127「続・偶然の夜」

2.27.fri./2009

★再び、半世紀

前回「偶然の夜」掲載後に思い出した。
接客業してると嬉しいことに、かつて住んだことのある各地の人々にめぐり合える。今回はその中での「偶然」のひとこま。題して「続・偶然の夜」

いつも一人で来店され、バーボンのロック数杯飲まれる中年男性。
ある夜、カウンター越しの会話のなか、かすかに和歌山南紀独特の訛りが・・・。
「お客さんのご出身、和歌山南紀とちがいます?」
「そうや、ようわかるねんなぁ。田辺生まれや」
「わたしもいましてん」
「え、学校は?」
「明洋中学です」
「え〜、わしもや!」
で、我輩と年齢も一緒。当時の彼の住まいも近所。

でも彼(N氏としておこう)の存在が、そしてN氏にしても我輩の存在を覚えていないのは、我輩が中学3年生時に転校生として転入したと同時期、N氏は大阪に転校していたと判明(こういう場合、当時仲の悪かった人間との再会でなくってよかった、といつも思う)。

と、ここまではまぁ、ありうることか。
N氏の、中学の誰それ知ってる?の問いに、聞き覚えのある名がいくつか。
でももう半世紀近くも昔のこと。顔と名前なかなか一致せず。
で、我輩の中学時代の親友Tクンの名を出すと、「えぇ!わしの従兄弟や!」

Tクンは、我輩が明洋中学転入したときからの友人で、彼も前回記したサカモトのモリちゃんらと同じ高校の演劇部員。いまは地元で建築事務所を営んでいる。
・・・南紀田辺市とこの住吉はひとつのリングでつながってるようで、なんか、こわ〜。

「続・偶然の夜」完

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