150「さらば、夏の日」

8.16.sun./2009

★夜会

8月9日(日)、「ゆかた夜会」開催。
ゆかた(のようなモノふくむ)着用の方、ドリンク10%オフの夜会です。
実行者11名(♂5名。♀6名 )
墨丸会員541号てら吉クンのゆかた姿は、「博多のゲイバーのマスター」的(てら吉ちゃん、水上勉の「男色・女色」を読みたまえ)。

去りゆく夏惜しみつつ、今月30日(日)、第二夜を開催。
どなたでも参加可。ゆかた姿でなくってもおいでくださいな。

★臨海学校

8月16日(日)、創業以来初めての墨丸版「臨海学校」開催。
毎年「やろうやぁ」と言いつつ言われつつ、創業以来17年間、なぜか実行されなかった「臨海or林間学校」。その「臨海」版をささやかながらようやく実施。

参加者は、墨丸会員495号マサミ嬢、734号チャン氏と我輩の、たった三人だったけど・・。
行き先は、和歌山日高町の産湯海水浴場。
名づけて「クラゲと闘おう臨海学校!」なのに、闘う相手は幸い、ゼロ。

我輩がサラリーマン時代の海水浴は大阪から白浜まで車での遠征が常。
ある年、国道沿いの小さな看板「産湯海水浴場右折」見かけてたどり着いたのが当地。穴場でした。
20年近く来ていなかったのに、白浜に劣らぬ遠浅かつ周りに民家も少なく水もきれいなまま。
そして当地の日高は河豚より旨いといわれるクエ料理の町。
近くには石灰岩の岩山連なる「日本のエーゲ海」といわれる、白崎海岸も。

で、30数歳のチャン氏、なんと海水浴は初めてとか。
「ボク、浜で寝てますから」と言ってたのに、いちばんよく泳いでいたチャン氏「海水浴って意外といいですねぇ。来年も!」

帰りは海辺のスーパー温泉「みちしおの湯」でさっぱりし、大阪着午後6時。
我輩、前夜4時過ぎまで仕事で8時起床ゆえ、杉本町「いわし亭」にて夕食中のビール飲むと仕事する気なくなり、でもマサミ嬢「私がカウンターに入りますから」ってんで、9時にオープン。
で、こんな夜に限ってお客サンが次々と・・・。

★「今夜の本!」

誉田哲也「ストロベリーナイト」(光文社文庫)、「ジウ」(全三巻。中公文庫)読了。

共に警察小説。
ストーリーは、基本通り「個性あふるる刑事達による捜査活動」
が、特異なのは両作品とも、強烈なトラウマを負ったというより、悲惨極まりない出来事を境に人格が崩壊したかのような犯人を追いつめるという点。
また共に、女性刑事が主人公。
「ジウ」などは単なる児童誘拐事件を発端に、次第に巨大な闇の陰謀が浮かび上がるという壮大なストーリー。

警察小説の名作、大沢在昌「新宿鮫」や逢坂剛「百舌の叫ぶ夜」の興奮には及ばぬものの、その犯人像の異色さは永く記憶に残るのでは?
「及ばぬものの」というのは、以前紹介した西村健の日本冒険小説協会賞受賞作がシリアスな展開で始まり、「この作者、いいじゃん!」と思いきや、荒唐無稽な終盤になだれ込み・・・で、以後彼の作品に興味を失ったわけで。「ジウ」ラストにもその気少々あり。作者が共に60年代生まれというせいもあるのか、その劇画タッチさが気になるのだ。
でも西村作品に反し、誉田さんの他作品読みたしの感。評価4/5。

加藤廣「信長の棺」(文春文庫)は、久々に「大人の本」の感。
「消えた信長の遺骸、秀吉の中国大返し、桶狭間山の秘策etc.すべての謎が解ける」が帯のコピー。
この「すべての謎が・・・」で、もうゾクゾク。
安土城終焉後、信長唯一の伝記「信長公記」を記す大田牛一が、それらの謎を解き明かすことに残る人生を捧げるという展開。

う〜む、この作者の力量って?・・・と解説読むと作者75歳の処女作。
本能寺の焼け跡から信長、森蘭丸、その他数名の遺骸が発見されなかったことは史実らしいが(「生存説」「爆破粉砕説」等あるようで)、結論として「うん?この解明話はどこかで読んだ覚えが・・・」で、4/5どまり。
でも、著者の「本能寺三部作」残る二作品、ぜひ読みたし。

さて「今夜の本!」とは直接関係なしだけど、wowowで久しぶりに堪能した映画二作品の原作を、「読みたい!」なんて思ったのも久しぶり。

一本は、「母親と暮らすナイーブな青年が、謎めいた女性と出会い恋に陥る。が、彼女は「愛の証明」として正気とは思えない条件を彼に突きつけ・・・。ヌーベルバーグの現役監督G・シャブロが抑制の効いた演出で、狂気の世界へと誘う戦慄のラブサスペンスという、「石の微笑」
みながら、ヒッチコックの名作サスペンス「見知らぬ乗客」(原作はパトリシア・ハイスミス。名作「太陽がいっぱい」の作者)を思い出した。列車で偶然同席となった見知らぬ男からお互いの妻の交換殺人を持ちかけられ、ってのを。
「石の微笑」原作が20年近くも前に愛読した女流作家ルース・レンデル作と知り、映画では分かりにくかったあの点、原作で知りたいと・・・(魔性の女役のローラ・スメットの魅力にとりつかれたのかも)。でもレンデル作品なんて最近書店で見ないから難しいかな。

もう一本は、東野圭吾原作の「容疑者Xの献身」
昔たまたまみたテレビドラマが「おもろいなぁ!」と、その原作が東野さん。で、彼の著作読破をと思いつつ機会逃しつづけ、「映画みれば読まねばならぬ本、少なくなっていいじゃん」と映画版を観る。

あにはからんや、原作に書き込まれているであろう細部の描写知りたくなっての欲求が芽生えてしまった・・・。
目下の期待はあの「ラスト」の衝撃再び?です。

「さらば、夏の日」完

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