128「サラ・ウォーターズはいい!」

3.2.mon./2009

★SARAH WATERS

朝方眠りにつき、はや午前七時頃にふと目覚め、「あ〜、9時からのスーパー温泉にでも行って寝なおすかぁ」と(スーパー温泉は以前記した、堺の「さらさの湯」。あれ以来、ぬるい、ぬるい、と思いつつも、早くからオープンなのでたびたび利用)開くまでの時間つぶしにと、久しぶりに文庫本を手に取って・・・読むのが止まらなくなった。

以前紹介した、英国女流作家サラ・ウォーターズの傑作「半身」の次作、「荊(いばら)の城」上下巻(創元推理文庫)だ。

物語の舞台は、前作同様19世紀のヴィクトリア朝ロンドン。
貧民街の故買屋一家に詐欺師の通称「紳士」が儲け話をもちかけてくる。
辺鄙な地に建つ城館に住む娘をたぶらかして結婚し、そのあと精神病院に放り込み財産をごっそりいただこうというのだ。
その手助けのため、一家の少女スウはその娘モードの侍女として城にもぐりこむ・・・が、純真で世間知らずのモードに仕えるうち、スウはそしてモードも互いに心を通わせ始め・・・。

前作が、あとがきにあったように「この小説はどこに連れ去ってくれるのだろう?」と、驚愕のラストまで多少イライラさせられたのは正直な感想。
が、今回の作品は上巻の中盤でもう、「えぇ〜!」っと驚愕。かつスピーディ。
「半身」を読破していたなら分かりそうな(いや、これはワカランか)その展開に、あと半分のページと下巻にはどんな物語が詰まってんだろ?とドキドキ。

おかげで午後の3時過ぎまで本書手放せず、2時間ほど寝たあと近所の銭湯に行くのももどかしく、ラストまで読みふけった。こんな面白本に月に1冊は巡り会いたい。
サマセット・モーム賞受賞作の前作につづき、本書も英国推理作家協会賞受賞の、オススメの1冊。評価5/5。

3.3.tue.

★氷点・・・

10代の頃、涙なくして読めなかった60年代の名作「氷点」(安田道代主演の大映映画も、内藤洋子のテレビドラマもみた)の作者、三浦綾子さんの70年代のベストセラー「石の森」を読む。
最近、集英社が昔のベストセラーを年代別に文庫本で再販してい、未読の本書を以前から探していたのだ。

物語は、19歳の女子短大生の、いってみれば自立の物語。
そうか、我輩らの青春時代はこんなにも純真だったんだ、いや単純だったのか。と思うと共に、ストーリーの流れさえ簡単に予測できてしまう古めかしさまぬがれずで、評価3/5。

「サラ・ウォーターズはいい!」完

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