205「さくらんぼう文庫」

11.6.sat./2010

★さくらんぼう文庫

墨丸ホームページのウェブサイト(インフォシーク)が10月末で閉鎖。
ページ製作者の墨丸会員342号ケンちゃんが末日深夜に来店。
「数時間前に閉鎖って分かったんです。気づいてよかったです。すべて消滅するとこでした!」
で、新ウェブサイト名がhttp://sumimaru.sakura.ne.jp/
奇しくも我が娘の名がついてます。
それでというわけでもないんだけど、今回のお題は「さくらんぼう文庫」

この春に記載の175「我輩はバカである」で、娘のさくらんぼうからのプレゼント図書券(いつもこのページで古本ばかり紹介してるのを気遣ってくれてか)、それを使わずお守りにしていたのにカバンごと紛失してしまい(お守りちゃうやん・・・)、「我輩は・・」はその顛末の話で、運良く出てきた(お守りか、やっぱし)それをまた失くしてしまってはと、紀伊国屋で新刊本「厳選」三冊購入。厳選ですぞ、厳選!

いや、いや、とりあえず書名は以下の通り。
@「白の海へ」ジェームズ・ディッキー(小学館文庫)
A「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー(ハヤカワ文庫)
B「悪霊の島」スティーブン・キング(新潮社)

宣伝文句は・・・
@「第二次大戦末期、日本に不時着したアメリカ航空兵の孤独で壮絶なサバイバル!」
A「ピュリッツアー賞受賞。父と子は世界の終わりを旅する。人類最後の火を掲げ、絶望の道をひたすら南へ」
B「恐怖の帝王、堂々の帰還。これぞモダン・ホラー!これぞスティーブン・キング!帝王完全復活を高らかに告げる最新長編。孤島にひとり住む男に迫る忌まわしいもの。キングが本領を発揮する圧倒的恐怖小説」

どれもこれも面白そうでしょ?
で、寸評・・・
@ブラッド・ピット主演、コーエン監督で映画化が企画されたとか。
でも本書の内容、あまりにも観念的(作者は詩人でもあるらしい)。かつ東京から北海道にかけての逃亡ルートで日本人を殺しまくる(といってもこれも現実味感ぜずの描写)、そんな作品。で、映画化がお蔵入りってのも納得?評価1/5。
A人類破滅テーマの純文学?
これは大衆受けしません。でも、動植物が死に絶えた灰の世界を暖かさを求め南へひたすら旅する親子の物語は、今まで読んだ破滅テーマ作品では最も暗い内容でしょうか。その点ぐらいが収穫で、3/5。
Bキング、10年ぶりの大長編!
べた褒め宣伝文句にも惹かれましたよ。惹かれるでしょ?
上下巻で五千円近い本なんで古本で出回るのを待ってたけれど、もう我慢しきれずもありで今回の図書券使ったわけで・・・。
で、キング長編をこの作品で初めて接した人は不幸です。
昨今、彼の作品は不必要に長すぎるキライありで、本書はそれが最たる感。数ページごとに眠気に襲われ、もしかして読書中の我輩、鬱だったのかもと、現在第三者に「もしかして」確認のため上巻貸し出し中。とりあえずキング初の低評価で、1/5。

上記、厳選したはずなのにこのていたらく。
そんな「さくらんぼう文庫」でした。
さくらんぼう、ごめんね、ごめんね。

その数ヶ月間のトラウマからようやく脱して最近読んだのが・・・
@「カラフル」森絵都(文春文庫)
A「ノンストップ!」サイモン・カーニック(文春文庫)
B「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午(文春文庫)

宣伝文句は・・・
@「産経児童出版文化賞受賞。不朽の名作ついに登場」
A「平穏な日常は17行目で破壊される!そして44行目から最後までノンストップ!」
B「04年版このミステリーがすごい!04年本格ミステリベスト、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞、それぞれ第1位。これが現代ミステリーのベスト1。あらゆる賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です」

で、寸評!
@生前の罪により、自殺を図った少年の体に輪廻転生した主人公、自分の罪を思い出せねば奈落の底に・・・。
一読後、「よかった!よかった!」。評価4/5。
Aう〜む、平凡なサラリーマンが犯罪に巻き込まれるというよくあるテーマのこの作品、わざわざ「ノンストップ!」っていうほどじゃ?この宣伝文句なけりゃ、「ノンストップ!」だったかも?3/5。
B読後、アイラ・レビンの名作「死の接吻」の驚愕を思い起こした。
読書中、結末に至るストーリーは評価4/5程度だったけれど、この結末を知るとそれに至る設定もこれは、スゴイ!
テレクラや出会い系サイトで知り合った女達に幻滅している主人公は「魂が震えるような恋愛を欲している」。そんな時、自殺を図った麻宮さくら(今回奇しくもまた「さくら」です)と運命の出会いを果たして・・・。うん、うん、やっぱりスゴイわ。今回オススメの1冊!5/5。

浅田次郎いわく、「日本の文学は私小説が王道を歩んできました。異世界の面白さに欠けていたのです」
そう、「本」は「面白く」なくっちゃ!

「さくらんぼう文庫」完

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