209「ZZZZ・・・?」

12.17.fri./2011

★読み方

11月半ばから異常にヒマ。
それが12月という忘年会シーズンに突入してもなお続き・・・こんなの初めてか。
この数年来の我輩、運勢学的に「最悪」らしく(当たってるのがコワイ)、来年2月13日以降は上昇運らしいが(当たらなかったらこれまたコワイ)、それまで持ちこたえられるか否か・・・。
ああ、こんなこと書き出すとますます落ち込むので、とりあえずパスして・・・

週刊新潮11/25号掲載、作家の川上未映子さんのコラムにはちょっと安心。
安心といっても先の「最悪」に対してでなく「ああ、同じ過ちの人おるんや」で・・・読み方や意味の誤りを、独自の読み方や意味を編み出して記憶してしまったため、今でもそれが有効になってしまってるパターンが結構多くある、って内容。

彼女は、読み方では「礼賛(れいさん)、罹患(らかん)」の例を挙げ(カッコ内は間違いですよ。念のため)、意味のはきちがえでは「妙齢の女性」(熟練の雰囲気?否、若い女性のこと)、「とうが立つ」(糖の字か、と果実の熟した感から最高の状態を連想して。が、「とう」は花茎が伸び固くなって食べ頃を過ぎるの意から、何かをするのにちょうど良い年齢を過ぎてしまうこと)などを後年知った、という。

彼女、「とうが立つ」という言葉を男性に使うのを耳にしたことがないことから、年齢を「食べ頃」に喩えられるのも、なんか照れくさいと。読んでた私も少々、照れくさい?

我輩は・・・「市井(しせい)の人々」を「いちい」、「一期一会」(いちごいちえ)を「いっきいちえ」と。ひらがなの「が」の点を三つでなくって二つだけで書いていたとか。あ、恥ずかし!

★これは?

でも続くこの問題、わかるかなぁ?
私も目にするたびに「???」・・・いまでも。

マンガの登場人物が眠っているのをあらわす、「ZZZZ・・・」
彼女は子供の頃のマンガで、真ん中がバッテンになってるほうのZを目にして当時知っていた数少ない字の「ヌ」がインプットされてしまい、以来どうしても「ぬぬぬぬ・・・」と読んでしまうとか。
わかるよなぁ、と思うとともに、あの「ZZZZ・・・」って、ホントはどう読むんだろ、と。
アルファベットの最後の文字イコール一日の最後(睡眠)ってことで、「ゼットゼットゼット・・・ポテチン」ってこと?
我輩はいままで「おつおつおつ・・・」かと。「乙」の字に似てて。
と、はたまた悶々とし始め、ますます落ち込んできた次第。どなたか教えて!

で、この件については一昨夜店で話題に。
我が「むちむちプリン部屋」行きたい♀は、「外国風いびき!」
その部屋で働きたいかもの♂はネットでサッと調べて「寝息!かも・・・」

★「今夜の本!」

今ひとつだったとある翻訳小説読み終え、「浮世忘れられるなんか面白いニッポンのが読みたい」と店の書棚みてみると、ありました。

第1回ホラー大賞受賞作「蟲」のあまりのくだらなさに読むのを止めてた坂東真砂子さんの作品、島清恋愛文学賞受賞作「桜雨」(集英社文庫)です。

小出版社に勤めるヒロインが戦前の幻想絵画集の出版準備のさなか、作者不詳の心奪われる絵画を発見。
作者を探しだそうとする現代の物語と、戦前に活躍し、いまはその名も忘れ去られたある画家と、彼に翻弄される二人の女性の過去が同時並行で描かれている。このあたり、以前168「静かなる魅力」で紹介した篠田節子さんの、絵画の謎をテーマにした秀作思い起こさせ、真実が明らかになるまでの興味深い過程と、これも先頃紹介した歌野晶午さんの傑作「葉桜の季節に君を想うということ」の驚くべき結末にも通ずるものありで、評価4/5。

この作品で、当時の貧乏画家達が行くに行けないパリに見立て、「上野モンマルトル」「池袋モンパルナス」とその地を名づけ、アトリエ村をつくっていたことなども初めて知る。

で、もう彼女の未読作ない?とみてみると、「狗神」(角川文庫)が。
冒頭の描写に引き込まれる。
男が信濃の善光寺を訪れ、本堂地下に設けられたお戒壇廻りに興味半分で足を踏み入れる。回廊途中にある極楽のお錠前を触ると仏様とご縁がむすばれるという闇の地下道だ。

そして、漆黒の闇の手前、「通路の真ん中に、ほっそりした人影が見えた。着物姿の女のようだ。長い髪を編みこんで桜色のリボンで結んでいる。行く手にたゆたう闇を前にしてためらうように立っていた。抜けるように白い肌、浮世絵のような瓜ざね顔に、すっと通った鼻筋。三十代後半だろうか。紺がすりの着物から伸びた首筋に、仄かな色気が漂っている」
この描写でこの女、この世の者ではないのでは、と我輩は思い「私、暗闇がだめなんです」というその女の手をひき男は歩き始めるのだが、行けども行けども出口にたどり着けず、そんな中、女は身の上話を始め・・・。ゾクリとした、このくだり。
最終章だけがちょっと破天荒すぎて寝覚めだけれど、作者お得意の「血」のこの物語、一気読み。4/5。

さらに在庫本探してみると、前述「葉桜・・・」の次に書かれたという歌野さんの「世界の終わり、あるいは始まり」(角川文庫)が。
裏表紙の「あらすじ」一読して本を買った場合、しばらく放置しておく。で、内容忘れた頃に読み始めるパターンなのだが(で、買って「そのまま本」が異常に多くなるわけ)、この作品、まさに内容忘れててよかった本。

東京近郊で連続する小学生誘拐殺人事件。冒頭「顔見知りのあの子が誘拐されたと知った時、驚いたり悲しんだり哀れんだりする一方で、わが子を狙われなくてよかったと胸をなでおろしたのは私だけではあるまい」で始まり、どこにでもある平和な家庭生活が描かれてゆくのだが・・・。

あらすじで予備知識あると前半のドキドキ感半減だろうけど、私は物語の半ばまで一気読み(この時点、評価5/5)。後半、「既存のミステリの枠を超越した」云々の世界、これは好き嫌いありか、で4/5に。

「60秒の煉獄」(大石圭。光文社文庫)
この作者は、死体を愛でるなどの変態題材多く、その異常さが表に出すぎて物語の面白みは常に二の次って感じ。
本作は、60秒間だけ時間を止める能力を持った人々の欲望を描く連作集。手塚治のマンガ「時間よ、とまれ!」の異常版ですな。2/5。

「ビーチ」(アレックス・ガーランド。アーティストハウス)
冒頭記した「とある翻訳小説」がコレ。
ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」の原作。
誰も知らぬ孤島の楽園にたどり着いた青年達の「崩壊」に至る物語。映画内容もう忘れてしまったけれど、もう一度みてみたい感に。それは映画の方が枝葉削ってシンプル&サスペンスフルだったような気がして・・・。3/5。

「zzzz…?」完

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