229「時計仕掛けのオレンジの悪夢」(中篇)

10.4.tue./2011

★労災病院にて

我孫子の眼科医に紹介された、手術のできる病院で最も近い堺の労災病院に朝一番で行くことになった。

で、眼科医に「安静に」といわれたこともあって前夜早々に閉店のつもりが、終業やはり午前4時。一瞬、「あしたにしょうか・・・」
この危機感のなさが国会のえらいさんと同様、というのが我ながら情けないけれど、この不安感ナシというのに対し、概して予想外の事態が待ち構えているもので・・・。

そしての本日、午前10時半、病院着。
前日の眼科医院同様の検査の連続をへて、違ったのは飛蚊症の右目だけでなく、当たり前のように両眼検査したこと。
バランスが悪いと感じていたレンズの度数もやはり合っていず、あの眼科はやはりヤブか?
で、2時間余の後、レーザー手術とやらを開始。

我孫子の眼科医が「う〜ん、レーザーで済むと思うが・・・」といってくれてたんで、ホラー映画でヒロインの目に注射針突き刺さるような、絶対避けたい手術のイメージ薄れていた・・・のも、結果として予想外。
「こんな子供みたいな若い医者で大丈夫かいな。我孫子のヤブかもしれんが中年医師のほうが・・・」と、担当医の男性の若さも予想外。
暗室で、一般眼科の視力検査に使うような機器にアゴと額をつけるとその若者淡々と、「痛いですよ」なんてわざわざいわれたのも予想外。ほかにいい方あるんやない?やさしく「チクッとしますよ〜」とか。

まずその若者、直径2センチ、長さ1.5センチほどの黒い円筒形の物体を手にとった。
そして片手でわたしのまぶたを大きく開き、その物体を眼球の上に直接押し込んだ。
眼球にですよ!それもコンタクトレンズちゃいますよ!孫を目に入れても痛くないっていうヤツはアホですよ・・・。

「はい、体ひかないで、ひかないで!アゴと額をしっかりつけて!」
「(こ、これが痛いちゅうやつ?)」

そしてまぶしすぎるライトを眼球にあてられ、「視線を上に、右上に、右に・・・」と、その憎っくき黒い物体の下でこすれる眼球を次々と右左下上に動かせと。それも、何度も、何度も!

そして黄色い光が。
かすれゆく意識下で(あ〜、もう気絶したかった)「あ、これがレーザーか・・・まぶしいだけやん、峠は越した?」とその光、点滅しはじめた。
・・・何度目かの点滅後、「ズキン!」と、眼底奥に経験したことのない鈍痛衝撃が。
「はい、体ひかないで、ひかないで!アゴと額をしっかりつけて!」
その衝撃が指示通りに眼球動かすたびに襲ってくるのだ。
「ズキン!ズキン!ズキン!」
おもわず握りこぶしに力をこめた。こめてもムダだった。
「はい、体に力入れないで、入れないで!はい、目の位置動かさないで、動かさないで。動いたらやり直しですよ!」
こいつ若いから言葉の使い方わからんの?
拷問うける体をリラックスできるヤツって世の中におると思っとん?

もう汗だく。涙ボロボロ。
永遠とも思われたそのレーザー照射が終わり、「あ〜、もうイヤ!」
と、若者淡々と「さぁ、次は左目ね」

・・・治療終了後、普通は「ありがとうございました!」と我輩お礼いってるはずなのに、この日ばかりはそんな言葉など微塵も思い浮かばず・・・。
若者淡々と、「え〜、飛蚊は増えるかもしれません。増えすぎとおもったらすぐ来てください。でなかったら再来週来てください。検査結果で別の手術をおこないます」

・・・こんな痛い思いしたのに、あの眼球に針が迫るホラー映画のイメージは消え去らないのか?
かつ、手術費用約7万円也。
もう呑みにもいけません、いきません。

再来週の予想もできぬ「悪夢」は、次回「後編」で(今回でジ・エンドのつもりやったのに・・・!)。

※本文タイトルのいわれ
スタンリー・キューブリックの名作映画「時計仕掛けのオレンジ」劇中、主人公の不良少年が眼球を見開かせられ、我輩と同様の治療を受けるシーンが(目の手術じゃありませんけど)。
店の化粧室の扉にそのシーンをイメージした映画ポスター貼ってます・・・あ、見るたびにトラウマが、トラウマが・・・。

「時計仕掛けのオレンジの悪夢」つづく

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