「絞め殺しの樹」 河崎秋子/小学館/5.0 直木賞候補
04.「迷宮の女」短編集/松田美智子/光文社文庫/3.0
05.「怖い女の話」短編集/柴田哲孝/双葉文庫/3.0
06.「仮想儀礼(上)」篠田節子/新潮社/4.0

内容想像できぬ印象的な題名で手にした「深層地下4階」。
その物語とは、宇宙から地球への落下物に人類にとってバイオハザード的な「真菌」が付着していることが判明。アメリカ国防省のとある極秘施設の地下深くに厳重保管される。そしての40年後、広大なレンタル倉庫の夜勤従業員が壁の中からの警告音のようなブザーの音に気づき・・・作者は「ジェラシック・パーク」や「ミッション・インポッシブル」「スパイダーマン」など大作映画の脚本で有名な方らしく、本作で小説デビューとか。が、危険極まりない生物の保管施設の土地そのままがレンタル倉庫会社に払い下げられてという設定が、「ありえる?」。脚本に専念してりゃよかったのに?

「いま、君にさよならを告げる」は、6歳の娘を残し急死したシングルファーザーの主人公が、娘が気がかりなあまり成仏せず娘にコンタクトしようとする(「必死に」って表現はこの場合おかしいかもで割愛)・・・ってのは映画でよく観る設定でウンザリ。が、その行動が現世の人にとって良いことか否かを主人公が気づかされてゆく終盤は新鮮。で、結論。ハーパーbooks本ってもうひとつ?

「絞め殺しの樹」読了翌日、朝刊で作者の「ともぐい」が直木賞受賞と知る(ともにホラーっぽい題名だけど内容は別物)。で、さすがとあらためて思わされた本作は、昭和10年、孤児の少女が極寒の北海道根室の縁ある旧家に奉公人として引き取られるところから始まる。そこで日々酷使されることとなる10歳の少女の過酷な境遇は、我輩が中学生時に小説で初めて涙した三浦綾子さんの「氷点」ヒロイン連想。また、文中(気にも留めなかった)数々の出来事が終盤次々とパズルのピースがはまるがごとく明かされてゆく展開にも拍手!

※70年代出版の「続・氷点」、当時買ったというのにいまだ読んでいないことに気づいた!「氷点」ブームの60年代、テレビドラマも映画版も観たけれど、ドラマの主人公役内藤洋子はセリフ棒読み役者でヒロイン役として幻滅。映画版のファンだった安田道代さんはファンレターに返事も下さった方。

「迷宮の女」「怖い女の話」は、ともに悪女を描いて三面記事的読みやすさ。
なかでも、ノンフィクション作家でもある松田美智子「迷宮の女」7篇は実際の事件がベースらしく各篇興味そそられるものの、光文社文庫は作者紹介も解説もなく、その事件って?の読後感がもどかしい。

書店で見かけるとつい買ってしまう作家の本がある。
その現代女性作家は、角田光代、窪美澄そしての篠田節子さん。その彼女の「仮想儀礼」は上下巻の大作。生活に困窮した二人の男が一発逆転をと新興宗教を立ち上げてのお話。その過程がリアル。で、根っからの悪党ではないこの二人の末路が気になる展開の上巻今回読了(本作は図書館本。で、古書店で文庫版上下巻発見購入!評価4以上の作品は蔵書にしてしまいたいのだ)。

パソコン不調のこの半年、紹介できずの「今夜の本!」総数49冊。
で今回、それら評価点数だけでも記そうと思いきや、物語内容ほとんど覚えていず(その程度のブツに半年費やしていたのかと愕然・・・)。

そのブツの山のなかで目に留まったのが、毎日新聞出版のノンフィクション「ある行旅死亡人の物語」。
2020年4月。兵庫県尼崎市のボロアパートで女性が孤独死。3400万円もの大金残して。で、記者たちは身元不明人の彼女の人生を取材。すると、なぜか労災申請せぬままの右手指全損工場事故、目撃者による生前身長150センチ余りのはずが死体は130センチ余り。さらに北朝鮮のスパイ?グリコ森永事件の関係者?等々の疑惑。で、いくつかの謎は解明されるも不明点残しての「終」は仕方ないとしても、後味わるしで評価「3」。

もう一冊が、久方ぶりのジェフリー・ディーヴァー本!
デビュー当時の「ボーン・コレクター」「悪魔の涙」は傑作。が、続いて手にした「コフィン・ダンサー」「石の猿」「追撃の森」が前2作に及ばなかったゆえ、いつしか遠ざかってしまっていた作家。が、売り文句「異論は認めません。史上最強の短編集」との「クリスマス・プレゼント」(16篇/文春文庫)で、ディーヴァー本読破意欲が復活!評価「4」。

「今夜の本!」(1/2024)

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