7「韓国映画とカレーライス」

04年8月

★ドラマ

我が妻タヌコが韓国ドラマにはまっている。

職場の作業で腱鞘炎わずらい、1ヶ月近く休業するに際し同僚が「お見舞い」と、ゴソッとその系レンタルビデオを手渡したのがきっかけ。
以後連日連夜、韓国語がバックミュージックのごとくTVから流れ続け、おかげで我輩は『観なきゃもったいない』、タヌコは『コレ、絶対泣けるから!』と自選他選で鑑賞の日々なわけ。で、日に3〜4本は観てしまう勘定(睡眠3時間ってザラになってしまった)。

タヌコ側はヒマにまかせて次第にエスカレート。
近所のレンタルショップ借り尽くし、ギブスはめた手で遠く10数キロ離れたショップまで。
さらに、90分程度の映画作品ではもの足らぬと、軽く20時間は超えるTVドラマシリーズがターゲットに。さらに、さらにビデオは見尽したと、DVDプレーヤーまで買い込んで・・・。

そしてこうして観おわっても、「手放すのはイヤ」と返却期限ぎりぎりまで手元に置き、気に入ったセリフ韓国語で覚え「家では今後、日本語禁止」とまでいい始め・・・さらに言い出すンではと危惧したのもつかの間、タヌコいわく、「韓国、いこ!?」
これは韓国KCIAの陰謀かとさえ思えてくる。平和ボケした無知な日本人中年主婦層ターゲットにしての・・・。

★ドラマ作品

そのドラマ系では今のところ『愛の群像』ってのがベスト1らしく、他作品に比べていまひとつと『冬ソナ』は第3位。
『冬ソナ』は我輩にNHKのそれを毎回録画させておいて、その20何日間の録画作業はなんだったのか「日本語吹き替え版なんてイヤ」と、知らぬまにレンタルビデオの字幕スーパー版でタヌコ、全編観終わっていた(幸か不幸か、我輩は両方とも見てはいない)。

ちなみにベスト2は、産院での乳児取り違えから始まるせつない恋物語『秋の童話 オータム・イン・マイ・ハート』
18時間ドラマのこれには我輩もはまり、以前このページで少し触れたけれど、第1部3時間分の少年少女時代編だけは観られることを重ねてオススメ。2部以降は、まぁ、想像範囲内。韓国特有のワンパターンドラマ展開、か。
かつて日本のTVの昼メロ『永遠の1/2』も取り違えテーマの作品で、面白そうと録画し続けていたが、見らぬままそれらビデオテープ、埋没してしまってた。原案はそれではないか?

★映画では

そういえば、墨丸オススメの韓国映画『猟奇的な彼女』(評価5/5)も、日本映画のパクリ的な場面が。

1992年の篠田和幸第1回監督作品『薄れゆく記憶の中で』の一場面。
丘の上の一本の木の下に手紙を埋め、数年後に木の下で再会して一緒に読もうと恋人未満の二人が約束するシーン。そこに至る状況、ロケ地風景、数年後の結果までそっくりだった。

この作品、菊池麻衣子、堀真樹主演の秀作だ。
岐阜の長良川周辺を舞台にした田舎の高校生のせつない初恋悲劇で、ラストの「カズちゃん!」と、声かけられる場面でグッとくる。もう一度観てみたい。4/5

言えるのは、韓国映画は日本語吹き替え版より韓国語版だということ。
吹き替えは、洋画向き声優の声も口の動きも不自然だ。
なお、我輩ベスト韓国映画は今のところ、クアク・ジョエン監督『猟奇的な彼女』が笑いと涙で1位。損な邦題かもだけど原題は「飛んでる彼女」という意味らしい。
続いては、韓流映画の原点。クォリティの高い、悲劇の北朝鮮スパイ映画、カン・ジェギュ監督『シュリ』4/5
そして、『猟奇的』の監督作『ラブストーリー』。ストーカー的展開もあるけれど、考えてみれば我輩らの時代、これが純愛というものだった・・・。この映画、後半の列車場面で、必ず泣ける。4/5
※この作品は墨丸のお客さんに薦められた。「列車のシーンで絶対なくから」と。ホントだった。

現実の色恋の限界知る我輩、タヌコとはドラマの好みが少々ずれ、たとえば好きな作品は・・・。
水辺に建つ美しい一軒家、イルマーレと名づけられたその家に男が引っ越してきたある日、ポストに日付が2年先という奇妙な手紙が・・・。
こうして未来にいる女性との文通から始まるファンタジィ作品『イルマーレ』
男は男の生きる時代の彼女に会おうとするけれど、女はもちろん2年後に文通を始めることになる男のことなど知るはずもなく・・・。果たして二人は時空を越えて会えるのか?

月食の夜、無線機で偶然会話を始めた男女の大学生。
同じ大学と分かり大学の時計台下で会おうと約束。が男は現れない、そして女も。なぜか二人は会うことが出来なかった・・・そう、男は2000年に、女は1979年に生きていたのだ。
無線を通じ、21年の時を超えて二人は理解を深めていくのだが、ある日、女は自分の未来を知ってしまう・・・という、これもファンタステック・ラブストーリーの『リメンバー・ミー』
この作品、山川直人監督、吹石一恵主演で日本でリメイク。邦題『時の香り』。観ていないけど予告編ではセリフまで一緒だった。楽やよなぁ、こんなつくり方。
これら作品が心に残り、評価ともに4/5

もしかしたら、と思わせてくれるこの手の作品での我輩好みの小説では、43歳で死に、その過去の記憶を持ったまま18歳に生まれ変わってしまう男の物語、ケン・グリムウッドの『リプレイ』だ。
前世で妻だった女性と再び結ばれたいと彼女に近づくのだが、これがうまくいかず。「人生、もう一度やりなおせたら」という人類不変の願望の落とし穴、巧妙に描いてホロリ。5/5

自分の不注意から女の一生狂わせ、その悔恨を引きずり続けている中年男がいる。ある日、つけたはずのタバコの火が消えていることに気づき、男は知る。タバコの火をつける寸前までタイムスリップしていたことを。
こうして男は少しづつ過去へと戻る訓練をかさね、ついにあの運命の分かれ道に達するのだが・・・という佐藤正午『Y』。5/5

夜空がオーロラに彩られたある夜、主人公が中古の無線機で交信した相手は幼い頃に死んだ父だった、というこれはサスペンス要素も織り込んだデニス・クエイド主演のファンタジー米映画『オーロラの彼方へ』4/5

★効用

さて最後に、せつない韓国映画等の効用について。
タヌコ、笑顔の持続時間、更新中(驚異か。エサさえ充分与えておけば、だ)。

★「今夜の映画!」

ベルリン映画祭監督賞受賞のキム・ギドク監督『悪い男』は、、「ヤクザが女子大生を売春宿に売り飛ばす、最悪の純愛」」といわれる韓国映画。それが「最低の変態」に思え、2/5
チェーンソーで若者を切り裂く『テキサス・チェーンソー』は、トビー・フーパー監督の傑作『悪魔のいけにえ』のエグさだけを強調したような展開。
3/5
スピード感あるゾンビ映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』は、ゾンビが走れようが走れまいが、咬まれる確率一緒(のように思える)なら遅い方が怖い?3/5
一人の女が村を消滅させる、ニコール・キッドマン主演『ドックヴィル』は、冒頭、書き割りのような村の描き方にアゼン、展開にアクビ。後半、身を乗り出した人間の醜さ、愚かさ。が、3時間は長すぎて3/5

★見知らぬ街で

旭区の芸術創造館にて、くじら企画の演劇『サラサーテの盤』を鑑賞。

鑑賞前、墨丸会員342号の情報をもとにカレー好きの墨丸、阿倍野筋のカレー店「ハイシ」へ。
ムムッ、店前を通り過ぎて分かった。
休みではないか!このクソ暑いなか、テクテク歩いてさがしまくったのに。
こんな時、一日中悪運がつきまといそうな予感におそわれる、経験上。
で、ラ・セレナ地下の「サンマルコ」にてビーフカレーの昼食。

そして、地下鉄谷町線千林大宮駅下車。
人生半世紀、この町に初めて降り立った。こんな駅名も初めて知った。
地上に出て会場はどちらかと見回すと、右に「雑誌テレビで紹介の名物カレー」との看板の洋食屋「ダイヤ」があった。そして左にはカレー専門店「印度屋」が。う〜ん、食後1時間もたっていない・・・。
後ろ髪惹かれる思いで劇場へととぼとぼ歩き出すと、「タージン絶賛カレーうどん!」と書かれた張り紙の大衆食堂「みよし屋」が・・・。
なんちゅうええ町やねん、我が墨丸のある長居にはそんな店なんてなぁ〜んもないのに・・・。

★そしてのサラサーテだけど・・・

さて『サラサーテ』
福岡の少年バスジャック事件題材の『さなぎの教室』上演予定が脚本間に合わず、急遽この演目に変更とか。
この舞台には墨丸会員701号と共に、墨丸のお客さんお二人が出演。
1時間半近くの暗闇の劇場内で脳裏に浮かぶのは、たぶん二度と降り立つことのないこの町の、カレー屋のこと・・・。おそるべし、カレー。ごめんなさい、会員701号。

上演後、まだ夕食には早すぎるけど1時間半もの熟考の結果「ダイヤ」へ直行。
常々、カツとか白身魚フライ乗せたカレーなんてのには見向きもしない我輩、はたまたここでもビーフカレー。
ウ〜ム、うまくともクセになるカレーとそうでないカレーがあるのだが、これは後者、だろう。だろう、というのは昼食から間がないことによる。たぶん。

クセになるカレーとしては今のところ「インデアンカレー」のみ。
が、これは人それぞれの好みか。
「COCO壱番」の三辛がベストという人が周囲に二人もいて、でもそれは我輩の食感では塩辛いだけだったけど。名作韓国映画『猟奇的な彼女』だって10人中2人が「ふつ〜う」との評価だったし・・・。

あとは阪神名店街付近にあるらしいカレー店「ミンガス」と、先述の「ハイシ」が、韓国映画では未見の「ブラザーフッド」が、待っていてくれる明るい未来の8月であった・・・。

お詫び:7月、墨丸カレー再開と告知していましたが、満足できるカレー作れず、急遽延期。お客さんに「お昼のカレーは?」と今でも聞かれますので、紙面(?)をかりてお詫び申し上げます。ごめんなさい。

★「今夜の名言!」

映画『ファーストフード ファーストレディ』より。
ただしこの映画のこと、夢うつつでみてしまいなぁ〜んにも覚えていない。寝ぼけマナコで書きなぐったメモようやく判読して下記三点。

「いつまで歩かせるつもり?家まであと5日とか?」
(男の部屋に向かいながらの女のセリフ。こういうジョークの言える女性ってなかなかいない)

「飲みながら結婚はできるけど、飲みながら離婚はできないぞ」
(なんとなく、納得)

「オレンジジュース2杯?ウオツカを入れれば飲めるな」
(納得)

次は、映画『スクリーム』より。

「人生は一本の映画。ジャンルはわからないけどね」

「韓国映画とカレーライス」完

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