174「風俗とニラ玉」

4.1.thu./2010

★山田さん

ようやく読了。
山田太一さんの処女作「岸辺のアルバム」を。

1977年に放映された同名連続ドラマは「名作中の名作」とかで、「岸辺のアルバム」以前以後とまでいわれるホームドラマの革命的作品だったそうな。
どこにでもいそうな普通の家族の抱える問題を発端に、家族が崩壊を迎えたとき多摩川が氾濫。マイホームが流出してしまう。それをきっかけに家族が再生する内容で、杉浦直樹、八千草薫、中田喜子、国広富之がその四人家族を演じていた。

小林桂樹(脳腫瘍で人格が変わってしまう一家の大黒柱役)の「それぞれの秋」、鶴田浩二(特攻隊生き残りの警備会社上司役。戦中世代の彼のセリフがイイ)の「男たちの旅路」、そしての「ふぞろいの林檎たち」と我輩、山田さん脚本の名作ドラマ、そして数々の小説のファン。が、本作のみ未見。

で、せめて原作本でもと。
でもあるんだろうか?と探し、手に入れたのはそのシナリオ本。
けれどシナリオなんて無味乾燥そうで目を通す気にもならず今に至っていた。
それが先日、古本屋で(これもシナリオかと思いきや)原作本ついに発見。06年に光文社文庫から刊行されていた。
それ以前では77年に単行本が、82年には角川で文庫本化されていたというが、今回30年以上を経て入手となった次第。
あまり興味をひかぬかもしれぬ内容ながら、それでも読ませる「山田節」の本書をあなたも読んでみません?久しぶりの、評価はおまけの、5/5。

★「今夜の名言!」@

「人間は多分どんなときにだって笑うのだろう。笑ったからといって機嫌がいいとは限らない」
 「岸辺のアルバム」より

十数年ぶり来店のカップル(墨丸1号店で出会った今回同伴の男性と結婚したとのこと!)
「ここに移転してるって知らんかったわぁ。また来るわな!」「はよ来てくれな、店つぶれてしまいますよ」「大丈夫、大丈夫、その笑顔はつぶれるような雰囲気とちゃうちゃう」
・・・前述名言の状況なんだけど。

4.7.wed.

★風俗

コンビニでつい買ってしまったのが「やってみたら、こうだった」。副題「風俗体験ルポ」って本。

風俗ってあまり縁がない。
我輩とソリの合わぬある男性客「風俗行かん男なんかおるかいな!」というが、我輩の親しい知人らは誰も行かぬ。まさに、類は友を呼ぶ、か。

二十歳の頃、店頭販売で我輩バナナを扱っていたスーパーの、肉屋のあんちゃんがトルコ風呂に連れてってくれたけれど、当時は本式のトルコ風呂に首だけ出して汗だくになっただけ。今思えば交渉すれば何かあったのかもしれないが、そんな雰囲気なんてまるでなかったような気も・・・。
当時このスーパーではなぜか年上の男性に可愛がられ、肉屋のあんちゃんふくめた三人にそれぞれ休みの日に連れまわされ、なぜか「あいつとはつきあうな」とそれぞれに言い含められ・・・う〜ん、我輩ホモではないんだけど。たぶん。

二十歳を過ぎてのサラリーマン時代の東京出張の際、他社のサラリーマンだった愚弟も出張で現地で一緒になり「にいちゃん、ええとこいこか?」と連れて行かれたのが当時流行りだした「のぞき喫茶」(インターネットなんてない時代、あいつどこで調べたんやろ?)
後日また愚弟が大阪の地元で「にいちゃん、ええとこいこか?」が「ピンサロ」
ともに一度きりの初体験なれど、なんでこんな若い子がこんなとこで働いとんねん、との違和感のみ。
高校時代の友人と再会した際「大阪で最近評判やねんど、知らんのか?」と和歌山からきた彼に連れて行かれたのが阿倍野筋の、初代「ノーパン喫茶」
周りの男たちが食い入るように見つめるエプロンだけの女たちを眺めるよりも、まわりの男どものようなすけべぇ顔を自分もかと思うと自尊心芽生え、バカ高いコーヒーの金額の方が気になって仕方がなかった覚えあり。

が、この仕事をしていて、風俗関係者が男(経営者)でも女(風俗嬢)でも「マスターやったらサービスするで!」といわれ、鼻の下なが〜くして「ほんま?えへへ、場所どこ、場所どこ?」となるんだけれど、その瞬間過ぎると店名忘れ去り・・・。

ただ我輩、女性とは「情」を要するタイプというだけであって、一般的な風俗ファンを(愚弟ふくめ)見下げるつもりはありませぬ(愚弟という言い方はもう見下げてる?でも幼児ポルノ愛好者のような鬼畜は別)。

ただ世に氾濫する風俗関係の、ポストに入れられるデリバリーヘルスのチラシ美女の、AVビデオの扇情的な通販チラシの、それらの実態は?というのには多大な興味あり・・・。
で、この「風俗」の世界に一介の客として潜入取材してみたらどうなったか(取材費使い放題!)という、興味深〜い内容のが本書。週刊フライディに2000年前後に連載された記事を文庫化したという宝島社刊、本橋信宏著。

通読して判明した点をご紹介(風俗ファンには自明の理かもですけど)。
・超高級デリバリー風俗のぞき、美女は5%にも満たない(ま、道を歩いてても「美女」なんてモノにはなかなかお目にかかれぬゆえ当たり前か。でも「本物のスチュワーデス」は実際に風俗界にいて、「美形の女というのは、この手の風俗業でたいてい愛想がない。冷たい」らしい。
本書に登場する女性はなぜか「太め」が多く、読む限りでは同衾など考えられぬタイプ多しとか(道で出会う95%の女性がそうだもん。10m以内にも近寄りたくないもの)。

ならば風俗店で見せられる写真に美女がなぜ多いかというと、これは「振り替え」といい、1回4万円で写真だけ撮らせるバイト女性たちが別にいるという。もちろんその美女を指名しても一生めぐり合えないわけで・・・。
う〜ん、あのポスティングのチラシ美女たちも幻影なのか!

・マンションに投げ込まれる裏ビデオチラシの99%は詐欺。
「某テレビ局女史アナ・マル秘盗撮」と銘打った裏ビデオを2万円で買ったら「おはよう!ナイスディ」がそのまま映っていた、って話には「なるほど!」。で、買った本人が有名AV監督ってんで、本職さえだまされるんや・・・ということは被害者はかなりいるわけだ。

・被害者が多いと思われるもう一点が、通販グッズ。
著者購入のすべてのピンク系グッズが、高価な「ゴミ」
たとえば、「全米マスコミ界騒然!つけた瞬間モテまくり!努力なしに願望を次々達成!」なるアクセサリーの「トルマリン」や「機械神ギーガ・ギス弐号」を申し込むと、「1ヶ月待ち」とか「受話器の向こう側でひっきりなしに電話のかかる音と応対に追われるおばさんたちの声が漏れてくる」ほど人気があるのに、各実験(わざわざ)の結果、効果ゼロ。

★「今夜の名言!」A

「風俗体験ルポ」著者のあとがきが印象に残った。いわく・・・
「男たちの思い描く女の性モラル、というのは、いつの時代でも大甘、理想的過ぎるきらいがある。女たちは男が思い描く以上にたくましい。汚れもOKなのである。もうひとつ、彼女たちは堕ちてゆく快感、ともいうべき、落下的な快楽が男よりも備わっているのではないか」

アダムとイブの時代からそうなんや・・・。
本書読んでると、男ってなんと女性に翻弄される可哀そうな動物なんやろと、落涙しそうに。評価3/5。
もっと面白おかしく書けるやろ!・・・いや、つい滑稽な男達の姿を思い浮かべて。これは面白本でなくルポルタージュなのだったわ。
注;本書表紙も結構扇情的です。

4.8.thu.

★ニラ玉

産経新聞の料理コーナーで「うまそうな」レシピ発見。
「ニラ玉」です。

毎回の自炊が、一合の米炊いての焼魚あるいは豚ステーキかモヤシ炒めの繰り返し(モヤシ炒めに使う市販の調味料は、濃いめのダイショーのタレより日本食研の「もやし炒めの素」のほうが好み)。野菜不足かもとファンケルのマルチビタミン一錠加えての日常。

これらも営業終了後の夜食のことで、昼食はたいていナシ。
夕食はオープン準備で落ち着かず、在庫のパスタやカレーで手早く済ますか、外食。
が、我孫子周辺店舗はもう飽きたし旨い店も金もなく、ほか弁の「のり弁290円」か、観音前の菜コロの「とんかつ弁当540円」に集約中。揚げ物は好きではないのだけれど、「采コロ」のとんかつだけはなぜか口にあう。

で、本日も午後から銭湯に行き、スーパーとコーナン、酒屋を巡っての夕刻、「腹減った」と、通りすがりの「天美食堂」は昔に比べて白飯が旨くないし、その先の「ザ・めしや」ではなぜかいつもご飯もおかずも残してしまうほどだし、その先の「芋膳」は安いけれど飯も味噌汁も不味いし・・・と考えながら車を走らせてて思いついた、「そや、あのレシピのニラ玉作ろ!」

店に戻ったのはすでに18時。
オープン準備し終わって作りはじめたのが、18時半。
19時オープンだけど、レシピによると料理時間わずか30秒。
「旨かったら店のメニューに入れよ〜」と思いつつ着手。

「ニラは粘膜を保護し、免疫力をアップさせてくれるβカロテン、代謝アップさせてくれるビタミンB1の吸収を高める硫化アリルがたっぷり。血行を良くして、体温を高め、風邪などの予防にも効果あり!」
ニラ根元の白っぽいところが、香りも味もうまみも栄養価も一番濃縮されているってことも初めて知った。

さて、ニラを加熱しすぎないことが、おいしく作るコツとか。
今回は、1cm幅に切ったニラを最初から卵のなかに混ぜるレシピ。
ここまでは「ふ〜む、ふむ」
卵4つに塩2つまみ入れて溶いたところに、ニラ一束。
え〜、ニラ多いじゃん!と思ったら、「ニラがすご〜く多いように思うけれど、加熱したらカサが減るから大丈夫」との記述。
「なるほど!」と、冷蔵庫開けると卵が5つしかない。今夜、卵料理注文あったらヤバイな、とコンビニに買いに走って・・・。

少々あせったけれども、これは簡単30秒料理。
充分熱したフライパンにごま油。そしてニラ入り溶き卵を一気に入れ、ジューッと大きな音がしたら、「もうその段階で大成功間違いなし」とあり、
大きくかき混ぜて卵が半熟状に固まったら完成!

なのだけど途中危惧す。
「塩2つまみ」それだけ?
さらに危惧。
加熱したらニラのカサ減るちゅうけど、卵半熟状段階でも減るん?半熟イコール半生ニラちゃうん?

でも産経新聞と記述の料理人信頼し、6時46分食事開始。
「・・・味、薄いやん!味、せえへんやん!」

「ショウガ醤油をかけるのが私のおすすめ」とあったので、かける。
まずくなってしまった・・・。

「ショウガ醤油をたらりとかけて、わっさわっさと口の中にかき込めば、何でこんなにおいしいのかと深いため息出ること間違いなし」
・・・こいつ、おかしいんちゃうか、家庭料理研究家の奥薗壽子はん。

最後の記述に「アレンジとして、豚バラ肉をカリッと焼き・・・」、そこにニラ入り卵を加えるといいともいうのだけれど、在庫少ない大切な豚肉使わずに済んでよかったわ、との感。
・・・まるで昨日の「風俗体験ルポ」詐欺篇の料理版のような夕食であった・・・。

「風俗とニラ玉」完

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